生産管理に役立つおすすめの資格|難易度や取得するメリットを解説

生産管理に関する資格は、専門知識の習得やマネジメント業務の効率化に役立ちます。生産管理の質を高める資格には、どのようなものがあるのでしょうか。本記事では、生産管理業務に関連する資格の種類や選び方、目標を達成するための情報を提供します。
目次
生産管理の業務に役立つおすすめの資格
生産管理は、商品の製造を効率的に行えるよう仕組みを作りながら管理していく仕事です。さまざまな部門に関わるポジションであるため、幅広い知識が必要となります。
生産管理の仕事に就く際、特定の資格を求められることはないものの、取得しておくと転職の際に有利に働く資格が存在します。ここからは、生産管理の業務に役に立つおすすめの資格を紹介していきます。
ビジネス・キャリア検定「生産管理」
ビジネスキャリア検定では、生産管理部門の設計や計画業務に携わっている方を対象に、4つの分類に分けた資格を展開しています。
BASIC級 生産管理
生産管理の基礎知識を持つことを認定する入門的な資格で、就職を控える若い世代に向けられて作られた資格で、学生や新入社員を対象としています。
この資格を取得することで、生産管理の仕事の全体像を把握したり、職場でのコミュニケーションを円滑に行えるようになります。また、仕事で使用する基本的な用語や知識を習得することが可能です。
受験料 | 3,300円(税込) |
受験資格 | 特になし |
難易度 | 学生、就職希望者、就職内定者、入社して間もない方での受験もいる最も基礎的な資格 |
合格率(2022年度後期) | 69% |
URL | 公式サイト |
2・3級 生産管理プランニング
生産管理システムの設計や生産計画などに関する知識を習得できる資格です。3級は業務に必要な専門知識をはじめ、上司の指示をもとに自分で問題意識を持って業務遂行できるようになることを目指します。2級では、チームの中心メンバーとして自主的に判断しながら提案・改善を行えるスキルを身に付けることができます。
2級については「製品企画・設計監理」「生産システム生産計画(加工型・組み立て型)」「生産システム生産計画(プロセス型)」の3つの区分に分けられていましたが、2023年度よりひとつに統合されました。これらの資格を保有することで、生産管理の専門家としての信頼性を示せるだけでなく、組織内での昇進やキャリアアップにも役立つでしょう。
受験料 |
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受験資格 | 特になし |
難易度 | ビジネス・キャリア検定2級・3級(生産管理)は3~5年以上の実務経験者で、資格を取得するには実務的な知識が必要 |
合格率(2022年度後期) |
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URL | 公式サイト |
2・3級 生産管理オペレーション
生産システムの統制や運用についての知識が学べる資格です。3級では、生産現場で直面する基本的な問題への対応力を養えるため、若手の社員などが対象となっています。2級では、さらに高度なオペレーションの管理と改善のためのスキルが求められ、中堅クラスの担当者が対象です。
なお、2級は「作業・工程・設備管理」と「購買・物流・在庫管理」の2つの区分に分けられていましたが、2023年からは統合されています。組織における生産管理のプロフェッショナルとして、業務プロセスの効率化と生産性の向上に貢献できる資格といえるでしょう。
受験料 |
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受験資格 | 特になし |
難易度 | ビジネス・キャリア検定2級・3級(生産管理)は3~5年以上の実務経験者で、資格を取得するには実務的な知識が必要 |
合格率(2022年度後期) |
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URL | 公式サイト |
1級 生産管理
1級生産管理資格は、生産管理分野における最上位の資格として位置付けられています。このレベルでは、生産管理全般にわたる深い知識と、複雑な問題を解決するための高度な技能が求められるでしょう。
具体的には、2級生産管理プランニング・2級生産管理オペレーションの知識をもとに、課題の分析能力や解決策の立案能力、これらを行うためのマネジメント能力があるかが問われます。そのため実務経験が10年以上あり、部長職などを目指す人を対象とした資格です。
受験料 | 11,000円(税込) |
受験資格 | 特になし |
難易度 | 受検対象者は実務経験10年以上で部長やディレクターなどのハイクラスな役職を目指す人を想定しているため、難易度の高い試験 |
合格率(2022年度前期) | 29% |
URL | 公式サイト |
中小企業診断士
中小企業診断士は、中小企業の経営課題を解決するための専門的な知識と技術を有する国家資格です。経済産業省が実施する試験に合格することで取得でき、具体的には、経営計画の策定、財務分析、マーケティング戦略の立案など、中小企業の経営全般にわたる支援ができるスキルを保有していることの証明となります。
