母集団形成とは?手法や形成するためのステップ・企業事例を紹介
採用における応募者を獲得する活動「母集団形成」。労働人口の減少による採用競争の激化や企業の採用活動の変化の影響から、母集団形成の重要性が高まっています。本記事では、採用活動の母集団形成について、重要性や形成するためのステップ、母集団形成の成功事例を解説します。
目次
採用における母集団形成とは?
採用活動における母集団形成とは、自社への応募者を獲得する活動を指します。新卒採用の場合は学生からの応募を集め、中途採用では転職希望者からの応募を集めるのが、母集団形成です。
いくら人材を採用したくても、応募者がいなければ採用できません。応募者が多く集まっても、その中に自社が求める人物像にマッチした人材がいなければ、採用には結びつかないでしょう。したがって、母集団形成においては「数」と「質」が重要になります。
母集団形成における新卒と中途採用の違い
同じ母集団形成でも、新卒採用と中途採用では方法や時期が異なります。違いをふまえて母集団形成を行わなければ、採用活動がスムーズに進まなくなってしまうので、注意してください。
採用時期の違い
新卒採用と中途採用では、採用時期が異なります。
新卒採用は学生を対象としています。そのため学業に支障が出ないように、会社説明会や面接の開始時期を決めた「就活ルール」があります。例えば、2025年度における就活ルールは以下のとおりです。
- 広報活動開始:卒業・修了年度に入る3月1日以降
- 採用選考活動開始:卒業・修了年度の6月1日以降
- 正式な内定日:卒業・修了年度の10月1日以降
最近では就活ルールにとらわれずに採用活動を行う企業も見られますが、学生が就職活動を行う時期に合わせて企業も採用活動を行うのが一般的です。他社と採用活動の時期が重なるため、会社説明会などに足を運んでもらう工夫が求められます。
一方、中途採用は企業が人材を必要とするタイミングで行うので、春に募集をかける企業もあれば、秋に募集をかける企業もあります。ただし、時期によって母集団の形成しやすさは違うため、注意しましょう。
[出典:内閣官房「就職・採用活動に関する要請」]
アピールポイントの違い
新卒採用と中途採用では、応募者に対するアピールポイントにも違いがあるので気を付けてください。
新卒採用は、対象者が「学生」という共通点があります。したがって、どの対象者に対しても、強調すべきアピールポイントが同じになる傾向が見られます。
それに対して中途採用は、募集職種経験者から未経験者、役職経験者などターゲットによってアピールポイントが異なると言えるでしょう。例えば、募集職種未経験者を採用するケースでは、教育体制や資格取得支援制度などをアピールする必要があります。
ターゲットに合わせたアピールポイントを打ち出さなければ、求める人材からの応募は望めないでしょう。
採用活動の母集団形成の重要性
採用活動において、母集団を形成する重要性は年々高まっています。その背景について、詳しく解説しましょう。
労働人口の減少によって採用競争が厳しくなった
日本は少子高齢化により、労働人口が減少傾向にあります。以前は買い手市場で、企業が募集をかければ、多くの人材から応募が寄せられました。企業はその中から、自社に合った人材を選べばよかったのです。
しかし、現在は売り手市場で、募集をかけただけでは簡単に応募が集まらず、性的な人手不足に悩む企業も少なくありません。
企業間での人材獲得競争が激化する中で自社が求める人材を獲得するには、ターゲットを明確にし、ターゲットに合わせた採用活動を積極的に行う必要性が高まっています。
企業の採用活動が変化してきている
母集団形成に注力する理由として、企業の採用活動の目的の変化も挙げられます。これまでの採用活動は、不足している人員を補完する意図がありました。昨今では、事業展開や経営戦略に沿って、一定の経験やスキルを持つ優秀な人材を獲得する目的で採用活動を行う企業も増えています。
優秀な人材を採用するには、やみくもに求人広告を出すのではなく、採用ターゲットに確実に情報が届くように求人方法を厳選しなければなりません。求める人材からの応募を獲得するためには、戦略的な採用活動が必要とされます。
