オンラインストレージのアクセス権限機能とは?利用するメリットや活用事例
クラウド上にデータを保存するオンラインストレージ。データ管理や活用を効率化するさまざまな機能が備わっていますが、多くのサービスに搭載されているアクセス権限とはどんな機能でしょうか。本記事では、オンラインストレージのアクセス権限機能の使い方やメリットについて紹介します。
目次
オンラインストレージのアクセス権限設定機能とは?
オンラインストレージのアクセス権限機能は、保存されている情報ごとにアクセスできるユーザーを設定できる機能です。このアクセス権限機能を利用すれば、情報漏洩の防止といったセキュリティ面の強化が行えます。
また、アクセスできる情報のなかで、「閲覧・追加・編集・削除」といったアクセスレベルを細かく設定することも可能です。たとえば、同じ情報に対して従業員Aは閲覧・追加・編集が可能な場合でも、従業員Bは閲覧しかできないなど、ユーザーによって与える権限を設定できます。
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オンラインストレージのアクセス権限機能を活用するメリット
オンラインストレージのアクセス権限機能を活用するメリットは以下の3つです。
- 企業機密の漏洩防止
- 社内のデータ閲覧権限の管理強化
- 社外との安全・円滑なデータ共有の実現
それぞれ詳しく見ていきましょう。
企業機密の漏洩防止
アクセス権限機能を活用することで、オンラインストレージまたは特定の情報にアクセスできるユーザーを限定できます。そのため、企業機密の漏洩防止につながるでしょう。
機密情報が漏洩する原因には、サイバー攻撃や第三者による不正アクセスなどが挙げられます。万が一機密情報が外部に漏れてしまえば、顧客や消費者などから社会的信用を失いかねません。
このような場合に、アクセス権限機能を活用すれば機密性の高い情報のアクセスレベルを細かく設定することが可能です。アクセスできるユーザーをごく一部に絞るなど、企業機密の漏洩防止として効果的な対策を実現します。
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社内データの閲覧権限管理の強化
企業規模の拡大などを理由に、社内で扱うデータ量が膨大になるといったケースもあるでしょう。その場合、すべてのデータを適切に管理することが困難になります。同時に、従業員による情報の流出や消失といったリスクもあるのです。
そのため、社内のデータ閲覧権限を細かく設定し、データの管理方法を強化する必要があります。従業員が離職のタイミングでデータを持ち出す可能性も考えられるため、機密性の高いデータは最低限の範囲でアクセス権限を付与することが大切です。
また、従業員の評価や個人情報が含まれるデータが関係者以外に漏れてしまい、従業員が会社へ不信感を抱くこともあるでしょう。社会的信用や会社への信頼を失わないためにも、アクセス権限機能を活用して社内のデータ管理を強化しなければなりません。
社外との安全・円滑なデータ共有の実現
オンラインストレージのアクセス権限機能を利用することにより、取引先や社外の方と円滑にデータを共有することができます。また、アクセスが許可された人のみがストレージ上でデータの閲覧できるため、セキュリティ面でも安心です。
なお、共有したファイルを共同で編集することも可能です。離れた場所にいてもリアルタイムで最新の情報が閲覧できるので、円滑なデータ共有が行えるでしょう。
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アクセス権限を設定する際の手順・ポイント
オンラインストレージのアクセス権限を設定する際には基準となるルールの策定などが必要です。ここからは、アクセス権限を設定する際の手順やポイントについて紹介していきます。
基準となるルールを策定する
オンラインストレージでアクセス権限を設定する場合は、「どの情報を」「誰に」「どのような権限を付与するか」基準となるルールを策定しましょう。
機密性の高い情報は何か、アクセスレベルを細かく設定する必要がある情報はどれかなど、各情報の重要度を明確化させていきます。
そして、個々の従業員に権限を設定していくのか、もしくは「リーダー以上」「経営層のみ」など、役職によって権限を設定するかを検討しましょう。同時に、「閲覧・追加・編集・削除」など、付与する権限の種類まで決めることがおすすめです。
事前にアクセス権限の付与に関するルールを策定しておくことで、円滑な情報管理が実現するだけでなく、従業員のセキュリティ意識を高めることにもつながるでしょう。
対象システム・データ等にアクセス権を付与する
アクセス権限を設定する際には、機密データへのアクセス権限は最小限に留めましょう。アクセス権限を付与する範囲が広ければ広いほど、情報漏洩や誤操作などのリスクが高まる傾向にあるのです。
そのため、アクセス権限を付与する際は、本当にその情報を必要とする従業員が誰なのかを検討し、最小限の範囲に留めるのが重要です。
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アクセス状況を監視し必要に応じて権限を変更する
アクセス権限を付与したあとは、運用体制に問題がないか定期的にモニタリングしましょう。当初付与していたアクセス権限が、運用していくうちに不要だと感じれば、その都度アクセス権限を変更することが大切です。
