DXに不可欠なペーパーレス化のメリットとは?阻む要因や対策方法を解説

DXを推進する上で、ペーパーレス化は必要不可欠です。ペーパーレス化はコスト削減や業務の効率化など多くのメリットがあります。一方でデメリットやペーパーレス化が進まない要因もいくつかあるので、本記事ではペーパーレス化について詳しく解説していきます。
目次
ペーパーレス化とは?
文字通り紙を少なくすることを指し、紙で管理していた書類をデジタル化・システム化します。ペーパーレス化は、DX推進における取り組みの中でも導入しやすいとされています。
しかし、単に書類をデジタル化するのみでは、ペーパーレス化に成功したとは言い切れません。紙の書類をデータ化し、整理・管理することでいつでも活用できる状態を維持することが重要です。
また、全ての書類をデジタル化すればよいというわけではありません。ちょっとしたメモや創造的作業をする際は、紙を利用したほうが図なども含め自由に書き込めるため、自分にとって分かりやすく、記憶しやすい状態を作れるでしょう。
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DX推進にペーパーレス化が不可欠な理由
DX推進においてペーパーレス化が必要な理由を、以下にまとめました。
- 時間や場所にとらわれない
- テレワーク推進につながる
- 業務効率化を期待できる
- データ処理に時間がかからない
- 「電子決済」「オンライン化」にもつながる
- 世界的に持続可能なビジネスを目指している
- 国内でもペーパーレス化に合わせた法整備が行われている
ペーパーレス化が進めば、時間や場所にとらわれずデータを閲覧・活用できるため、テレワークの推進につながるでしょう。
働き方改革や新型コロナウイルスの影響で、テレワークが定着しつつあるため、ペーパーレス化のよい機会といえます。また、データ処理の速度向上により、業務効率化にもつながります。
現在日本ではキャッシュレス決済やネットショッピングが普及しつつあります。この流れに対応するためにも、ペーパーレス化を進めデータをシステム化することが重要です。
また近年、世界的に持続可能なビジネスが目標として掲げられており、国内でもペーパーレス化に合わせた法整備が行われています。DXを推進させなければならない今だからこそ、ペーパーレス化に注目しなければならないのです。
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ペーパーレス化を進めるメリット
ここからはペーパーレス化を進めるメリットについて解説します。
1.コスト削減に繋がる
ペーパーレス化が進めば、書類を印刷する紙・インクなどのコスト削減につながります。また、紙の書類を管理するには、保管場所やスペースが必要です。
紙の書類で半永久的に保管しなければならないものもあるでしょう。そうなると、保管しなければならない書類と場所が増え、管理するために多くの人員を割くことになります。ペーパーレス化はこういった問題を解決できます。
2.業務が効率化できる
紙で書類を保管している場合、書類を探したり、遠くにいる人からは探すことが不可能だったりします。書類がペーパーレス化すれば、データ検索といった機能を使って探す時間を短縮でき、どんな場所からでもデータにアクセス可能です。また、多くの人との共有も簡易化できます。
以前までは、紙の書類を郵送して共有することもあったため、届くまでの時間を要していました。このように、書類をデータ化することで、「書類を探す手間を省く」「自動化」「手続きのオンライン化」が期待でき、業務効率化へとつながるのです。
3.時間・場所にとらわれない
ペーパーレス化が進むことで、時間や場所にとらわれずデータにアクセスできます。紙の書類であれば、保管してある場所に行く必要があり、会社に保管してある書類であれば営業時間外に書類を確認することが困難でした。
また、ペーパーレス化により書類がデータ化すれば、パソコンだけでなくスマートフォンやタブレットなどのあらゆる端末で閲覧できます。したがって、外出先や自宅でも業務の継続を可能とします。
4.誰でも資料にアクセスできる
紙の書類で起こりやすい問題として「情報の属人化」が挙げられます。紙の書類を作成した人や共有された一部の人にしか情報が与えられず、各社員が持つ情報量に偏りが出ていました。
しかし、データ化された情報であれば誰でもアクセスできるため、必要な情報を把握しやすくなるのです。
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ペーパーレス化を進める際のデメリット
続いて、ペーパーレス化を進めるうえでのデメリットを解説します。
1.トラブル時に資料が閲覧できない可能性がある
書類をデータ化するには、ツールやシステムの利用が欠かせません。そのため、ツールやシステムが故障するといったトラブルが発生してしまうと、データが閲覧できずに業務を進められない可能性があるのです。したがって、データのバックアップやセキュリティ対策が重要となります。
2.知識がなくツールを使いこなせない
ツールを導入したにもかかわらず、社員がツールを使いこなせなければ、ペーパーレス化のメリットは感じられないでしょう。
そのため、ペーパーレス化にともない研修を設けたり、社内でマニュアルを準備したりするなどの工夫が必要となります。研修を行う際は単にツールの使い方だけでなく、セキュリティの重要性や効果的な利用方法までを共有することがおすすめです。
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ペーパーレス化を阻む4つの要因
DX推進と同時にペーパーレス化を導入する企業が増えつつあります。しかし、ペーパーレス化を導入し円滑な業務を行うまでにいたらない企業も存在し、ペーパーレス化を阻んでいる原因は主に4つが挙げられます。
1.検討中で進まない
ペーパーレス化の導入を検討しているが、検討中のまま導入に踏み出せないケースです。ペーパーレス化にはツールやシステムが必要となり、種類もさまざま存在します。そのため、自社に合った導入方法を見極めるのに時間がかかってしまうのです。