選考・内定の辞退が発生している
採用活動中や内定を出したあとに辞退されるのを防ぐ目的でも、母集団形成は重要です。応募者は複数社を比較しながら、就職先や転職先を決定します。自社の魅力が応募者に十分に伝わらなければ、選考途中で辞退される可能性があるでしょう。内定後も同様です。
売り手市場の影響もあり、限られた応募者の中からやむを得ず採用する場合も同じく辞退につながりやすくなります。
十分な人数を集めて母集団を形成し、その中から自社にマッチする人材を見極めることが大切でしょう。
採用活動で母集団形成を行うメリット
母集団形成には費用も時間もかかりますが、形成することで得られるメリットは多くあります。代表的なメリットをお伝えしましょう。
効率よく採用活動を行える
母集団形成のメリットとして、採用活動の効率化が挙げられます。母集団を形成すると、採用人数の見通しが立てやすくなるからです。
採用活動では、書類選考や一次面接などの各段階に進んだ応募者の割合を指す「歩留まり」を基に内定者の人数を推測するのが一般的です。もし母集団が少なければ、内定者も少なくなると予測できます。つまり母集団の人数を把握することで、採用戦略や採用計画を見直し、新たな求人媒体で募集を行うなど早期に手を打てるのです。
▷採用の歩留まりとは?平均値や計算方法・改善に向けた取り組みを解説
採用コストを削減できる
母集団を戦略的に形成できれば、採用コストの削減も実現できるでしょう。応募者が多すぎれば、面接の回数が増えるなど採用活動に余計な労力がかかってしまいます。反対に、応募者が想定よりも少なければ、求人サイトへの出稿や人材紹介会社への依頼費用などが追加で発生し、コスト増となるでしょう。
採用計画に沿って母集団を形成することで、十分な応募者数を確保でき、さらには自社のニーズに合った人材の確保が期待できます。
▷一人当たりの採用コストの平均とは?内訳や計算方法・削減するポイント
採用のミスマッチを防げる
自社のターゲットに合った母集団を形成できれば採用のミスマッチが防げるので、定着率の向上にも貢献します。
仮に、売り手市場で応募が少ない中、人手不足を補うためにやむを得ず内定を出した場合、ミスマッチが生じ、すぐに離職するケースも考えられます。母集団形成ができていれば、その中から社風や仕事内容に合った人材をじっくり見極めたうえで採用ができるでしょう。
自社が求める人材を採用できれば、人手不足が解消できるだけではありません。経験やスキルを有する人材の獲得は、経営目標の達成にも寄与し、企業の成長を促進します。
▷採用ミスマッチが起きる原因とは?早期離職を防ぐポイントと事例について
採用活動の母集団形成の課題
採用活動を円滑に進めるためにも母集団形成は欠かせませんが、形成にあたって課題を抱える企業も少なくありません。母集団形成における課題について解説します。
求人への応募数が少ない
母集団が形成できない理由として挙げられるのが、求人への応募者数の少なさです。応募者数が少ない理由は2つ考えられます。
一つ目は、露出度の低さです。限られた求人媒体でしか募集を行っていないため、学生や転職を検討している人に求人情報が届いていない可能性があります。知名度が低い企業の場合、自社のコーポレートサイトに求人情報を掲載しても、採用ターゲットにはなかなか求人情報が届きません。大学学内で就職説明会を開催する、合同説明会に参加するなど、接点を増やす必要があるでしょう。
二つ目は、自社のアピールポイントが伝わっていないためです。学生も転職を検討している人も、多くの企業を比較しエントリーする企業を決めています。自社のアピールポイントが伝わらないと、応募には結びつきません。例えば、求人サイトに掲載している求人情報を見直し、より採用ターゲットに刺さる情報に変更するとよいでしょう。
ミスマッチな人材からの応募が多い
応募者は多いものの、自社が求める人材がおらず採用に至らないケースも多くあります。原因は、自社が求める人物像があいまいで、適切に採用ターゲットの興味を引く求人情報を打ち出せてないためです。
