心を閉ざした部下との向き合い方|心を閉ざす原因と対処法を解説
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社員のパフォーマンスを最大限に引き出すためには、心地よい職場環境が重要です。しかし、思わぬことがきっかけで、心を閉ざしてしまう可能性があります。本記事では、心を閉ざした部下との向き合い方について原因や対処法を解説します。
目次
心を閉ざした部下の特徴
心を閉ざした部下の特徴は、主に以下の4つが挙げられます。
- 会話する頻度が少なくなった
- 視線が合わない
- 態度が急変する場合がある
- 笑顔が減った
部下が心を閉ざしたサインを見逃さないようにしましょう。ここからは、上記項目について具体的に解説します。
会話する頻度が少なくなった
心を閉ざした部下は、以前に比べて会話の頻度が少なくなります。徐々に会話が減り、気づいたときにはまったく話さなくなるでしょう。
話しかけても生返事だったり会話を早めに終わらせたい様子を見せたりする場合は、心を閉ざしている可能性が高いです。
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視線が合わない
視線が合わなかったりそらされたりするときも、部下は心を閉ざしている可能性があります。
今まで視線を合わせて会話するのが普通だったにもかかわらず、突然視線をそらす素振りが見えたら危険です。
視線が合わなかったりそらされたりすること以外はいつも通りだったとしても、心を閉ざしていることを疑いましょう。
態度が急変する場合がある
心を閉ざした部下は、態度が急変することもあります。例えば、今まで気さくに話していたのに急に無視されたり、何を話しても強く反論してきたりするなどです。
態度が急変する理由は、距離を置きたい気持ちの表れと考えられます。部下の反発に対して強く出てしまうと、さらに溝が深まる可能性が高いので注意してください。
笑顔が減った
笑顔が減るのも、心を閉ざした部下の特徴です。今までは笑顔を見せていたのにまったく笑わなくなったり、楽しくなさそうだったりする場合は心を閉ざしている可能性が高いです。
笑わせようとすると避けられる可能性が高いので、無理に距離を詰めないようにしてください。
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部下が心を閉ざしてしまう原因
部下が心を閉ざしてしまう原因は、主に以下の3つが考えられます。
- 自己肯定感の低下によるもの
- 周囲の評価によるもの
- 本人の考えによるもの
それぞれ解説します。
自己肯定感の低下によるもの
自己肯定感とは、どんな自分も肯定し認められる感覚のことです。周囲と優劣をつけず、ありのままの自分に価値があると思えているため自らを卑下しません。
もしうまくいかないことがあっても、「なんとかなる」「次はできるように努力しよう」と気持ちを切り替えることが可能です。悪い出来事が起きても必要以上に落ち込まず、前向きに捉えられます。
しかし自己肯定感が低下すると、自分に価値があると思えなくなります。失敗したり叱られると自己嫌悪になって落ち込んだり、精神的に不安定になったりするでしょう。次第に心を閉ざし、上司や周囲の人間との接触を避けるようになります。
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周囲の評価によるもの
周囲からの評価が原因で心を閉ざすこともあります。思うように仕事が進まなかったり失敗が続いたりすることで落ち込む人は多いでしょう。
落ち込んでいるときに、周囲から「毎回失敗ばかりで使えない」「仕事が遅くて困る」などの評価をされると、さらに深く傷ついてしまいます。周囲からのネガティブな評価は、心を閉ざすきっかけになりやすいので注意してください。
本人の考え方によるもの
本人の考え方がネガティブになっていることが原因で、心を閉ざすこともあるでしょう。仕事だけでなく、プライベートが原因の場合も少なくありません。
例えば信頼している人に裏切られたり家族間でトラブルが起きたりすると、大きなショックを受けて心を閉ざす可能性があります。会社と関係ないことが原因の場合は、事前に防ぐのが難しいでしょう。
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心を閉ざした部下との接し方
心を閉ざした部下との接し方には、ポイントがあります。特に意識したいのは以下の5つです。
- 相手のペースに合わせる
- 部下の意見を一度受け止める
- 期待をかけすぎない
- 得意な仕事を割り振る
- 部下が好きな話をする
それぞれ具体的に解説するので、心を閉ざした部下と接する際に意識してみましょう。
相手のペースに合わせる
心を閉ざした部下と接するときは、相手のペースに合わせることが大切です。相手のペースを無視して近づいたり話しかけたりすると、かえって相手に距離を置かれてしまいます。
早く心を開いてほしければ、まずはそっとしておきましょう。業務の関係で会話する必要があるときは、要点を絞って接する時間を短くしたりパーソナルスペースに入らないよう意識したりすると、部下も上司の話を受け入れやすくなります。
部下が自ら上司に話しかけたい、心を開きたいと思うまでは無理に接点を作らず、相手が話しかけやすい雰囲気を作ることを意識しましょう。
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部下の意見の一度受け止める
部下が意見を伝えてきたら、一度受け止めるようにしましょう。心を閉ざした部下は、自己肯定感が下がっていたり考えがネガティブになっていたりします。
そのため考えを否定されると自信を失い、さらに心を閉ざしてしまいます。心を閉ざした部下が自分の意見を伝えることはとても勇気がいることです。まずは最後まで話を聞き、その後は批判するのではなくアドバイスするようにしてください。
期待をかけすぎない
心を閉ざしている部下には、期待をかけすぎないでください。期待をかけすぎるとプレッシャーがかかり、心の負担が大きくなります。
