ハイパフォーマーとは?特徴や性格は?人材育成・退職を防ぐ方法も解説
ハイパフォーマーとは、高い成果を上げる生産性の高い人材のことです。労働人口の減少などを背景に昨今、このハイパフォーマーに注目が集まっています。そこで本記事では、そんなハイパフォーマーについて、特徴や育成方法など詳しく解説していきますので、ぜひ参考にしてください。
目次
ハイパフォーマーとは?
ハイパフォーマーとは、業務において豊富な「知識」「技術」「経験」などを持ち、優れたパフォーマンスを発揮する人材を指します。
ハイパフォーマーの存在は、企業の生産性や業績の向上に大きく貢献するといえます。
ハイパフォーマーの特徴や性格
ハイパフォーマーの特徴や性格について、7つ紹介します。
成果に対するこだわりが強い
ハイパフォーマーは、業務においていかに成果を出せるのかというこだわりを持っています。成果を出すためには知識や経験が必要です。しかし、知識や経験があるからといって、必ず成果につながるのかといえば、そうではありません。
ハイパフォーマーは、たとえ課題や問題が生じても、それを乗り越えようと試行錯誤することで、成果につなげているのです。
行動力がある
ハイパフォーマーには行動力があり、「行動しなければ成果は出ない」ということを知っています。
もちろんハイパフォーマーでも行動していくなかで失敗することもあるでしょう。しかし、ハイパフォーマーは「次に何をすればよいのか」を考え、迅速に次の行動へと軸を移しています。
失敗は一見、遠回りしているようにも感じられますが、迅速な行動を続けることで後れを取ることなく成果に辿り着いているのです。
部下や後輩からも信頼が厚い
ハイパフォーマーは部下や後輩から信頼されていることが多く、理由としては「積極的な指導」や「部下や後輩のミスに対するフォロー」を行っていることが挙げられます。また、豊富な知識や経験を持っているため、指導やフォロー内容が適切であるともいえます。
そして、成果をあげるためにはチーム内での協力が欠かせません。このことを理解しているハイパフォーマーだからこそ、部下や後輩と積極的に関わろうとするのです。
コミュニケーションスキルが高い
ハイパフォーマーはコミュニケーションスキルが高く、チームと連携して業務を進めます。豊富な知識や経験があっても1人で仕事を進めるには限界があり、チームとしての生産性を低下させることも考えられます。
そのため、ハイパフォーマーはチームと積極的にコミュニケーションをとることで人間関係を良好に保ち、高いパフォーマンスで機能するための環境構築に貢献しているのです。
ポジティブマインドを持っている
ハイパフォーマーはポジティブマインドを持っているため、課題や挫折に対して「どうすれば乗り越えられるか」と前向きに考えます。
ビジネスにおいては、失敗や挫折することは珍しくありません。しかし、落ち込んでばかりでは状況がよくなることはないでしょう。そのため、マイナスの局面でいかに物事を前向きにとらえられるのかが大切なのです。
自主的にスキルを磨いている
ハイパフォーマーは現在のスキルに満足することなく、自らスキルを磨き続けています。自分が何を期待されているのかを理解し、その期待に応えるために必要なスキルを身につけようとしているのです。
また、成果を出すために求められる知識やスキルは、状況に応じて変化するでしょう。そのため、現在のスキルだけでは成果につなげられないことを予測し、スキル向上に力を注いでいるのです。
オンとオフのメリハリをつけるのが上手い
ハイパフォーマーはオンとオフの切り替えがうまく、休むときはしっかり休みます。適切に休息がとれていなければ、仕事への影響も出るでしょう。また、休日までダラダラと仕事を持ち込むことは、仕事のやり方として非効率といえます。
このように、ハイパフォーマーは仕事に備えて休息を取っており、業務を行う際には高い集中力と効率的な方法でパフォーマンスを発揮しているのです。
ハイパフォーマーを構成する2つの要素
ハイパフォーマーを構成する要素は「能力要件」と「行動要件」の2つです。どちらもハイパフォーマーに共通する能力や行動を示しています。
なかでも、ハイパフォーマーに共通する行動要件のことを「コンピテンシー」ともいい、「人事評価」「採用」「人材育成」などに活用されます。