まずは、自社が求める人物像を明確にしてください。年齢や経験、保有する資格や今後のキャリアプラン、企業に求める条件などを具体的にイメージすれば、採用ターゲットに対して打ち出すべき自社の魅力が分かります。その魅力を盛り込んだ求人広告を作成し直すとともに、採用ターゲットが多く利用している求人媒体を活用して採用活動を行いましょう。
採用活動の母集団を形成するためのステップ
ここからは、採用活動で母集団形成を行うための方法を流れに沿って解説します。これから採用活動を行う方は、参考にしてください。
採用活動の目的を決める
採用活動を開始する前に、採用活動の目的を決めましょう。目的によって、採用ターゲットや採用方法が変わるためです。
目的が欠員補充の場合、即戦力となる経験者が求められます。求人を行う際は、経験や保有資格を活かせる点を強調した方がいいでしょう。将来の幹部候補となる若手の獲得が目的の場合、採用サイトにはロールモデルとなる先輩社員の紹介記事やキャリアアップに関する情報が適しています。
求める人物像を決める
採用活動の目的が決まったら、求める人物像と人数を具体的に決めていきましょう。その際は、経営計画に則って考える必要があります。
将来的に注力していく分野や新規に立ち上げる事業があれば、今後必要となる人員を算出し、そのうち何人を新規採用した人員で補うかを考えます。それにより、採用ターゲットに求める能力などが明らかになるでしょう。
人物像を明確化する際は、経営者や人事部の意見だけではなく、現場の意見も取り入れてください。現場で実際に必要とされるスキルや能力は、現場の社員が最もよく理解しています。また、現場の意見を聞くことで、入社後に定着しやすい人物像も把握できるでしょう。
採用計画を立てる
採用活動のスケジュールや予算を含めた採用計画を立案しましょう。採用計画の詳細について解説します。
採用人数・母集団の目標数値を決める
採用人数の目標値を決め、過去の採用活動の歩留まりを目安に母集団の目標数値を決定します。
採用人数は、自社の事業計画に加え、現場のニーズや自社の人員構成などを考慮して検討してください。人材が不足しているからといって、一時的に多くの人材を採用すると、十分な教育ができないといったリスクが生じかねません。
必要な母集団の人数は、歩留まりや各選考過程に進ませる人数で変わります。一次面接の歩留まりが40%で、二次面接に20人進ませる場合、一次面接の母集団は50人必要です。必要な母集団の人数は、選考方法によっても異なります。例えば、三次面接まで行うケースと面接が1回のみのケースでは、後者の方が書類選考時点での母集団は少人数です。
採用スケジュールを決める
採用人数が決まったら、採用スケジュールの作成に着手しましょう。新規事業の開始時期など人材を採用しなければならないタイミングから逆算して、面接や書類選考のタイミング、募集を開始する時期を計画していきます。
新卒採用の場合は、採用活動の開始が遅れると他社に優秀な人材が流れてしまう可能性があるので注意してください。
母集団形成の方法を決める
採用計画を立てる際には、自社が求める人物像に合わせて、母集団を形成する方法も検討します。
自社の社風を理解した人材を獲得したいのであれば、リファラル採用やアルムナイ制度が考えられます。特定の職種の経験者を募集する場合は、専門特化した採用サイトや人材紹介会社が適しているでしょう。幅広い職種で大人数の新卒採用を行うケースでは、合同説明会や採用サイトでできるだけ多くの学生に自社をアピールする必要があります。
求める人材が利用すると想定される求人媒体を重点的に活用し、効率的かつ低コストで母集団を形成しましょう。
採用活動を実施する
採用計画を立案し、マネジメント層から承認を受けたら、いよいよ採用活動を開始します。採用活動中は、応募状況を常に確認し、想定よりも応募が多い、または少ないときは都度調整を行いましょう。応募が少ない場合は、求人媒体の利用を見直し、他の求人媒体への乗り換えも検討します。
