ヘルスケア・医療業界でCRMが注目される理由は?おすすめツールも紹介
CRMは、ビジネスの世界だけでなく、ヘルスケア・医療業界でも注目されています。病院のDX化は2005年にカルテが電子化されたことから始まりました。そして、今後はCRMによる地域医療連携の分野での導入が検討されているのです。本記事では、医療業界でCRMが注目される理由と、おすすめのツールをご紹介します。
目次
ヘルスケア・医療業界でCRMが注目!
近年、ヘルスケア・医療業界ではCRMの導入が検討され始め、注目が集まっています。DX化とはデジタルを導入し、生活はもちろん医療の現場も変わっていかなければならないという変容のことです。
ここでは、DX化が必要な理由に加えて、CRM導入が注目されている理由をご紹介します。
病院経営のDX化が重要な時代に
近年の病院経営においては、医療だけではなく、さまざまなことを求められるようになっています。特に、2005年に紙カルテから電子カルテへの移行が行われてから、医療現場におけるデジタル化の動きが顕著になりつつあるのです。
しかし、ただ電子カルテにしただけではDX化とはいえません。経営に関わる部分にも変容が求められているからです。
CRM導入を行うことで、新しいデジタルツールを病院内に用いて、院内の業務プロセスを見直したり、デジタルをより多く導入したりするなど、新しい試みが重要視され始めています。
デジタル化によって医療現場の見直しを測り、より効率のいい職場に整えるためにも、医療業界でのDX化は重要だと言えるでしょう。
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ヘルスケア・医療業界の問題点について
CRM導入を検討する前に、まずは医療業界が抱える問題点について見ていきましょう。
高齢化による患者数の増加
年々医療費の上昇が厚生労働省の調査で明らかになっており、令和元年度の医療費は43兆円を超えています。2025年には、団塊の世代が高齢者になるため、医療費の上昇のみならず、高齢化社会がより深刻化すると予測されています。
病院の患者数は、高齢者の増加とともに増える傾向にあります。そのため、疾患数の増加や症状が現在よりも増えると考えられているのです。1人で複数の医療機関を受診することも珍しくありません。また、高齢者であれば通院のための介助や、介護、在宅ケアの必要性もあります。
他にも、高齢化社会の深刻化により、年々高額になる医療費は家計を圧迫しかねません。また、社会の高齢化が進むことで、地域の医療現場が圧迫され、高齢者以外の患者が医療を適切に受けることができない状況に陥る可能性もあります。
[出典:厚生労働省「令和2年度 医療費の動向」]
医療機関の連携不足
病院には、以下のようにさまざまな形態があります。
- かかりつけ医
- 急性期病院
- 回復期病院
- 慢性期病院
風邪をひいた場合、まずはかかりつけ医に相談します。しかし、緊急を要する場合は、急性期病院を受診するのが望ましいとされています。段階を踏み、状況に合わせて病院を選択することが大切です。
しかし、初診の場合は医師からの紹介状が必要な場合が多いため、他の医療機関への移動は紹介に手間がかかることも少なくありません。近年でも、他病院への紹介の場合は、医師が紹介状を書き、郵送もしくは紹介状を持参して移動するなどアナログな方法で行われています。
地域によって医療機関のデジタル化には差があり、アナログによる医療機関の連携不足状態が続くと、患者への対応の遅れにもつながる可能性があるでしょう。
医師の不足
少子高齢化が進んでいる問題を受け、医療現場では医師不足問題も深刻とされています。地域によっては常に医師が不足していることから、受けられる医療の質に差が出るということも少なくありません。
医師不足が原因で、医療機関を受診しても長時間待つ必要があったり、なかなか診察予約が取れなかったりなどのトラブルが発生する可能性があります。
また、医療関係者の数も不足しており、時間外労働が増えるといった、医師不足により派生するトラブルは患者だけでない場合もあるので注意が必要です。
そのため、医師の負担を減らしつつ、医師と患者が納得するように医療体制を整える必要があるでしょう。医師不足が深刻化している中では、人員を必要とする作業をデジタル化し、職場環境を整えるシステムを一刻も早く構築すべきです。