また、中小企業診断士は、中小企業の経営者だけでなく、金融機関や地方自治体の職員、コンサルタントなど、幅広い職種で活躍することが可能です。資格取得には、専門的な知識を要するため、独学よりも専門の学校での学習が推奨されます。
受験料 |
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受験資格 | 特になし |
難易度 |
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合格率 | 第1次試験・第2次試験:20%前後 試験全体での合格率:4%前後 |
URL | 公式サイト |
生産マイスター検定
生産マイスター検定は、製造業の現場で求められるさまざまな知識を有していることを証明する資格です。具体的には、品質・コスト・納期・人材・安全・環境に関する知識や技術を有していることが求められます。生産管理の基礎知識を体系的に学ぶことができ、就職での自己アピールにも役立つでしょう。
ベーシック級以外は通信教育の修了が受験要件となっていて、考える力・書く力・読む力といった基本的な能力を身に付けることができます。それにより、主体的に学習していく力も養うことが可能です。受験結果としてフィードバックがもらえるため、今後のスキルアップの指針として活用できます。
受験料 |
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受験資格 |
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難易度 |
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合格率 |
※生産マイスター検定受検者・合格者数、第27回検定より |
URL | 公式サイト |
APICS CPIM/CSCP
APICS CPIM(Certified in Production and Inventory Management)およびCSCP(Certified Supply Chain Professional)は、国際的に認知された生産管理およびサプライチェーン管理の資格です。
CPIMは生産在庫管理に焦点を当て、需給計画・生産計画・在庫管理・購買・製造管理など、内部のオペレーションを最適化するための知識とスキルを習得できます。一方CSCPは、より広範なサプライチェーンに関連する知識が求められ、サプライチェーンマネジメントの専門家を目指す人におすすめの資格です。受験資格はとくに設けられていませんが、TOEIC600点以上の英語スキルを有していることが推奨されています。
受験料 | ◼︎CPIM
◼︎CLTD
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受験資格 | CPIM:特になし CSCP:特になし |
難易度 | CPIMはAPICS発足当初からある資格で、APICSの知識体系のMPC(Manufacturing Panning and Controll)を中心としています。以前の資格名称は、Production&Inventory Managementでしたが、Certification for Planning and Inventoryに名称変更されました。こうした領域がとくに網羅されています。 CSCPは広く浅く、サプライチェーン全体をカバーします。CPIMの内容も一部含まれています。自社でサプライチェーンの仕事をする方はCPIM、他社のサプライチェーンを支援する方はCSCP、という説明がされる場合もあります。 |
合格率 | 約70% |
URL | 公式サイト |
生産管理のキャリアアップにつながる資格
ここからは、生産管理の仕事においてキャリアアップにつながる資格を紹介していきます。
PMP
PMP(Project Management Professional)は、プロジェクト管理に関する国際資格です。業務の効率化につながるスキルを習得できる為、生産管理においても役立つ資格といえるでしょう。
PMPの試験は出題範囲が広く、応用問題が多く出題される傾向にあるため、丸暗記だけでは解けません。また、受験資格として学歴に応じた実務経験も求められます。このように簡単に取得できる資格ではありませんが、取得しておくことでさまざまな場面で活用できるでしょう。また、国際資格であるため海外への転職を視野に入れている人にとっても有効な資格です。
TOEIC
TOEIC(Test of English for International Communication)は、日常生活やビジネスにおける英語能力を測定する世界共通のテストです。出題・回答ともにすべて英語で行われるため、難易度の高いテストといえます。
合否という概念はなくスコアで評価され、自身の英語スキルを正確に把握することが可能です。生産管理の分野でキャリアを築く上では、英語能力が求められる場面もあるでしょう。TOEICスコアは、非英語圏の人たちが国際的な環境で働く際のコミュニケーション能力を証明する指標として用いられています。