また、応募者数だけではなく、応募者の質もチェックしてください。自社が求める人物像に合致しない応募者からの応募が多くを占めるときは、採用サイトや求人サイトに掲載している情報を修正する必要があります。
母集団形成の主な手法
ここからは母集団を形成するための主な手法をお伝えします。それぞれのメリットとデメリットをも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
ハローワーク
ハローワークとは公共職業安定所のことで、厚生労働省が設置する公的機関です。事業の一つとして職業紹介を行っており、申し込めば求人票をハローワークに掲載できます。
メリットとしては、無料なのでコストがかからないことが挙げられるでしょう。トライアル雇用助成金などの対象にもなるので、予算が限られている企業には適しています。ハローワークは対象を限定していないため、幅広い年代のさまざまな職歴やスキルを持つ人材にアプローチできるのが利点です。また、国が設置している機関なので、安心感もあります。
デメリットは、掲載企業数が多いため、自社の情報が埋もれてしまう可能性が挙げられるでしょう。また、国の事業なので手続きに時間がかかるうえ、情報の修正も簡単にできません。求職者と直接やりとりができず、ハローワークを介して連絡を取り合うので、手間も発生します。幅広い層にアプローチできる分、自社の採用ターゲットとは異なる層からも応募が寄せられ、労力がかかることも考えられるでしょう。
求人サイト
求人サイトには、民間企業が運営している新卒者向けや転職者向けがあります。最近では、特定の業界や職種に特化した求人サイトも増えています。
メリットは全国どこからでもサイトにアクセスできるので、全国を対象に募集をかけられる点が挙げられるでしょう。多くの学生や求職者が求人サイトに登録しているので、母集団形成につなげやすいと言えます。サイト上で応募者とやりとりができるので、利便性も高いです。
デメリットは、仮に応募がなくても費用が発生する点が挙げられます。知名度が高い大手企業に応募が集中し、知名度が低い中小企業には応募が集まらないケースもあるので、自社のアピールポイントをサイト内で的確に伝える必要があるでしょう。求職者はサイト内で条件を絞って検索をかけるので、検索に引っかからずに自社の情報にたどり着いてもらえない場合も考えられます。
求人情報誌
求人情報誌とは求人情報が掲載されたフリーペーパーで、コンビニエンスストアなどに設置されていたり郵便ポストに投函されたりするなどして、多くの人の手に渡っています。
メリットは、配布エリアが限定されている点で、近隣地域に募集をかけたいときに適しているでしょう。無料なので、求職者に手軽に手に取ってもらいやすいのが特徴の一つです。求人情報誌には編集者や営業担当者がいるので、掲載原稿についてアドバイスをもらい、より求職者に訴求できる内容にブラッシュアップできる強みもあります。
デメリットは、掲載できる情報量に限りがある点が挙げられます。また、一度発行されると情報を訂正できないので、原稿を作成する際には注意が必要です。応募がなくても掲載料がかかるうえ、目立つ掲載枠を選べば、その分コストが上がるので費用と効果を比較しながら掲載枠を選びましょう。
人材紹介会社
人材紹介会社は、企業の依頼を基に条件に合った人材を登録者の中から紹介する会社です。
メリットは、人材紹介会社が条件に合う人材を選抜するため、選考過程を簡略化できる点が挙げられます。人材紹介会社が企業と求職者の両方を理解したうえで引き合わせるため、採用のミスマッチ防止にもつながります。採用が決定した場合のみに報酬が発生するケースがほとんどなので、無駄な支出が発生しません。経営幹部候補など、非公開で募集をかけたい際にも役立つでしょう。
デメリットは、人材紹介会社に選考過程の大半を任せるので、社内に採用ノウハウが蓄積されない点が挙げられます。また、他の採用手法に比べ費用が高額になる傾向があるため、大人数の採用には向いていません。
ヘッドハンティング
