【クラウド型】EDIシステムを比較!特徴や選び方・導入メリットについて解説
企業間取引の情報を専用回線を通してやり取りする「EDI」。最近は「2024年問題」の影響から、インターネット回線でやり取りする「クラウド型EDI」に注目が集まっています。本記事では、クラウド型EDIシステムを6つ紹介し、それぞれの特徴やメリットを解説します。
目次
クラウド型EDIシステムとは?
EDI(Electronic Data Interchange)とは、企業間取引で発生する契約書や受発注書、納品書などを電子データとして交換するシステムです。紙媒体による処理の煩雑さを解消し、業務のスピードと正確性を向上させてくれます。
以前は専用回線や電話回線を主に利用していたEDIですが、近年ではインターネット回線を用いた形態に進化しています。この形態をクラウド型EDIと呼び、特にWeb-EDIという形式が多く採用されています。特に、2024年問題(固定電話網のIP化にともない、NTTが長年にわたり提供していた「INSネット ディジタル通信モード」が終了する)を受け、多くの企業が従来のEDIからWeb-EDIへと移行を進めており、その多くがクラウド技術を活用しています。
このように、クラウド型EDIは現代のビジネスにおける効率性とスピードを重視する解決策として、ますます注目されています。
[出典:東日本電信電話株式会社・西日本電信電話株式会社「固定電話のIP網への移行後のサービス及び移行スケジュールについて」]
クラウド型EDIシステムの特徴
クラウド型EDIシステムが従来のEDIと大きく異なる点は、専用ソフトウェアのインストールが不要であることです。
クラウド型EDIシステムは、ブラウザ上で直接操作が可能なため、パソコンとインターネット回線があれば、迅速に利用を開始できます。そのため、小規模な企業やはじめてEDIを導入する企業であっても、導入コストをさほど必要としません。
また、クラウド型EDIシステムはISDNなどの専用回線を一切必要としないため、2024年問題を抜本的に解決できる手段の一つとして注目されています。
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【クラウド型】EDIシステム比較
ここでは、クラウド型EDIを採用している6つのシステムを紹介します。
各システムの特長や機能をよく比較して、自社に最適な製品を見つけてください。
クラウドEDI-Platform
クラウドEDI-Platformは、手軽に導入できるクラウドベースのEDIシステムです。
シェアクラウド(共同利用型)サービスのため、顧客からの要望を取り入れ継続的なバージョンアップを行うことで、常に高機能、高品質なサービスが提供されることが強みです。また、同時に複数の接続先を持つ冗長性の高い運営形態で、何らかの理由で1箇所の回線が不通になった場合でも、他の回線を利用してインターネットへの接続を継続運用することを可能にしています。経験豊富な専門スタッフが24時間365日体制で運用、監視していることも見逃せません。
提供元 | 株式会社サイバーリンクス |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン | 要問い合わせ |
機能・特徴 | マルチプロトコル対応、Web-EDI自動化、運用管理ツール、基本業務、仕入先インターフェース、分割納品機能など |
URL | 公式サイト |
EDI-Master Cloud
EDI-Master Cloudは、豊富なOpenAPI(Web API)を提供しシステム間のクラウド連携を実現する、クラウドネイティブな次世代EDIサービスです。
Web APIのサービス基盤はアマゾンウェブサービス(AWS)を採用しています。キヤノンITS はAWSアドバンストティアサービスパートナーであり、豊富なEDIシステムの設計・構築・運用経験と共に、基盤からアプリケーション、EDI運用業務まで高品質なサービスをワンストップで提供しています。また、インターネットEDI主要プロトコルの全銀TCP/IP(広域IP網)(発信・着信)とJX(発信・着信)に対応しています。
提供元 | キヤノンITソリューションズ株式会社 |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン | 要問い合わせ |
機能・特徴 | 通信サービス、変換サービス、基幹連携サービス、ジョブフローサービス、運用管理機能、サービスとの連携など |
URL | 公式サイト |
Biware Cloud
Biware Cloudは、各種EDI取引の一元管理に対応し、 受発注をはじめとする企業間取引を自動化する中小規模向けクラウドサービスです。
メッセージ交換機能では、メッセージ(送受信ファイル)のEDI業界標準フォーマットと、自社業務システムフォーマットとの相互変換に対応しているほか、取引業務に必要な一連の処理の流れ(ワークフロー)を、ドラッグ&ドロップ操作によって簡単に構築して自動化できます。汎用性の高いWeb APIとSFTPファイル連携機能で、クラウド上の各種業務システムと連携できることも強みです。
提供元 | 株式会社インターコム |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン | 96,800円(税込)/月~ |