コンピテンシーは、ハイパフォーマーの行動や思考を分析することで明確にできますが、職種や役割などによって異なるため、それぞれで設定することが大切です。
コンピテンシーを有効活用することも重要
ハイパフォーマーや生産性向上を目指すためには、コンピテンシーの活用も重要といえます。もちろん、自分なりに試行錯誤していくことも大切です。
しかし、実際の成功事例や身近なハイパフォーマーのコンピテンシーをもとに、自身の行動へ取り入れることで、ハイパフォーマーに近づけるかもしれません。
ハイパフォーマーを目指すための方法はさまざまです。ただ、コンピテンシーの活用はパフォーマンスを向上させるための手段として効果的といえます。
ハイパフォーマーを育成するメリットや効果
ハイパフォーマーは、企業やチームにとってあらゆるメリットや効果をもたらします。そのため、企業内でハイパフォーマーを育成することが大切です。
そこで、ハイパフォーマーを育成するメリットと効果について、1つずつ解説します。
業績の向上
ハイパフォーマーは高いスキルを活かし、さまざまな場面で成果をあげるため、企業の業績向上につながるでしょう。
また、ハイパフォーマーを職種や役割ごとに配置することで、さらなる業績向上が期待できます。そのため、ハイパフォーマーは積極的に育成していくべきといえます。
チームビルディングの強化
ハイパフォーマーがいればチーム力の向上につながります。なぜなら、ハイパフォーマーは高いスキルや、そのスキルをチームで共有するマインドを持っているためです。チームのメンバーがハイパフォーマーの持つスキルを身につけることで、チーム力の向上につながるのです。
また、ハイパフォーマーは自分だけが成果をあげるのではなく、チームとして結果につなげることにもこだわっています。そのため、チームの連携が増え、チーム内の仕組みや人間関係にもよい影響を与えるでしょう。
他従業員のモチベーションアップ
ハイパフォーマーの存在は、他の従業員のモチベーションアップにもつながります。それは、ハイパフォーマーが成果をあげる姿や、その過程を知ることで「マネすれば自分にもできるかもしれない」という可能性を感じさせるためです。
また、仕事の取り組み方の手本として意識すれば、他の従業員の業務効率化も期待できるでしょう。
採用業務の優秀な人材獲得に貢献
社内のハイパフォーマーを分析することができれば、採用業務にも活用できます。優秀な人材や自社にマッチした人材を獲得するには、学歴や主観にとらわれず客観的視点から判断することが大切です。
そこで、社内のハイパフォーマーを分析し、その結果をもとに採用すれば、ハイパフォーマーと似た特性を持つ人材の確保が期待できます。また、優秀な人材の確保だけでなく、業務のミスマッチも防げるでしょう。
ハイパフォーマーの育成方法
社内でハイパフォーマーを育成する方法について解説します。
分析・要件定義
まずは、ハイパフォーマーの定義を定めましょう。定義を設定するには、社内のハイパフォーマーがどのような能力を持ち、どのような行動をしているのかを分析します。分析は主にハイパフォーマーとの面談や行動観察によっておこないます。
表面的な行動だけでなく、考え方や経験などハイパフォーマーの軸となる部分まで分析することが大切です。面談では以下のような内容をヒアリングしましょう。
- 過去の経験
- 仕事内容
- 価値観
- 知識や技術
- 意識している行動
ただ、ハイパフォーマーは職種や役割ごとに配置することが理想であるため、社内の職種や役割ごとのハイパフォーマーを特定し、分析することがポイントです。
育成体系の構築
次に、ハイパフォーマーの分析によって見い出した定義に基づき、具体的にどのような研修をおこなえばよいのかを考えます。
ただ、ハイパフォーマーの定義や他の従業員がすでに持っているスキルには違いがあるため、状況に応じた研修体制を整えなければなりません。そのため、ハイパフォーマーとそうでない従業員のギャップを洗い出し、差を埋めるように取り組むとよいでしょう。
そして、研修を実施するだけでなく、研修において疑問点や消化できていない点がないかなど、必ず従業員のフォローまでできる体制を整えることが大切です。