ヘッドハンティングとは、ヘッドハンティング会社が企業の求める人物像に合った人材を見つけ出し、転職を後押しする手法です。転職を検討していない人材であっても、企業が求める人物像であればアプローチをかけるという特徴があります。これまでヘッドハンティングの対象は経営者などハイクラス層が中心でしたが、現在では30〜40代のミドルクラスもヘッドハンティングの対象範囲内です。
メリットとして、求職者以外もターゲットにするため、採用活動における競合がいない点が挙げられるでしょう。ヘッドハンティング会社が人材を十分に見極めるので、ミスマッチが起こりにくいとされています。
デメリットとしては、費用が高額になる点が挙げられるでしょう。自社に合った人材を見つけるのに時間がかかるので、採用活動が長期化する傾向があります。
就職イベント・合同説明会
就職イベントや合同説明会は自治体や民間企業が主催するイベントで、複数の企業が出展し、来場した学生や求職者に直接アプローチする手法です。職種別や業界別に開催されるイベントもあり、新型コロナウイルス感染症の流行を機にオンラインでの開催も進んでいます。
メリットは、自社を知らない学生や転職者とも出会えることです。知名度の低い企業にとっては、知名度を高めるチャンスとも言えるでしょう。職種別や業界別に開催されるイベントであれば、ターゲット層に合致した来場者が見込まれるため、質の高い母集団を形成できます。直接学生や来場者に自社の魅力を伝えられることもメリットです。
デメリットは、出展企業が多いイベントでは、ブースの装飾や呼び込みに力を入れて他社と差別化を図らなければ埋もれてしまい、学生や求職者と接点を持てない点でしょう。また、仮に応募に結び付かなくても、出展料は発生します。小規模のイベントの場合、来場者が限られる恐れもあるので、出展時には注意してください。
最近では、採用ミートアップを行う企業も増えています。採用ミートアップは、小規模で開催される企業と求職者の交流を目的とした比較的カジュアルなイベントです。エンジニアやデザイナーなど専門職の採用を検討している企業の中には、勉強会形式で開催し、自社の技術力や専門性をアピールするところも見られます。
ミートアップはコストを抑えながら自社の社風を伝え、理解促進に役立つ一方、企画に手間がかかり、社員の負担が大きいという課題もあります。
企業説明会・オンライン説明会
企業説明会やオンライン説明会は、企業が学生を集めて自社の事業や強みなどを紹介する手法です。主に新卒採用で行われており、母集団形成の手法として多く用いられています。以前は会場を用意し、学生に来場してもらう方法が中心でしたが、最近ではオンラインで開催するオンライン説明会も増えています。
メリットは、自社のみで開催するため、じっくりと自社の魅力を伝えられる点が挙げられるでしょう。対面なので、テキストや写真だけでは伝わりにくい自社の雰囲気も感じてもらえます。オンライン説明会であれば、遠方の学生も参加できます。
デメリットは、知名度が低いと参加者が集まりにくい点が挙げられるでしょう。説明会の会場の手配や告知など準備に時間やコストがかかる点にも注意が必要です。
大学内で説明会を開催する場合は、学内セミナーと呼ばれます。企業の認知度向上につながるとともに、大学とのつながりが強化できるのもメリットです。ただし参加する学生が限られるうえ、学内での開催なので時間などに制約がある点に留意してください。
インターンシップ
インターンシップは、学生に企業内で職場体験をしてもらう手法です。授業に支障をきたさないように、夏季休暇中に行われるケースが多く見られます。
メリットは、業務の体験を通じて、学生の関心を高め、業務の面白さを感じてもらえる点です。学生にとっては業務内容や職場の雰囲気を十分に知る機会となるので、採用後のミスマッチも減らせるでしょう。就活が解禁される前から、意欲的な学生と接点を持てるメリットもあります。
デメリットは、夏季休暇を逃すとインターン希望者を集めにくくなる点が挙げられます。また受け入れる側の負担が大きく、社員の理解が欠かせません。さらにしっかり企画をしなければ、逆に参加者に悪印象を持たれ、応募には結びつかないでしょう。
オウンドメディアリクルーティング