導入実績 | 60,000社以上 |
機能・特徴 | メッセージ変換、ワークフロー作成、スケジュール管理、運用状況監視、送受信ファイル管理、流通BMSスキーマチェックなど |
URL | 公式サイト |
JFT/SaaS
JFT/SaaSは、大規模VANでの利用実績を持つ安定したクラウド型EDIサービスです。
多くの主要プロトコル(全銀ベーシック手順、全銀TCP/IP手順、全銀TLS手順、JCA手順)に対応しているので、回線を含むトータルのコストダウンと運用負荷の軽減に最適です。また、20年以上の経験を持つEDI専任エンジニアが、顧客に寄り添って問題解決にあたる充実のサポート体制が備わっています。サービス利用申請書を提出後は、最短で10営業日で利用を開始できるスピードも強みです。
提供元 | 株式会社TOKAIコミュニケーションズ |
初期費用 | 基本設定(20接続先まで):12万円 通信機能(1手順):60,000円 |
料金プラン | ■Smallプラン(1カ月の通信処理数1,000件以下) 通信機能(1手順):30,000円 データ変換機能・カスタマイズ対応:30,000円 ■Mediumプラン(1カ月の通信処理数1,001件~3,000件) 通信機能(1手順):60,000円 データ変換機能・カスタマイズ対応:60,000円 ■Largeプラン(1カ月の通信処理数3,001件~5,000件) 通信機能(1手順):90,000円 データ変換機能・カスタマイズ対応:90,000円 |
機能・特徴 | スケジューリング(即時起動/時刻指定/自動リトライ)、コマンドAPI連携 、メール通知、フォーマット変換(固定長/可変長/CSV/XMLなど)など |
URL | 公式サイト |
スマクラ
スマクラは、EDIサービス提供約40年、本部契約300社以上、年間数10兆円を超える商取引情報を支え続ける、クラウド型のEDIシステム連携基盤サービスです。
インターネットEDI、Web-EDI、流通BMS、FAX配信など、幅広いEDIニーズに柔軟に対応し、各種多様なプロトコル変換、マッピングに対応可能なEDIサービスを提供しています。全銀EDIシステム(ファームバンキング)にも対応した金融EDI、海外接続や業界VANとの接続実績も豊富であり、さまざまな企業に導入されています。
提供元 | SCSK株式会社 |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン | 要問い合わせ |
導入実績 | 接続端末30,000社以上 |
機能・特徴 | 流通BMS機能、統合EDI機能、トランスレート機能、業務管理機能、データ交換機能、再処理要求、メール通知機能など |
URL | 公式サイト |
EdiGate/POST
EdiGate/POSTは、仕入先との EDI(電子化)を低コスト・短納期で実現できるクラウド型のWEBーEDIサービスです。
社内システムと連携することで、仕入先との注文書発行業務のコスト削減や納期確認作業を軽減しつつ、リードタイムの短縮も実現します。操作方法は極めてシンプルであり、インターネットに接続するだけでEDIが利用できるので、仕入先にも負担がかかりません。帳票配付業務を従来のFAXシステムからEdiGate/POSTに変えることで、大幅なコスト削減効果を得ることができるでしょう。
提供元 | 大興電子通信株式会社 |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン | 要問い合わせ |
導入実績 | 190社以上 |
機能・特徴 | 帳票作成、配付方法の選択、納期回答照会、グループ機能、マスタ管理、掲示板、操作履歴、お知らせ通知メール、データアップロードなど |
URL | 公式サイト |
クラウド型EDIシステムの導入メリット
クラウド型EDIシステムの導入には、運用の柔軟性向上、保守の簡素化など多くのメリットがあります。以下に、これらのメリットを詳しく解説していきます。
インストールが不要のためすぐに利用を開始できる
クラウド型EDIシステムの大きな魅力の一つは、インストール作業が一切不要であることです。
従来のEDIシステムでは、専用のソフトウェアを各端末にインストールし、煩わしい設定を済ませる必要がありましたが、クラウド型EDIではそのような手間がありません。インターネットに接続できる環境があれば、すぐにデータの送受信を始めることが可能です。このメリットは、迅速さが求められる新規プロジェクトの立ち上げなどで、大きな強みを発揮できるでしょう。
インターネット回線を利用するためデータの通信速度が速くなる
クラウド型EDIシステムは、従来のEDIよりも通信速度が圧倒的に早くなります。
旧来のシステムが主に電話回線による専用線を利用していたのに対し、クラウド型EDIは高速なインターネット回線を使用しています。これにより、一定のセキュリティリスクと引き換えに、データの送受信速度が大幅に向上しました。通信速度の向上はそのまま受発注処理のスピードアップにつながり、企業の業務効率を大幅に向上させてくれるでしょう。
システムの導入・運用費用を抑えられる
クラウド型EDIシステムを導入すれば、企業は自社で物理的なインフラを用意する必要がありません。