また、異動や離職などの理由でアクセス権限が不要になる場合もあります。定期的なチェックを行わず、アクセス権限を付与したまま放置すれば、離職した従業員が外部に情報を流出させるといった問題につながりかねません。
そのため、アクセス権限を付与したあとも状況を定期的に確認し、必要に応じて権限を変更しましょう。
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オンラインストレージのアクセス権限機能の活用事例
いまや、さまざまな業種でITシステムを利用した情報管理が行われるようになってきました。ここからは、オンラインストレージのアクセス権限機能の活用事例を4つ紹介します。
総合エンジニアリング業
ある総合エンジニアリング業では、営業活動を効率化するためにオンラインストレージを導入しました。豊富な製品を取り扱うという特徴から、営業担当者は分厚いカタログを持ち歩いたり、外付けHDDに収めて持ち歩いたりするなど、カタログのデータ管理に手間がかかっていたようです。
また、オーダーメイドで製品を製造するため、他の顧客にはアクセスされてはならないデータも多く、誤って別の顧客データを送信してしまったという問題も起こっていました。
そこで、オンラインストレージ導入と同時にアクセス権限機能を活用し、情報へのアクセスをプロジェクトチームと顧客のみに設定しました。オンラインストレージを導入したことで、社外からでもカタログデータにアクセスできるようになり、分厚いカタログを持ち歩く必要がなくなったのです。
また、顧客ごとのフォルダ作成とアクセス権限の付与によって、別の顧客データを送信してしまうというリスクも回避できるようになったようです。
このように、オンラインストレージのアクセス権限機能を活用し、営業効率を向上させています。
システム開発・運営業
あるシステム開発・運営業は、インターネットを経由した業務が多い企業です。とくに海外拠点を持つ企業には、よりセキュリティ性の高い情報管理が求められます。そこで同社は、オンラインストレージのアクセス権限機能を活用しました。
アクセス権限を付与していない状態では、第三者からのアクセスを完全に回避することは不可能です。しかし、それぞれの情報に対してアクセスレベルを細かく設定し、アクセスできる範囲を最小限にしたことで、セキュリティ性の高い情報管理が可能となりました。
また、オンラインストレージは拠点の場所を問わないスムーズな情報共有が可能です。そのため、海外拠点を持っている場合でも、セキュアで円滑な情報共有が実現しています。
BPOサービス提供業
あるBPOサービス提供業では、顧客となる中小企業との情報共有を目的に、オンラインストレージの導入を決めています。中小企業はデータの共有環境を保持していないことが多く、自社でデータ共有システムを構築する必要がありました。
しかし、顧客ごとにデータ共有システムを構築するには時間やコストがかかることから、アクセス権限設定が行えるオンラインストレージの導入に踏み切ったのです。
1つのオンラインストレージのなかに各顧客の専用フォルダを作成し、それぞれが専用フォルダにのみアクセスできるよう権限を付与しました。その結果、データ共有システムを保持していない中小企業にも対応できるようになり、中小企業からの依頼が増えたようです。
肥料・園芸用品卸売業
ある肥料・園芸用品卸売業では、関連会社との情報共有について課題を抱えていました。スムーズな情報共有を行うには、それぞれの関連会社を横断した連携・情報共有が欠かせません。
そこで、すべての関連会社における情報を1つのオンラインストレージで一元管理し、アクセス権限機能を活用しました。
その結果、関連会社の売上データなど必要な情報のみをリアルタイムで共有することに成功。さらに、アクセス権限を細かく設定することで、それぞれのプロジェクト内容などの機密情報は一部のユーザーしか確認できないようにしています。これにより、部門を横断した情報共有とセキュアな情報共有を同時に実現しました。
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オンラインストレージのアクセス権限機能活用の注意点
アクセス権限機能の活用はセキュリティ強化につながる反面、ヒューマンエラーによってアクセス権限の設定そのものを誤る可能性も否定できません。アクセス権限を付与するユーザーを誤ってしまえば、関係者以外の従業員に情報が漏れるといったこともあるでしょう。
実際、アクセス権限を付与するユーザーを誤り、情報漏洩につながったという問題も起こっています。そのため、アクセス権限を設定する際は、「ダブルチェックを行う」「定期的にアクセス権限を確認・管理する」などの対策を行うことが大切です。
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アクセス権限機能を適切に設定しセキュリティリスクを軽減しよう
オンラインストレージは、インターネットを経由し場所を問わず利用できる点が魅力です。しかし、アクセス権限を設定しない場合、社内だけでなく社外からも情報を閲覧できてしまいます。
そのため、オンラインストレージを利用する際は、「情報ごとにアクセス権限を設定する」「機密性の高い情報にはアクセスレベルを細かく設定する」など、アクセス権限機能を適切に活用し、セキュリティリスクを軽減させることが重要です。
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