ハイパフォーマーとローパフォーマーの関係
ローパフォーマーとは、ハイパフォーマーと逆の意味を持ち、「成果をあげられない」「生産性が低い」などの特徴を持つ人材のことです。
ハイパフォーマーがローパフォーマーをフォローする回数が増えれば、ハイパフォーマーやチームの足を引っ張る可能性があります。そのため企業にとっては、ローパフォーマーのフォローをはじめ、ローパフォーマーを生み出さない工夫をしなければなりません。
ここでは、ハイパフォーマーとローパフォーマーの関係を示した2つの法則を紹介します。
8:2の法則(パレートの法則)
「8:2の法則」は「80:20の法則」や「パレートの法則」などとも呼ばれる法則で、企業全体の売り上げの8割を、ハイパフォーマーである2割の従業員が生み出しているという法則です。つまり、企業としての売り上げの多くをハイパフォーマーが担っていることになります。
この場合、ローパフォーマーにハイパフォーマーの取り組みを妨げられることは回避したいところです。従って、ローパフォーマーをできる限り増やさない取り組みが重要といえるでしょう。
2-6-2の法則
2-6-2の法則とは、従業員は「ハイパフォーマー2割、平均的な従業員6割、ローパフォーマー2割」に分類されるといった法則です。2-6-2の法則でいえば、2割のローパフォーマーの存在は致し方ないことであるようにも捉えられます。
ただ、「ローパフォーマーが2割いることは致し方ない」と捉えてしまえば、その状況に対策を施す努力をせず、ローパフォーマーを放置してしまうかもしれません。そのため、「2割は致し方ない」ではなく、できる限り数を減らす取り組みを実施することが大切です。
ハイパフォーマーの退職や転職を防ぐには?
ハイパフォーマーを確保したり育成できたりしたとしても、退職や転職によって流出してしまえば企業にとって大きな損失となるでしょう。
そこで、ハイパフォーマーの退職や転職を防ぐポイントをご説明します。
ローパフォーマーを増やさない
ハイパフォーマーを確保していくためには、ローパフォーマーを増やさないことも重要です。ローパフォーマーは時に、ハイパフォーマーの業務に支障をきたす懸念があるため、ハイパフォーマーがパフォーマンスを最大化できない恐れがあります。
ハイパフォーマーが思うように動けずフォローにばかり回れば、自分のスキルを発揮できないと判断し、退職や転職を考える可能性も否めません。
評価制度を適切に整備する
ハイパフォーマーは業務において期待されることも多く、プレッシャーの中で期待に応えようと行動しています。そのため、あげた成果が正しく評価されるための制度が必要です。
「期待に応えて成果をあげたのに評価してもらえなかった」ということが起これば、会社へ不満を抱く可能性があるでしょう。
ただし、評価を給与や賞与に反映する場合、周りの従業員とのギャップが大きければ、周りの従業員から反感や不満が出ることもあるため、注意しなければなりません。
定期的に面談やアンケートを実施する
ハイパフォーマーも悩みや不満を持つことがあるでしょう。従って、ハイパフォーマーの悩み・不満をいち早く察知し、対応しなければなりません。そのためには、定期的な面談やアンケートを実施し、常に現状を把握することが大切です。
データを分析して正しい原因を把握し、改善する
もしハイパフォーマーの退職があった場合、その流れが相次ぐことのないよう退職の原因を分析しましょう。
今ある評価制度や仕事に対するストレス、業務量や期待値など、分析する内容はさまざまです。このように、退職の原因を具体的に究明し、次の退職を防ぐための改善策を打ち立てることが必要です。
ハイパフォーマーを育成・確保して企業の業績を向上へ
ハイパフォーマーは高いパフォーマンスで企業やチームをよい方向へと導いてくれる存在です。そのため、外部からの確保だけでなく、社内での育成にも積極的に力を入れましょう。
また、ハイパフォーマーだけに頼ってプレッシャーや負担をかけ過ぎることのないよう、会社はハイパフォーマーが力を最大化できる環境を整備することが、ハイパフォーマーである従業員や会社の未来のためにも大切です。
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