請求書に印鑑は必要なのか?押す位置やハンコの種類・電子印鑑について

請求書に印鑑を押す必要はあるのでしょうか。また、オンラインでのやり取りも増えてきている中、電子印鑑は使用しても良いのでしょうか。本記事では、法的に請求書に印鑑は必要かどうかの解説や、印鑑を押すときの位置や注意点を紹介します。
目次
法律上請求書に印鑑は必要?
法律上、請求書に印鑑を押す必要はありません。そもそも、請求書でやりとりをしなければいけないという法律がないからです。
しかし、ほとんどの企業が請求書を発行する際に印鑑を押します。後ほど詳しく解説しますが、印鑑を押すことで発行者の証明ができ、請求書の信頼度が高まるからです。
例え法律で必要ないとしても、スムーズな取引を行うために請求書には印鑑を押した方がいいでしょう。
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請求書に印鑑を押した方が良い理由
請求書に印鑑を押した方が良い理由は以下の3つです。
- 改ざんされてしまう恐れがある
- 信頼度が増す
- 印鑑がないと受け付けてもらえない可能性がある
(1)改ざんされてしまう恐れがある
請求書に押す印鑑には、改ざんのリスクを減らす目的があります。
印鑑を押していない請求書は複製がしやすく、印鑑を押している請求書は複製が難しいのです。そのため請求書に印鑑を押すことで、改ざんのリスクを下げることが可能です。
また、改ざんが発覚した場合の罪の重さが、印鑑を押しているものと押していないものでは異なります。請求書に印鑑を押している場合は罪が重くなり、押していない場合は罪が比較的軽くなるので犯罪への抑止力になります。
(2)信頼度が増す
請求書に印鑑を押すことで、発行者が証明され信頼度が増します。
印鑑のない請求書は誰でも簡単に作成できますが、印鑑はその企業に属する人しか押せないため、自ずと発行者が証明できるのです。
(3)印鑑がないと受け付けてもらえない可能性がある
印鑑を押していない請求書は受理しない企業や官公庁があります。請求書の改ざんリスクを低減するためです。
印鑑が押してあって受理されないことはまずないので、スムーズなやり取りをするためにも印鑑を押すことをおすすめします。
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請求書に用いる印鑑の種類
請求書に使える印鑑には、いくつかの種類があります。
ここからは、どの印鑑が使えるのかを確認しましょう。
(1)丸印
丸印は法務局で印鑑登録したもので、いわゆる実印です。代表印とも呼ばれる丸印は、会社の登記や株券の発行、不動産の売買など、重要な取引をする際に用いられます。形に特に指定はなく、丸型の場合が多いため丸印と呼ばれています。
会社の最も重要な印鑑なので、複製や破損のリスクを下げるためにも請求書で使うのは避けた方が良いでしょう。
(2)銀行印
銀行印は主に金融機関との重要なやり取りをする際に使用されることが多く、口座の開設や小切手の発行などにも使用します。
銀行印も丸印と同様に会社の重要な印鑑です。改ざんや破損のリスクを軽減するためにも、請求書にはなるべく使用しない方が良いでしょう。
(3)角印
角印は法務局や銀行に届け出をしていない印鑑で、いわゆる認印です。角印に法的な効力はありませんが、角印が押されている書類は発行者が承認したものとみなされます。
角印は会社で使用する印鑑の中では重要度が低いため、幅広い用途で使用されます。そのため、請求書発行に向いている印鑑と言えるでしょう。
(4)シヤチハタ(個人の場合)
個人の場合、請求書の発行にシヤチハタを使用しても問題ありません。
シヤチハタはインクが入っており、朱肉が必要ないため、手軽で使いやすいといった特徴があります。一方で、同じ形状のものが大量生産されているため、偽造のリスクが高く実印としては使えません。
(5)画像データ・電子印鑑
画像データ・電子印鑑は、PDFファイルで請求書をやり取りする場合や、クラウドサービスを利用する場合に使われます。
そもそも請求書の印鑑に法的効力はなく、画像データや電子印鑑も同様だからです。発行者が証明できれば問題ありません。
近年では請求書発行時に画像データや電子印鑑を使用する企業が増えています。一方で、画像データ・電子印鑑を使用した請求書を受理しない会社もあります。画像データ・電子印鑑を使用する際は、事前に請求先に確認しておくことが大切です。
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請求書の印鑑を押す位置
捺印欄がある請求書であれば、捺印欄の中央に印鑑を押します。
一方で、捺印欄がない場合は、社名や住所が記載されている部分の右側に押すのが一般的です。なお、印影のコピーや請求書の偽造を防ぐために、文字の一部を覆うように押すようにしましょう。
請求書に印鑑を押すときの注意点
請求書に印鑑を押すときには、以下の3点に注意しましょう。
- 請求書では訂正印を使用しない
- 社名の上に押すようにする
- ズレたり欠けたりしないように押す
(1)請求書では訂正印を使用しない
請求書作成時に書き損じなどのミスが生じた場合、訂正印を使用するのではなく再発行しましょう。請求書はお金を請求する大切な書類です。信用問題にも関わってくるので、ミスが生じた場合は正しい内容に変更して再発行してください。
なお、請求書を再発行した場合、タイトルや備考欄に請求書を再発行したことがわかるよう記載する必要があります。またどうしても再発行できない場合は、通常通り二重線を引いた上で訂正印を押すようにしましょう。
(2)社名の上に押すようにする
請求書の印鑑は、社名または住所が記載されている箇所の右側に押します。そして、社名の一部を覆うように押すことが重要です。社名の上に印鑑を押すことで、請求書の複製や偽造を防ぎ、証拠能力も高められるからです。
印鑑を押す際、社名の最後の文字が印鑑の中央にくるように押すとバランスが良くなります。
(3)ズレたり欠けたりしないように押す
印影はしっかり残るように押すことが大事です。
印鑑を押す際、ズレたり欠けたりすると本来の印影とは異なった形になり証拠能力が低くなってしまう可能性があります。
また、印鑑がズレたり欠けたりした際、上から重ねて印鑑を押してはいけません。請求書を再発行して、再度印鑑を押すようにしましょう。
スムーズな取引のために印鑑を押そう!
本記事では、請求書に印鑑が必要かどうかについて解説しました。
請求書に印鑑を押さなければいけなという法的な決まりはないものの、改ざん防止や信頼度向上に繋がるため押した方が良いです。
また、請求書を発行する際は丸印や銀行印など重要な書類に押す印鑑ではなく、認印として使える角印やシヤチハタの方が手軽に使えて便利です。
請求書を発行する際は、スムーズな取引を行うためにも印鑑を押すようにしましょう。
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