インフルエンサーマーケティングの市場規模とは?成長性や始め方についても解説
インフルエンサーに商材をPRしてもらい認知拡大や売上向上を狙う「インフルエンサーマーケティング」。取り組む企業が増え、市場規模や今後の成長はどうか気になっている人も多いのではないでしょうか。本記事では、インフルエンサーマーケティングの市場規模について解説します。
目次
インフルエンサーマーケティングの市場規模
株式会社サイバー・バズと株式会社デジタルインファクトが行った2022年国内ソーシャルメディアマーケティングの市場動向調査によると、2023年の国内ソーシャルメディアマーケティング市場規模は1兆899億円が見込まれています。成長率の見通しは前年比117%と高いのが特徴で、内訳は「ソーシャルメディア広告」は9724億円、「インフルエンサーマーケティング」は741億円を占めています。
背景には、企業のマーケティング活動におけるソーシャルメディアの重要性が高まっている点が挙げられるでしょう。そのため、今後もインフルエンサーマーケティングの市場は拡大傾向だと考えられます。
[出典:株式会社サイバー・バズ/株式会社デジタルインファクト調べ「2022年国内ソーシャルメディアマーケティングの市場動向調査」]
YouTubeの市場規模
YouTubeは世界的な動画共有サイトで、男女問わず全世代が利用しているSNSです。そのため、幅広い商品やサービスのマーケティングに活用されています。
動画なので、テキストや写真よりもユーザーに商品やサービスの特色を伝えやすく、訴求力が高いSNSと言えるでしょう。ショート動画やライブ配信など発信方法を選べるメリットもあります。
株式会社サイバー・バズの調査結果によると、日本国内のインフルエンサーマーケティングの市場規模において最も大きい割合を占めるのがYouTubeです。2022年の市場規模は240億円ですが、2027年には487億円に達すると見込まれています。
Instagramの市場規模
Instagramは写真や動画を共有するSNSで、中心となる利用者は、Z世代やミレニアル世代です。Instagramのインフルエンサーはインスタグラマーと呼ばれています。「写真映え」する商材に適したSNSなので、ファッションやコスメ、グルメやインテリア、旅行などのマーケティングと相性がよいと言えるでしょう。
「Instagramライブ」を使えばリアルタイムでユーザーとコミュニケーションができるため、新商品の発表やキャンペーン告知などに効果を発揮します。
株式会社サイバー・バズの調査結果では、日本国内のインフルエンサーマーケティングの市場規模においてYouTubeの次に大きい割合を占めるのがInstagramです。2022年の市場規模は155億円ですが、2027年には310億円と市場規模は2倍になると見込まれています。
X(旧Twitter)の市場規模
X(旧Twitter)はテキストをメインとしたSNSで、全世界にユーザーがいる中、日本国内での利用者が多いという特徴があります。X Premium加入者以外は投稿できるのが140文字までなので、手軽に読める点がメリットと言えるでしょう。
他のSNSに比べ拡散力が高く、投稿がユーザーの関心を集めれば多くの人に情報が広がる可能性があります。また投稿にURLを貼れるため、問い合わせや購買などのアクションにつなげやすい特色を持っています。
株式会社サイバー・バズの調査結果では、2022年時点でのX(旧Twitter)の日本国内のインフルエンサーマーケティングの市場規模は110億円です。2027年には185億円に達すると推測され、拡大傾向が見てとれます。
TikTokの市場規模
TikTokはショート動画を専門としたSNSで、10〜20代の利用者が多いという特徴があります。そのため、若者向けの商品やサービスのマーケティングに適していると言えるでしょう。
特徴として、「#(ハッシュタグ)」を使った「ハッシュタグチャレンジ」やデジタルコミュニケーション機能を使った「ブランドエフェクト」など、TikTokオリジナルのマーケティング施策が行える点が挙げられます。
株式会社サイバー・バズの調査結果では、2022年時点でのTikTokの日本国内のインフルエンサーマーケティングの市場規模はX(旧Twitter)同様110億円です。しかし、2027年には320億円と急激な拡大が予測されています。
インフルエンサーマーケティングの成長性
株式会社サイバー・バズによる2022年の調査によると、ソーシャルメディアマーケティング市場は2027年には1兆8868億円規模になると推測されています。インフルエンサーマーケティング市場を見ると、2027年には1302億円に達するとされており、これは2023年の約1.8倍です。
この背景には、テレビなど大手マスメディアで活躍していた芸能人が、YouTubeなどSNSでの活動に力を入れ始め、その結果消費行動への影響力が増したことがあるでしょう。
さらに、消費者の情報収集の場も変化しつつあります。以前は検索エンジンを利用していた消費者が、SNSで検索を行うようになりました。その結果、インフルエンサーマーケティングの需要がさらに高まり、今後も市場は拡大すると見込まれています。
▷インフルエンサーマーケティングとは?効果や始め方・メリットとデメリットを解説
