アフォーダンス理論とは?定義や具体例をわかりやすく解説

知覚や記憶・学習・推測等、人の認知機能に基づく「アフォーダンス理論」。アフォーダンス理論は、生活のさまざまなシーンで活用され、多くのものに高い価値を与えています。本記事では、アフォーダンス理論について、定義や具体例をわかりやすく解説します。
目次
アフォーダンス理論の定義とは?
アフォーダンス理論とは、生物と、物体や環境との関係性を理解するための心理学的理論です。現代では、物体や環境が、ユーザーに提供する「可能性」や「機能」を示すものとして、生活シーンのデザインに取り入れられています。
ちなみにアフォーダンス理論には、最初の提言者であるギブソンの理論と、ギブソンの理論を発展させたノーマンの理論があります。
ギブソンのアフォーダンス理論とは
アフォーダンス理論の起源は、心理学者J.J.ギブソンによるものです。
そもそも「アフォーダンス」という言葉は、「~を提供する」「~を与える」を意味する単語「afford」から、ギブソンが創案しました。定義は「環境との相互作用を通じて、生物が認識する行動の可能性」で、ある物体の持つ特性が、生物にとってどのような行動を可能にするかを表現する概念とされています。
例えば、ベッドという物体があれば、利用法がわからなくても人間は「横になれる物体である」と認識できるということです。
▷ストループ効果とは?具体例や注意点・マーケティングへの活用方法
ノーマンのアフォーダンス理論とは
ギブソンの理論を発展させ、特にデザインの観点からアフォーダンスをとらえ直したのが、ドナルド・ノーマンです。
例えばドアノブは、その形状から「回す」という行動のヒントを、見た人に提供します。
このように、物体の形状や大きさなどの特性が、生物に使い方のヒントを与えるというのがノーマンのアフォーダンス理論です。
▷ザイオンス効果とは?事例やマーケティング・ビジネスへの活用法を解説
アフォーダンス理論の具体例
アフォーダンス理論は、特にデザイン分野において、ユーザーの直感的な理解や操作のために活用されます。ここではアフォーダンスの具体例について紹介していきます。
電車・駅構内の標識
電車や駅構内の標識は、利用者が迷わずに目的地へ進むことができるように工夫されたものです。
例えば、電車内のドア上の表示では、次の駅がどこなのか、自分は何両目に乗車しているのかといったことを、見ただけで知ることができます。
駅のホームに設定されている駅名標も、同様です。「新大久保-新宿→代々木」とあれば、自分がいるのは新宿駅であり、そのホームから出る電車が次に停車するのは代々木駅であることが視覚的にわかります。
複数の路線が乗り入れている駅での路線ごとアイコン化や色分け、矢印表示などもアフォーダンスの例です。
このように電車や駅構内では、色や形状、矢印などの視覚的要素が、進むべき方向や行動を示唆するアフォーダンスとして機能しています。
信号・道路標識
信号や道路標識も、運転者や歩行者が安全に移動する行動を示唆するアフォーダンスです。
信号であれば赤は「停止」、青は「進行」、黄色は「注意」を示しています。色を見て、人々が行動を決めるわかりやすい例といえるでしょう。
交通標識は、制限速度を表す数字、矢印や「×」などのマークで、取るべき行動を明示しています。時速60kmで走行しているときに「40」という標識を目にした運転者は、減速するという瞬時の判断が可能です。一般道の標識の色を青、高速道路を緑にするなど、標識の色にもアフォーダンス理論が取り入れられています。
操作ボタン・接続端子
電子機器の操作ボタンや接続端子もアフォーダンスの一例です。
例えばボタンの形状や配置、マークや色使いは、使用者に押す・回す・スライドするといった行動を促します。また、音楽や映像のプレイヤーで停止を「□」マークにする、録音ボタンは赤にするなどが挙げられるでしょう。
オーディオ機器の接続端子を赤や白、黄色などに色分けして、正しく接続できるように配慮することもアフォーダンスといえます。
ドアノブ
先にも触れたドアノブは、大きさや形状から「人の手で回す」という行動を示唆し、握って回せばドアが開くことを見た人に伝えます。
プッシュ式やプル式のドアデザインも同様です。ドアノブの位置に、金属の板が取り付けられたドアであれば押せばよいことがわかります。取っ手が付いていれば、引くと判断できるでしょう。「push」「pull」といった表示もアフォーダンスの一例で、ドアを開ける際の行動を直感的に理解できるように、サポートしています。
公共のゴミ箱
見ただけでわかりやすいデザイン、色分け、アイコンなどを活用した公共のゴミ箱もアフォーダンスの一例です。
例えば、コンビニエンスストアに設置されているゴミ箱であれば、分別を促すためにゴミ箱ごとに捨てられる物のアイコン表示がされています。さらに投入口は、通常のゴミであれば広く大きな形、缶やペットボトルであれば丸い形など、捨てるゴミに合わせた形状です。
これにより、「どのゴミをどこに捨てればよいか」が、利用者にとっては分かりやすくなります。
▷ウィンザー効果とは?事例やメリット・デメリットを解説
アフォーダンス理論はビジネスにも活用できる
アフォーダンス理論は、日常生活のデザインだけでなく、製品やサービスの設計、マーケティング戦略など、ビジネスシーンでも活用できます。
また、ビジネスを戦略的に進める一つの要素でもあるので、他社との競争を勝ち抜き、永続的な発展を遂げるためにもぜひ自社の事業に生かしていきましょう。
おすすめのセミナー視聴
業務効率化・業務改善の記事をもっと読む
-
ご相談・ご質問は下記ボタンのフォームからお問い合わせください。
お問い合わせはこちら