したがって、導入前に帳票をデータ化したりFAXからメールへ移行したりするなど、社内で可能な範囲のペーパーレス化を進め、ペーパーレス化に関する情報収集をすることが重要です。
2.必要なツールなどの知識がない
ペーパーレス化を導入したものの、ツールやシステムの知識がなければ、ペーパーレス化の効果を最大化できません。そもそも「慣れた今までの紙での保管のほうが楽だ」と捉える人や、業種・業界によってはパソコンを使った業務さえないこともあります。
そのため、ペーパーレス化の目的を明確化し共有することが重要です。導入に合わせて同じ業種・業界での導入事例を確認し、自社ではペーパーレス化をどのように扱うのか考え、社員全員がツールをスムーズに利用できるための体制を整えておきましょう。
3.ツールを活用できていない
導入後でも効果的な活用方法が検討されるばかりで、利用方法が確立されない可能性があります。書類をデータ化するのみで、「データを活用できない」「他のマーケティングツールとうまく連携できない」などの問題が考えられます。
そのため、ペーパーレス化に成功している事例を参考に、導入後の活用方法についても、導入前の段階であらかじめ検討しておくとよいでしょう。
4.顧客や取引先との兼ね合い
自社のペーパーレス化が進んでいても、顧客・取引先のペーパーレス化が進んでいないことや、その逆のケースも考えられます。顧客や取引先との兼ね合いで、紙の帳票や納品書でしか受け付けられない場合があるため、顧客・取引先によって方法を変える管理が必要となります。
そのため、データを送付し顧客・取引先が必要であれば印刷してもらうことや、ブラウザ上にデータを保管しアクセスしてもらうなどの方法から取り組むことが重要です。
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ペーパーレス化の推進を円滑にする対策法
では、ペーパーレス化を円滑に進めるための対策法について解説します。社内で今すぐ始められるものやツールの導入など、幅広い方法が存在します。対策法は1つだけでなく、いくつかを併用することでさらなる効果を期待できるでしょう。
1.社員にペーパーレス化の意図を共有する
ペーパーレス化の導入により業務内容が変化するのは、現場の社員です。そのため、社員にペーパーレス化の具体的な目的や意図を共有し、社員からの理解を得ることが重要といえます。
経営層と現場の社員がペーパーレス化に対して同じ意識を持ち業務に取り組むことで、ペーパーレス化の実現につながるでしょう。
2.段階的なペーパーレス化を検討する
ペーパーレス化は段階的に導入しやすいものから取り組みましょう。考えられるペーパーレス化を同じタイミングですべて導入してしまうと、業務内容や方法の急激な変化により、現場の社員の負担となる可能性があります。
そのため、ペーパーレス化は帳票のデータ化といった部分から取り組み、ペーパーレス化を導入する範囲・部署なども、単位ごとに導入することがおすすめです。
3.企業に適したツールを導入する
ペーパーレス化を推進するためのツールはさまざまな種類が存在します。すべてのツールを導入すればよいというわけではなく、自社に適したツールを見極め導入することが重要です。ペーパーレス化の主なツールを以下でご紹介します。
オンラインストレージ
オンラインストレージを利用することで、インターネット上にデータを保管できるため、時間・場所にとらわれないアクセスを可能とします。
オンラインストレージは、機器の購入や専門の人材を必要としないため、莫大な導入コストがかからないという魅力があります。オンラインストレージのメリットには、ペーパーレス化を推進する以外にも、以下の内容が挙げられます。
- あらゆる働き方に対応できる
- 災害やトラブル時にも対応しやすい
- データを一元管理できる
- 自社でシステムのメンテナンスを行う必要がない
- 簡単な手続きと追加料金を支払えば容量を増やせる
電子契約ツール
以前までは紙の契約書が主流でしたが、近年「電子署名」を残すことで契約を交わす方法が普及しつつあります。電子契約の手続きはすべてインターネット上で行われます。電子契約ツールの主なメリットは以下の通りです。
- データ改ざん防止といったコンプライアンスを強化する
- 郵送する手間がなく契約の後れを防ぐ
- 契約工数を減らせる
- テレワークでも契約を進められる
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人事管理システム
人事管理システムは、人事業務に関わるデータを管理するためのシステムです。名前や住所などの基本情報から、「配属」「勤続年数」「給与」などの情報までを一元管理できます。
他にも勤怠管理の機能や採用に関わる業務を進めることも可能であるため、業務効率化につながるでしょう。人事管理システムのメリットは、以下の内容が挙げられます。
- 人事業務の時間や人材を削減できる
- セキュリティを強化する
- 入力や計算などの人的ミスを減少させる
- 人事評価に向けたデータの収集
▷人事管理システム導入のメリット・デメリットとは?わかりやすく解説!
マニュアル作成ツール
マニュアル作成ツールでは、マニュアルを新たに作成するだけでなく、既存のマニュアルを電子化する活用方法もあります。
紙のマニュアルと比べて、管理コストがかからないだけでなく、共有や更新も簡単に行え、更新した内容がすべてに反映されるなどの特徴を持っています。マニュアル作成ツールのメリットを以下にまとめました。
- 専門知識やスキルが必要ない
- 担当者による質のばらつきを防ぐ
- 簡単に共有・更新が可能
- 過去のデータやノウハウが蓄積される
ペーパーレス化はDX推進の第一歩で非常に重要
DX推進に向けた取り組みの中でも、ペーパーレス化は比較的導入しやすいため、DX推進の第一歩といえます。ただ、ペーパーレス化を進めるにあたっての課題があり、その課題は企業によって異なります。
そのため、自社に適したペーパーレス化の導入や活用が重要になるのです。ぜひ自社の状況を再度確認した上でペーパーレス化の検討をしてみてはいかがでしょうか。
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