インフルエンサーマーケティングの始め方
認知拡大や売上向上などにつながるインフルエンサーマーケティングを始める方法について、具体的にお伝えします。これからインフルエンサーマーケティングに着手しようと考えている企業は、ぜひ参考にしてください。
インフルエンサーマーケティングのプランニングをする
最初にインフルエンサーマーケティングのプランニングを行いましょう。そのためには、認知拡大や売上向上など、インフルエンサーマーケティングを実施する目的を明らかにすることが重要です。
そのうえで、最終目標と中間目標を設定します。目標を立てる際は、必ず具体的な数値を設定してください。数値が設定されていなければ、効果測定ができないためです。認知拡大が目的であればシェア数やリーチ数、売上向上であればユーザー登録数や購入数などの目標数値を決めましょう。
プランニングの段階で、予算決めやターゲット設定も行います。予算やターゲットによって依頼するインフルエンサーや利用するSNSは異なるため、十分に検討しましょう。インフルエンサーマーケティング施策の実施時期も、併せて決めてください。
インフルエンサーのキャスティングをする
インフルエンサーマーケティングのプランニングが終わったら、インフルエンサーのキャスティングを行います。インフルエンサーマーケティングの成否を左右するため、慎重に選択する必要があります。
インフルエンサーをキャスティングする際は、定量的・定性的の両面から検討してください。定量的な面では、フォロワー数やリアクション数などをチェックします。定性的な面では、商品やサービスの世界観とインフルエンサーとの親和性や、投稿内容の質を確認しましょう。
キャスティング方法は、インフルエンサーマーケティング会社やインフルエンサーの所属事務所に依頼する方法と、インフルエンサーに直接依頼する方法があります。
インフルエンサーマーケティングのノウハウが自社にないときは、インフルエンサーマーケティング会社に依頼するとよいでしょう。適切なインフルエンサーが見つからない場合は、紹介してもらえます。直接依頼するケースでは、音信不通になるなどトラブルが発生するリスクもあることに注意が必要です。
インフルエンサーマーケティングの施策を実行する
インフルエンサーのキャスティングができたら、施策を実行します。インフルエンサーに自社の商品やサービスの世界観・特徴を伝え、商品やサービスを体験してもらいましょう。イベントに登壇してもらう場合、当日の進行内容を伝え、イベントに招待します。
商品やサービスの体験後やイベント登壇後は、インフルエンサーの投稿内容を確認しましょう。後で検証できるように、投稿内容やコメントはスクリーンショットを撮ることをおすすめします。
インフルエンサーマーケティング施策の効果測定・検証をする
施策を実施後は、インフルエンサーマーケティングの効果を測定し、検証を行いましょう。フォロワー数やコメント数などを目標値と比較します。投稿に関する詳細なデータは、インフルエンサーに提供を依頼してください。コメント内容なども確認し、認知拡大やブランドイメージの変容に効果が見られるのか、チェックしましょう。
目標値に到達しなかった場合は、課題を洗い出します。そのうえで、インフルエンサーの変更やイベント内容の見直しなど改善につなげてください。
▷【SNS別】インフルエンサーマーケティングの成功事例まとめ|成功させる秘訣も解説
インフルエンサーマーケティングにかかる費用・相場
インフルエンサーマーケティングを実施するには、さまざまな費用がかかります。費用の内訳と相場をお伝えするので、参考にしてください。
インフルエンサーの依頼費
インフルエンサーマーケティングで必ず発生するのが、インフルエンサーへの出演費や依頼費です。
インフルエンサーの依頼費の目安は、「フォロワー数×2〜5円」とされています。仮にフォロワー数が30,000人のインフルエンサーに依頼する場合、「30,000人×2〜5円=60,000〜15万円」が目安です。
ただし、YouTubeは動画編集に労力がかかるため、他のSNSのインフルエンサーに比べて費用が高額になる傾向があります。また、特に知名度が高いインフルエンサーは、より多くの費用がかかるケースもあるので、依頼時には必ず費用を確認してください。
その他諸費用
インフルエンサーマーケティングには、インフルエンサーの依頼費以外にもコストがかかります。その他にかかる諸費用をご紹介しましょう。
商材の配送費
インフルエンサーにコスメや食品など自社の商品を紹介してもらうケースでは、インフルエンサーへの商材の配送費が発生します。当然、インフルエンサーには、商品を無償で提供するので、商品の代金も企業負担です。
インフルエンサーマーケティング会社・広告代理店への手数料
インフルエンサーマーケティング会社や広告代理店を介してインフルエンサーに依頼する場合は、インフルエンサーマーケティング会社や広告代理店への手数料が必要です。代理店への手数料は、依頼費の10〜30%と考えておきましょう。
一部の代理店は、成果報酬型の料金体系を採用しています。依頼前に料金体系を十分に確認し、後でトラブルが起きないように注意してください。
▷おすすめのインフルエンサーマーケティング会社15選!注意点や費用・選び方のコツ
交通費・宿泊費