業界のIT化が進んでいない
医療機関はサービス業としての一面をもっており、患者を顧客と考えた場合、医師や看護師、メディカルスタッフはサービス提供者となります。
その場合、医療機関では情報共有が足りていなかったり、システムのIT化が進んでいなかったりすることで、顧客満足度が低下する可能性が否定できません。
医療現場をサービス業と考えても、情報共有不足や情報共有のためのシステムが整備されていない問題は重要視されるべきだといえます。
医療業界でCRMを導入するメリット5つ
さまざまな問題を抱える医療現場に、CRM導入を推奨するメリットはどのようなものがあるのでしょうか。ここからは、CRMを検討した場合に知っておくと便利な利点についてご紹介します。
患者データの管理
CRMを医療機関に導入することで、医療データの管理が可能です。顧客データとして入力することはもちろん、症状や担当医師との細かなやりとりも入力できるので、診察のみならず入転院の場合にも情報確認ができます。
また、他院へ転院となった場合も患者情報の引継ぎはデータで行えるようになるので、看護師の作業負担も減るというメリットにもつながります。あらかじめ患者データを用意しておくことで、診察時の時間短縮も可能です。
患者データを可視化できるようになることで、医師だけでなく看護師やその他メディカルスタッフとの情報共有の簡素化にもつながります。患者とのやりとりも含めて、全てカルテに記載することで、時系列で見返すこともできるのは大きなメリットだといえるでしょう。
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医療機関や薬の在庫管理
病院が医療データを管理すると、医療機関情報や薬の在庫管理も手軽に行えるようになります。
薬品の在庫管理では、製薬会社や医療機器メーカーとの連携にも役立ちます。医療データの管理により薬品の在庫管理を自動化し、人の手で行うことで発生するミスを解消することが可能です。また、万が一の場合の薬品在庫不足の解消にもつながります。
地域の医療機関の連携
近隣の医療機関と合わせてCRMを導入しておくことで、手紙や電話を介さず、スムーズに転院の手続きなどが可能です。患者データも細かく記されているので、引継ぎ時のミスやトラブル回避にもつながります。
患者のデータ管理では、より詳細な情報を引き継ぐことが可能です。また、その際は書類ではなくデータで渡せるので、作業効率も上がります。
病院スタッフ間の連携
医療データは、医師だけがチェックするものではありません。普段の診療や対応は看護師、薬の受け渡しは薬剤師が対応します。
医療データを管理することで、さまざまな医療スタッフにデータでの共有や引継ぎができるため、病院内でのスタッフ連携に役立てることが可能です。
データの共有によって、病院スタッフ内の連携が密になり、患者に対する細かなサポートや医療提供も可能になります。CRMでは、ただ医療データを入力しそのままにするのではなく、共有することでチーム医療における連携を図ることも可能です。
経営体制の強化
医療現場は、医師を始めスタッフにおいても人員不足なことが多くあります。それに加えて、イレギュラーな疾患の流行や災害があった場合は、よりひっ迫した医療現場になる可能性も否定できません。
CRMを導入することによって、患者のデータを効率よく管理できるだけでなく、データ分析ができる点は大きなメリットです。
製薬会社との取引の場合は現状把握を迅速に行えるので、その分の時間を利用して医療提供に専念できます。
また、紹介可能な医療機関との連携のデータ入力を日頃から徹底しておくことで、移動してきた患者の引継ぎもスムーズです。この結果、患者は大きな満足感を得ることができるでしょう。
データを用いて業務を効率化させ、医療体制を充実化させることは、営業体制の底上げや強化にもつながります。
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医療業界におすすめのCRMツール4選
ここからは、医療業界におすすめしたいCRMツールについてご紹介します。医療現場に適した機能が幅広く実装されているツールの魅力を見ていきましょう。