技術士
技術士は、高度な技術力と専門知識を持つエンジニアを認定する国家資格です。21の部門があり、生産管理分野では「経営工学部門」を受験するのがおすすめです。技術士になるには、第一次試験と第二次試験を行う必要があります。第一次試験の方法はマークシートによる択一方式で、やや難しめですが幅広く過去問を解いていけば合格は可能なレベルです。
第二次試験では、はじめに筆記試験が行われ、合格した人だけが口頭試験に進みます。このように難易度は高めですが、製造ラインの設計や運営、改善に関する専門的なスキルと知識を証明できます。この資格を取得することで、生産効率の最適化や品質管理、コスト削減など、幅広い業務を高い専門性をもって遂行できるでしょう。
品質管理検定
品質管理検定は、品質管理(QC)の知識と技能を評価するための資格試験です。生産管理において、品質は製品やサービスの競争力を左右する重要な要素であり、その専門性を証明するために業界内で広く認知されている資格でもあります。品質管理に必要な改善を実施するレベルや受検者の知識レベルに応じて、4級~1級まで設けられているのが特徴です。
試験方式は、4級~2級まではマークシートのみで行われ、1級はマークシートで解答と論述を行います。受験資格は設けられていないため、自身のレベルに合わせて受検する級を選ぶことが可能です。
品質管理検定を取得することにより、品質管理に関する基礎知識や手法を習得できます。生産管理に携わる人にとっては、実用的な資格といえるでしょう。
情報処理技術者試験
情報処理技術者試験は、IT技術者としての知識や技術力を測定し、その資格を認定する国家試験です。生産管理の分野では、情報システムの導入やデータベース管理、生産プロセスの最適化などに深いIT知識が求められます。
基礎情報技術者試験から始まり、応用情報技術者試験や高度なスキルを要するプロジェクトマネージャ試験など、レベルや目指すポジションに応じて区分がされています。しっかりとした基礎を身に付けるためにも、まずは基本情報技術者試験から受検するのがおすすめです。資格取得に向けて学習することで、ITを活用したシステムなどを作るために必要な知識を習得できます。試験はコンピューターを利用して実施するCBT方式で行われます。製造業界でもIT化が進んでいることもあり、キャリアアップを目指す方にぴったりの資格といえるでしょう。
▷生産管理とは?目的や工程管理・製造管理との違い、課題を解説
生産管理に関する資格を取得するメリット
生産管理に関する資格を取得することによって、どのようなメリットがあるのか見ていきましょう。
効率良く学習できる
資格取得を目指すことで、生産管理に関する知識を効率よく学ぶことができます。とくに目標を設定せずに学習を行っていると、どのくらい学習していけばよいのか迷ってしまうこともあるかもしれません。
資格試験の出題内容は体系的にまとめられているため、ゴールを設定しやすく意欲的に学習に取り組めるでしょう。
能力の証明になる
生産管理の資格を取得することにより、専門性と能力を証明しやすくなるため、転職の際にも有利に働きます。
とくに未経験から生産管理を目指す場合、大きなアピールポイントとなり、資格取得によって一定の知識を身に付けたことを証明することで採用につながりやすいでしょう。
▷【2023年最新】生産管理システム18選比較!選び方や活用方法・主な機能を紹介
生産管理に関する資格の学習ポイント
資格を取得するためには、どのように学習を進めていけばよいのでしょうか。ここでは、生産管理に関する資格の学習ポイントについて紹介していきます。
テキストや過去問で学ぶ
資格取得を目指す場合、専門テキストや過去問を活用するのがおすすめです。たとえば、生産管理プラン二ングなどの試験を実施している中央職業能力開発協会では、標準テキストを発刊しています。
これにより、学習内容の全体像や要点を理解することが可能です。また、公式ホームページで過去の問題例も掲載されているため、資格取得に向けた学習に役立つでしょう。
認定講座を受講する
資格によっては教育訓練機関による認定講座が実施されているものもあります。テキストだけでの学習では不安な方や独学が苦手な方は、ぜひ認定講座を利用してみてください。
受講方法は、通学講座と通信講座のどちらかを選ぶことができ、近くに会場がない場合や仕事などで通うのが難しい場合は通信講座を受講するとよいでしょう。
▷【2023年最新】生産管理を学べるおすすめ本ランキング10選!
生産管理の業務に就くなら資格取得がおすすめ
生産管理の業務は、効率性の向上と製品の品質保持という重要な役割を担っています。資格を取得することで、この分野における深い理解と専門的スキルを証明することが可能です。
生産管理職でのキャリアアップを望む方や未経験から生産管理を目指す方は、関連資格を取得しておくことで、アピールポイントのひとつとなるでしょう。
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