精神的に追い詰められて、ますます心を閉ざす可能性もあるので注意してください。心を閉ざした部下は通常よりも精神面が弱くなっているため、期待しすぎず可能な範囲の仕事を与えましょう。
得意な仕事を割り振る
心を閉ざした部下には、得意な仕事を割り振りましょう。得意な仕事なら無理をしなくてもこなせるため、気負わずに進められます。
また、コツコツとこなしていくことで自信にもつながるでしょう。しかし、期待しすぎないように気をつけてください。得意な仕事といっても、期待が大きいとプレッシャーがかかってしまいます。
部下の様子を見ながら仕事量を見極めることが大切です。もし業務上で得意な仕事以外も振り分ける必要があるときは、少しずつ様子をみましょう。
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部下が好きな話をする
心を閉ざした部下とコミュニケーションをとるときは、相手の好きな話を振りましょう。普段は内向的でも、好きなことに関する話なら会話してくれる場合があります。
部下の好きなことや興味のあることを調べ、軽く話しかけてみてください。相手が楽しそうに話している場合は、無理のない範囲で会話を続けてみましょう。
干渉しすぎたり積極的に話しすぎたりすると距離を取られる可能性があるので、様子を見ながら切り上げることが大切です。
なお、好きな話をしてもコミュニケーションに消極的だったり壁を作っているように感じたりしたら、無理に会話を続けないでください。相手のペースに合わせて、少しずつ会話の機会を増やしていきましょう。
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メンタルヘルスの不調は休職・退職につながる
心を閉ざした部下のケアを適切に行えないと、休職・退職につながる可能性があります。実際にメンタルヘルス問題による休職率や退職率は、年々増加の傾向にあるのが現状です。
メンタルヘルスの休職率・退職率について、具体的な数値を参考にしながら解説します。
メンタルヘルス不調による休職率
厚生労働省の調査結果によると、メンタルヘルス問題を理由に1ヶ月以上休職した労働者の割合は、2020年で平均9.2%、2021年で10.1%と増加しています。事業所の規模ごとに1カ月以上休職した労働者の割合は、以下の通りです。
- 10人〜29人……4.4%
- 30人〜49人……8.2%
- 50人〜99人……22.1%
- 100人〜299人……36.5%
- 300人〜499人……65.0%
- 500人〜999人……77.0%
- 1000人以上……92.5%
上記の数値から、事業規模が大きいほど1ヶ月以上休職した労働者の割合が高いことがわかります。
参照元:厚生労働省「令和2年度 労働安全衛生調査」
参照元:厚生労働省「令和3年度 労働安全衛生調査」
メンタルヘルス不調による退職率
独立行政法人「労働政策研究・研究機構」の調査結果によると、メンタルヘルスの問題で休職した後に復職せず退職する社員は42.3%であることがわかりました。
このことから、一度休職すると復職が困難なことがわかります。また、休職期間の上限が3カ月までの企業は59.3%が退職、2年6カ月から3年の企業は29.8%が退職しています。休職可能な期間内にメンタルヘルスの不調が改善しなかったり、復職後の支援体制が整っていなかったりすることが退職率の増加につながっていると考えられるでしょう。
参照元:労働政策研究・研究機構「調査シリーズ No.112」
▷メンタルヘルス不調とは?不調になる原因・サインやケア方法を紹介
メンタルヘルス問題への4つの対処法
メンタルヘルスを良好に保つためには適切な対処が必要です。ここからは、メンタルヘルス問題の対処法を4つ紹介します。
1.セルフケア
従業員が主体となってメンタルヘルスケアを行います。
企業はストレスが心身にもたらす影響やセルフチェック方法、ストレス解消につながる対処法などを正しく伝える必要があります。
研修や情報提供によって知識や方法を伝え、従業員がセルフケアできる状態を作ることが大切です。
セルフケアを行えれば、ストレス反応による心身の不調を敏感に察知できたり素早い対処ができたりします。対処が早いとメンタルヘルスの不調が重症化するのを防ぎやすくなるでしょう。
2.ラインケア
ラインケアとは、組織の管理者(上司)が部下のメンタルヘルスを良好に保てるよう環境を整えたりサポートしたりすることです。
口数が少ない元気がないなど、部下の様子に変化がないか確認します。普段と異なる様子が見られたら早期に対応し、状況の悪化を防ぐことが大切です。
上司は部下の些細な変化をキャッチするためにも、普段から適度なコミュニケーションが求められます。
3.事業場内産業保健スタッフによるケア
産業医や保健師、衛生管理者など、メンタルヘルスの専門家の指導を受けるのも対処法の一つです。
従業員によるセルフケアや組織の管理者によるラインケアが効果的に行われるよう、メンタルヘルス対策の企画・立案、監修などをサポートします。専門の医療機関と連携する際は窓口を担い、企業全体のメンタルヘルス対策を実施します。
4.事業場外資源によるケア
事業場外資源によるケアとは、メンタルヘルス専門の医療機関や公認心理士など事業所外の機関や人物がメンタルヘルス対策の支援を行うことです。
外部にメンタルヘルスケアを依頼することで、企業内で相談をしたくない方や症状を知られたくない方のケアを行えます。全従業員のメンタルヘルスをチェックするためにも、事業場外資源によるケアを取り入れるのは重要と言えます。
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原因を理解して心を閉ざした部下と向き合おう
部下が心を閉ざす原因はさまざまです。もし心を閉ざした様子が見られたら、接し方に気を配りましょう。
メンタルヘルスの問題を解決しないと、休職や退職につながる可能性が高まります。企業全体にも悪影響を及ぼすため、早急かつ適切に対処することが大切です。本記事を参考に心を閉ざした原因を理解して部下と向き合い、メンタルヘルス問題の解決に努めましょう。
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