medigle
medigleは、地域の医療を連携させるシステムが充実しており、患者数を増加のための分析ツールや、医療データを細かく入力できるツールなどがあります。
0円からお試しで取り入れることもできるので、まずは一度医療体制を変えたいと考えている場合に利用するのがおすすめです。
foroCRM
地域の医療連携のためにつくられたCRMツールです。欲しい情報をダイレクトに届けるためのデータ管理はもちろん、連携先との対応をスムーズにする機能などが多数揃っているため、安心して活用できます。
都度フィードバックを受けることもできるので、さまざまな面での分析や細かなデータ入力が可能です。紹介先との連携はもちろん、病院内でのスタッフ同士の連携強化にも一役買ってくれます。
Salesforce Health Cloud
病状や近況に応じたさまざまな対応をサポートしてくれます。患者と医療現場が密接につながるためのサポートだけでなく、医療スタッフ同士も密に連携できるシステムもあるので、初めてのCRM導入でも安心して取り組むことが可能です。
患者や医療現場、従業員など状況に合った対応ができるような分析ツールと、医療データ連携を行ってくれるので、シームレスかつ確実な効果を実感できるでしょう。データも安全に管理してくれるので、プライバシーの観点からも安心できます。
Zoho CRM
顧客管理を主な目的としたCRMツールです。顧客との関係をよりよくするためのさまざまな機能が実装されており、導入することによって利益につながるサポートを行ってもらえます。
医療現場をひとつの企業として見た場合、患者を顧客と考えて顧客データ管理・分析を行ってくれるので、営業の観点からの効果が実感できるでしょう。15日間無料お試しもできるので、気になる場合は一度チェックするのがおすすめです。
▷CRM導入前後でよくある課題とは?失敗しないための解決策も解説
医療業界のCRM活用事例3選を紹介
医療業界には、すでにCRMを導入した事例が存在しますので、ここからはその具体的な事例についてご紹介します。
医療法人敬愛会 中江病院
中江病院は、ペーパーレス化を図るためにCRM導入をいち早く実践した医療現場です。データ管理では、来院日時や相談内容を詳しく記録し、電子カルテに詳細を共有できるよう整えて活用しています。
また、自動連携システムを採用したことで、適切な医療サポートができるようになりました。全てのスタッフがさまざまなデータを可視化できるため、稼働率の認識率が上がり、現場のサービス向上効果が実感できています。
仙台オープン病院
宮城県の仙台オープン病院では、全国で初めてCRM導入を行いました。導入前は情報が混在していたり、コストがかかっていたりと課題が多かった病院ですが、導入後はスタッフが無駄なくCRMツールを操作できるようになったことで、利便性を向上することができました。
また、訪問活動やさまざまな履歴を一括管理するようになり、情報を均一化させられるといったメリットも多く得られています。管理コストの削減をしながらも、スタッフが無駄なくデータを共有し、作業に集中できるツールとなっています。
大阪医科薬科大学病院
大阪医科薬科大学病院では、CRMをかかりつけ医検索システムとして構築しています。導入したことによって、スムーズに病院探しや医師探しができるため、情報が錯綜したり、行って断られたりするリスクを軽減できるようになりました。
▷CRM活用の成功事例8選を紹介!活用ポイントや導入時の注意点を解説
医療の分野でもCRM導入によるDX化連携へ
顧客管理ツールであるCRMですが、医療現場でも有効活用することが可能です。システムをデータ化するだけでなく、医療現場の検索の場を整えたり、スタッフの情報共有ができるなど、さまざまな活用方法があります。
多方面に有効活用することで、医療現場の問題を解決し、スムーズに医療に集中できる環境が整うでしょう。その結果、顧客満足度や病院の利益アップにもつながります。ぜひ医療分野でのCRM導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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