オウンドメディアリクルーティングとは、自社のWebサイト内などに採用専用ページを立ち上げて採用に関連する情報を発信する手法です。最近ではWebサイトだけではなく、YouTubeなどのSNSも盛んに活用されています。
メリットとして、発信する情報を自社で自由に決められるので、魅力を存分に発信できる点が挙げられます。応募状況に応じて情報の更新や修正もしやすい点が強みです。自社の求める人物像を詳細に記載すれば、母集団の質を高める効果も期待できます。
デメリットは、サイト制作の初期費用と制作期間がかかる点が挙げられるでしょう。知名度が低い企業の場合、社名で検索してもらえず、採用ページにたどり着いてもらえない恐れもあります。
ダイレクトリクルーティング
ダイレクトリクルーティングとは、企業が自社に合った人材に直接アプローチする手法です。大半のケースでは、人材紹介会社の人材データベースやSNSから人材を選びます。
メリットは、企業自ら人材を選んでアプローチするため、自社に合った人材を獲得できる点です。また、個別にアプローチするため、母集団の人数も適切に管理できるでしょう。ノウハウが蓄積されていれば、他の求人媒体を利用するのに比べてコストを抑えた採用活動も可能です。
デメリットは、スカウトメールの作成などにノウハウが求められる点でしょう。また、スカウトメールの文面作成や面接の日程調整などに手間がかかるため、大人数の採用には向いていません。採用決定まで時間がかかるので、急いで人員補充しなければならないケースには適さないと言えます。
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ソーシャルリクルーティング
ソーシャルリクルーティングとは、FacebookやLinkedIn、X(旧Twitter)などのSNSで求人情報を発信する手法です。発信時は、自社が求める人材が多く利用しているSNSを選ばなければなりません。
メリットとして、低コストで採用できる点が挙げられるでしょう。圧倒的な拡散力を持つSNSを使えば最新の情報を幅広い層に情報を発信できるので、自社の魅力を直接伝えられます。学生や求職者と気軽にコミュニケーションをとれるのも利点です。
デメリットは、発信してすぐに応募につながるとは限らず、継続的に発信し続けなければならない点でしょう。単に情報を発信するだけではなく、応募意欲を喚起する内容を発信する必要があるので、一定のスキルも求められます。当然ですが、SNSを利用していない人には情報を届けられません。
リファラル採用
リファラル採用とは、自社の社員から友人や知人を紹介してもらう手法です。自社の社風や業務内容を熟知している社員が、自社に合った人材を紹介するため、定着率が高い特徴があります。縁故採用とは異なり、選考は行います。
メリットは、採用ミスマッチが減らせる点です。紹介してくれた社員に報奨金を支払うケースがほとんどですが、他の採用手法に比べるとコストを抑えられます。質の高い人材集めにも有効です。
デメリットは、紹介されるタイミングや人数をコントロールしにくい点が挙げられるでしょう。したがって、大人数の採用には向いていません。不採用にした際、紹介してくれた社員へのフォローも求められます。社員のエンゲージメントが低いと紹介が行われないので、社員満足度が低い会社では導入が難しいでしょう。
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アルムナイ制度
アルムナイ制度とは、自社を離職・退職した社員を再雇用する採用手法です。育児や配偶者の転勤などの家庭の事情や転職した社員に再び働いてもらう仕組みですが、大半は過去の勤続年数や実績で一定の条件を設けています。
メリットは、自社での勤務経験があるため、社風や業務内容に精通しておりミスマッチが起きにくい点です。また、教育や研修が最小限で済み、即戦力として期待できるでしょう。
デメリットは、離職者・退職者を再雇用するので、既存の社員の納得感が必要であることです。社員が円滑に退職している職場でなければ、導入できない手法と言えるでしょう。また、大人数の採用には向いていません。