イベントへの登壇や店舗でのサービス体験を依頼するケースでは、交通費が発生します。観光地の紹介を依頼する案件では、場所にもよりますが、宿泊費も必要となるでしょう。
こうした案件は、インフルエンサーの拘束時間が長くなるため、依頼費も高額になる可能性があります。
インフルエンサーマーケティングを成功させるコツ
インフルエンサーの影響力に期待してインフルエンサーマーケティングを実施しても、必ずしも成功するとは限りません。インフルエンサーマーケティングを成功させるために押さえておきたいポイントをお伝えしましょう。
インフルエンサーに商材のファンになってもらう
インフルエンサーに商材のファンになってもらえるように、インフルエンサーに開発の背景や商材の長所、使い勝手などを十分に伝えましょう。
インフルエンサーが商品やサービスに魅力を感じていれば、自然とレビューに熱意がこもり、フォロワーにもよさが伝わります。インフルエンサーに対するフォロワーの信頼も増すため、インフルエンサーにとってもメリットがあるでしょう。
反対に、インフルエンサーが商材に魅力を感じていなければ、フォロワーによさは伝わりません。さらにレビューに嘘や誇張が含まれれば、インフルエンサーや企業、商品やサービスのイメージダウンにもつながるため、注意が必要です。
インフルエンサーの個性を尊重する
インフルエンサーをキャスティングする際は、インフルエンサーの個性を重視し、依頼時も個性を尊重しましょう。インフルエンサーが多くの人からフォローされているのは、その個性に魅力を感じているためです。フォロワーに自社の商品やサービスのよさを伝えるには、その魅力を最大限活用できるように環境を整える必要があります。
そのためにも、依頼前にはインフルエンサーの属性だけではなく、フォロワーの属性やインフルエンサーが支持されている理由も確認してください。フォロワーと自社のターゲットがマッチしていなければ、インフルエンサーに自社の商品やサービスを取り上げてもらっても効果は出ません。もちろん、フォロワーにとっても投稿に価値を感じられないでしょう。
また、いくら自社の商品やサービスの魅力を伝えてほしいからといって、取り上げ方などについて細かく指示を出してしまうと、インフルエンサーの個性が活かされません。指示の出し方や加減には十分注意してください。
フォロワー数ではなくエンゲージメント率に着目する
インフルエンサーマーケティングでは、インフルエンサーのフォロワー数よりもエンゲージメント率に着目しましょう。エンゲージメント率とは、投稿に対する反応を示す割合です。反応には、「いいね」のクリックやコメント、リポストなどが含まれます。
エンゲージメント率が高ければ、ユーザーの関心を集め共感を得られているため、ブランドイメージの向上や購買につながる可能性があります。加えて、エンゲージメント率が高い投稿は、SNSのアルゴリズムにより露出が増えるため、より多くの人に情報を伝えられるでしょう。
エンゲージメント率を高めるには投稿の質を高めるほかに、ユーザーのコメントに返信をするなど、コミュニケーションを増やすことも大切です。さらに、投稿する時間帯でもエンゲージメント率は変化するため、閲覧者が少ない早朝や夜間の投稿は避けてください。
炎上のリスクに備える
インフルエンサーマーケティングには、コンプライアンス上問題がある発言などをきっかけに、インフルエンサーが炎上するリスクがあります。インフルエンサーを選ぶ際は、過去の投稿などを確認し、インフルエンサーのリテラシーをチェックしてください。
併せて、ステマにも注意が必要です。ステマとは「ステルスマーケティング」の略で、宣伝であることを隠してインフルエンサーが商品やサービスを紹介する行為を指します。
広告の場合、インフルエンサーは投稿に「#PR」などのPRタグをつけ、広告だと分かるようにするのが一般的です。こうした表明をせずに商品やサービスを紹介すると、ユーザーはインフルエンサー自身が気に入った商品やサービスを自発的に紹介していると判断します。その後、ステマだと判明すれば、ユーザーは不快に感じ、インフルエンサーや紹介された商品・サービスに悪印象を持ってしまうでしょう。
したがって、契約時に必ずステマ行為を行わないようにインフルエンサーや広告代理店などに伝えてください。
SNS媒体のアップデートを把握する
各SNS媒体は、頻繁にアップデートを行っているため、新機能などを随時把握しましょう。例えば、YouTubeでは最大60秒までのショート動画をパソコンから投稿できるようになりました。ショート動画は縦長の動画なので、スマホでも撮影が可能です。
新機能は、まだ同業他社が利用していない可能性があるため、早期に取り組むことで優位に立てるかもしれません。SNS媒体のアップデートについて常にチェックし、積極的に活用しましょう。
インフルエンサーマーケティングの市場規模は今後も拡大する傾向
ソーシャルメディアマーケティングの市場規模と同じく、インフルエンサーマーケティングの市場規模も、今後ますます拡大していくと見られます。より多くの消費者に自社の商品やサービスの情報を届けるうえで、インフルエンサーマーケティングは大きな役割を果たすでしょう。本記事を参考にぜひ取り組んでみてください。
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