これにより、システム導入に伴う初期投資を大幅に削減できます。また、クラウド型EDIは、ベンダーがシステムの保守やアップデートを担当するため、運用にかかる人的資源やコストも節約できます。企業はITスタッフを大規模に確保することなく、最新の技術を活用した効率的なデータ交換を実現できるようになります。特に中小企業にとって、業務効率を向上させる絶好の機会となるでしょう。
通信データの暗号化によってセキュリティリスクを低減できる
以前は存在したクラウド型EDIに対するセキュリティリスクは、近年の暗号化技術の進展によって大きく低減されています。
現在のクラウド型EDIでは、通信データは高度な暗号化プロトコルによって保護されており、不正アクセスやデータ漏洩のリスクを効果的に抑制できます。さらに、市場原理による競争から、ベンダーはセキュリティの専門知識を常に更新し続けています。そのため、企業が自らセキュリティ対策を講じることよりも、遥かに高い安全性を保つことができる状況が整えられています。クラウド型EDIは、企業が各々のビジネスに集中することをサポートしてくれるでしょう。
企業間取引で発生する書類のペーパーレス化が実現する
クラウド型EDIに限ったメリットではないものの、EDIの導入によるペーパーレス効果は、費用対効果を格段に向上させる手段の一つです。
EDIを利用することで、注文書や納品書、請求書などの商取引に関連する文書を紙ではなく電子データとして交換することが可能になります。ペーパーレス化は大幅なコスト削減とプロセスの迅速化をもたらし、情報の即時性と正確性を高めてくれます。また、EDIによる電子データは物理的な保管スペースを必要としないため、オフィス環境の最適化にも寄与するでしょう。初期コストの問題でEDIの導入が遅れていた企業でも、クラウド型EDIであれば低コストでペーパーレス化の恩恵を受けることが可能です。
▷EDIと電子契約の違い・共通点とは?特徴やメリット・使い分けのポイントについて
クラウド型EDIシステムの選び方
クラウド型EDIシステムを選ぶ際は、何を基準に判断すれば良いのでしょうか?以下に、適切な選択を行うコツを詳しく解説します。
通信プロトコルの種類で選ぶ
クラウド型EDIシステムを選ぶ際に重要なポイントの一つが、通信プロトコルのサポート範囲です。
Web-EDIは標準化されていないため、取引先のEDI仕様に柔軟に対応できるクラウド型EDIシステムが理想とされます。つまり、取引先との互換性を保つため、複数の通信プロトコルをサポートする製品を選ぶことが重要です。以下に代表的な通信プロトコルを示します。
- FTP(File Transfer Protocol): ファイル転送に広く使用されるプロトコル
- SFTP(Secure File Transfer Protocol): FTPよりもセキュリティの高いファイル転送を実現
- AS2(Applicability Statement 2): セキュリティを強化したインターネット上でのデータ交換プロトコル
- JX手順: 流通BMSが、採用している通信プロトコル
これらのプロトコルをサポートするシステムを選ぶことで、異なる技術基盤を持つ取引先ともスムーズにデータ交換ができる可能性が高まるでしょう。ただし、使用頻度の高いプロトコルは業界によってさまざまですので、導入前によく確認しておくことが大切です。
同業界での導入実績で選ぶ
EDIシステムを選定する際、同業界での導入実績は非常に重要な判断基準の一つです。
各業界に特有の取引プロセスやデータ形式が存在するため、その業界に精通したクラウド型EDIシステムでなければ、その要求に適切に応えることができない可能性があります。しかし、特定の業界に導入実績が豊富なEDIシステムであれば、その業界特有の課題を理解し、解決するためのノウハウが豊富に蓄積されているはずです。また、システム導入後のトラブルが少なく、スムーズな運用移行が可能になるため、以下のようなメリットを見込むこともできます。
- 業界特有の要件に対するカスタマイズが容易
- 問題発生時の迅速なサポート
- 同業他社とのデータ連携がスムーズ
つまり、自社が所属する業界での導入実績を確認し、信頼できるクラウド型EDIシステムを選ぶことが非常に効果的です。
無料トライアルの有無で選ぶ
クラウド型EDIシステムを選ぶ際、無料トライアルの有無は重要な判断基準となります。
無料トライアル期間中には、特にユーザーインターフェースの使いやすさ、必要な機能がすべて含まれているか、ベンダーのカスタマーサポートの対応速度と質などをチェックするとよいでしょう。クラウド型のシステムは初期費用がほぼかからないため、システムの乗り換えは比較的容易な作りになっていることは確かです。しかし、無料トライアルを賢く利用することが、システム選びのコツであることは変わりません。
▷金融EDIとは?ZEDIとの関係やメリット・導入方法をわかりやすく解説
クラウド型EDIシステムを導入し企業間取引を効率化しよう
クラウド型EDIシステムは、企業間取引の効率化に大きく寄与するツールです。
ハードやソフトを自前で用意する必要がなく、すぐに利用開始できる上にインターネットを通じた高速なデータ通信が可能です。また、システムの導入・運用コストの削減、通信データの暗号化によるセキュリティの向上、さらには取引書類のペーパーレス化の恩恵を受けることができるでしょう。クラウド型EDIシステムを上手に活用し、業務のスリム化とコスト削減を実現してください。
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