採用活動の母集団形成に成功した企業事例
母集団形成に工夫を凝らし成功した企業の実例を紹介します。これから採用活動を開始する予定の企業は、ぜひ参考にしてください。
大新東株式会社
大新東株式会社は、シダックス株式会社のグループ会社で、民間企業の役員車や営業車、社員の送迎車両やスクールバスなどの運行業務を請け負っています。
同社は高速バスドライバーを募集することになりましたが、第2種大型自動車免許の保有者と条件が厳しいため、母集団形成に困難を感じていました。そこで、エン転職の「スカウト代行サービス」と、スカウトを送った人に再度スカウトを送る「再スカウト」機能を活用。
スカウトを送るだけではなく、開封率などを確認し、文面のブラッシュアップも行ったそうです。例えば、シダックスグループの一員と記載して安定感をアピールし、制度の充実や仮眠室完備などの情報を打ち出しました。その結果、求める人材像に合致する応募者が集まり、その中から必要な人数を採用できたそうです。
[出典:エン転職「スカウト代行を活用し、高難易度のバスドライバー採用を実現!」]
三弘紙業株式会社
三弘紙業株式会社は、1924年に創業し、古紙リサイクルから機密書類処理まで手掛けています。
同社は企業の段ボール回収事業を行っており、そのために物流運行管理システムを導入しました。体制強化を目的に社内SEの採用を目指したものの、競合が多いうえ、物流業界はIT化が遅れているというイメージも強く、課題が山積していました。
そこで、ターゲットに刺さる魅力を検討し、「役員からも頼りにされる」点を仕事のやりがいとしてアピールすることに。さらに、エン転職から面接に関するアドバイスをもらい、面接の質を改善したところ、イメージアップにもつながったのです。若手からの応募が増え、同社への理解度が高い人材を採用できました。
[出典:エン転職「ならではの魅力を求人で打ち出し、若手社内SEの採用に成功!」]
アーキテックス株式会社
アーキテックス株式会社は、注文住宅事業やリフォーム事業、新築住宅事業や不動産販売事業などを手掛けています。
同社は2023年から一般の新卒採用とは別に幹部候補採用を開始。目標人数を採用するためには、同社の本社がある愛知県以外の母集団形成が求められていました。そこで事業プレゼンのインターンシップを企画したところ、母集団の質が高まり、採用の歩留まりが向上し内定の承諾率も上がったのです。
さらに、キャリア支援NPO法人のサイト掲載などを行い、母集団の数も確保できました。こうした施策により、事業の成長スピード向上に貢献する人材を採用できたそうです。
[出典:RECCOO採用お役立ちブログ「幹部候補の新卒採用が「事業成長」に直結すると実感~戦略策定をRECCOOとともに行い優秀学生20名から内定承諾~」]
Sansan株式会社
Sansan株式会社は、営業DXサービスやインボイス管理サービスなど、業務効率化に資するさまざまなサービスを提供しています。
同社は人材紹介会社を利用して新卒採用を行っていましたが、新卒の採用目標人数の増加に伴い、人材紹介会社だけでは母集団形成が困難に。そこでRECCOOのサービスを利用し、メディア掲載や採用イベントへの登壇を行い、関心を引く学生を増やしていきました。さらに改良を重ね、サマーインターンの実施や架電代行サービスなどを活用して選考参加率を高めたのです。
こうしたさまざまな工夫により潜在層の学生と接点を増やし、同社は母集団の数を確保できました。
[出典:RECCOO採用お役立ちブログ「人材紹介だけでは難しい採用人数50名の壁を突破したカギ 量・質を担保した母集団形成で内定承諾にコミットするRECCOOの価値とは」]
母集団形成を成功させ競争優位性を高めよう
採用活動において母集団形成は、非常に重要です。母集団の質・量の両方を担保すれば、自社に合った人材を確保でき、自社の競争優位性も高まるでしょう。本記事で紹介した採用手法を参考に、母集団形成に取り組んでください。
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