リファレンスチェックとは?やり方や質問内容・実施方法について簡単に解説
リファレンスチェックは、企業と求職者のミスマッチを防ぐために大いに役立ちます。しかし、具体的にどのようなことを調査するのか、知らない担当者も多いのではないでしょうか。当記事では、リファレンスチェックとは何か、質問の方法や内容と併せて解説します。
目次
リファレンスチェックとは?
リファレンスチェックとは、採用選考の一環として、求職者の前職での働きぶりや人柄、業務への適性を確認する方法です。具体的には、前職の上司や同僚といった関係者に、求職者がどのような態度や成果を示していたかを尋ねます。
履歴書や面接では分からない情報を把握し、採用判断をより確かなものにすることが目的です。ただし、基本的に、求職者に無断でリファレンスチェックが行われることはありません。
バックグラウンドチェックとの違い
リファレンスチェックは、主に求職者の前職での働きぶりや人柄を関係者に確認する手法です。一方で、バックグラウンドチェックは、第三者の調査機関が学歴や職歴、資格、犯罪歴など、事実関係を確認する調査を指します。
リファレンスチェックが人間性や仕事への姿勢を重視するのに対し、バックグラウンドチェックは履歴書の内容が正しいかどうかを確認する点が異なります。
リファレンスチェックで重要な質問内容
リファレンスチェックでは、求職者の働きぶりや人柄を正確に把握するために、適切な質問を選ぶことが重要です。主に次の3点について質問します。
現在の勤務状況
リファレンスチェックでは、求職者の在籍期間や役職、仕事内容を確認することが基本です。具体的には、「どのような業務を担当していたのか」「どのくらいの期間勤務していたのか」といった質問が挙げられます。
書類に書かれている勤務状況が正確であるかの確認や、求職者の持っているスキルや経験の把握は、採用判断に役立つ重要なステップです。
他者視点の人物像
リファレンスチェックでは、求職者の仕事中の印象や周囲とのコミュニケーションの取り方など人柄について確認する質問が効果的です。「チームでどのように働いていたか」「どのような場面で特に力を発揮していたか」などを尋ねることで、求職者の協調性やリーダーシップの有無を知ることができます。
他者視点からの人物像を知ることは、採用後のミスマッチを防ぐ重要なポイントです。
求職者のスキル
リファレンスチェックでは、求職者のスキルや特性を深く理解するために、長所や短所、具体的な業務スキルについて質問します。「どのようなスキルが特に優れていたか」「どのような場面で課題が見られたか」などを確認することで、求職者の能力をより正確に把握できるでしょう。
スキルに関する情報は、採用後の役割や配置を決定するうえで非常に役立ちます。
リファレンスチェックの実施方法
リファレンスチェックを効果的に実施するには2つの方法があります。ここでは、その具体的な方法をご紹介します。
書類形式のチェック方法
書類形式のリファレンスチェックは、質問事項を記載した書類やメール、Webアンケートを利用して、関係者に回答を依頼する方法です。
この形式では、回答者が時間をかけて慎重に回答できるため、正確な情報を得やすいのが特徴と言えます。また、書類として記録が残るため、後日確認することも可能です。
特に、忙しい関係者に配慮しながら効率的に進めたい場合に適しています。準備する質問の内容や形式を工夫することで、より効果的な結果を得られるでしょう。
面接形式のチェック方法
面接形式のリファレンスチェックは、電話やWeb会議ツールを通じて関係者に直接質問し、回答を得る方法です。
この形式では、リアルタイムで双方向のやり取りができるため、書類形式では分からない具体的なエピソードや詳細を聞き出せます。
また、質問の意図をその場で補足したり、回答に基づいて追加の質問をすることも可能です。求職者の働きぶりをより深く知るために、効果的な手段となるでしょう。
リファレンスチェックのやり方・流れ
リファレンスチェックをスムーズに行うには、具体的な手順を知ることが重要です。ここではその進め方をご説明します。
求職者に同意してもらう
リファレンスチェックを実施する際には、まず求職者から同意を得ることが不可欠です。個人情報保護や信頼関係の維持のためにも、事前にチェックを行う目的や方法を丁寧に説明し、了承を得なければなりません。
また、候補者から連絡先を提供してもらう場合も、この段階で同意を得るとスムーズです。双方にとって透明性の高いプロセスを進められるでしょう。
確認先を選定する
リファレンスチェックを進める際には、確認先を適切に選定することが重要です。求職者と相談しながら、前職の上司や同僚、取引先など、職務内容や働きぶりをよく知る関係者を選びます。
次に、その連絡先を共有してもらい、リファレンス先へのコンタクトを取る準備を進めます。スムーズな情報収集のためには、求職者が信頼して任せられる相手を選ぶことが重要です。
日程・方法を調整する
リファレンス先と相談しながらリファレンスチェックの日程と方法を調整します。電話やWeb会議ツール、書類での回答など、相手の都合や負担を考慮して柔軟に対応することが大切です。
リファレンス先に「どの時間帯が都合がよいか」「どの形式が最も話しやすいか」を確認し、スムーズな進行を目指します。丁寧に確認することで協力を得やすくなり、正確な情報を収集できる可能性が高まるでしょう。
リファレンスチェックを実施する
リファレンスチェックの実施では、リファレンス先に在籍期間や仕事内容、スキル、働きぶり、人柄などを尋ね、求職者の申告内容と照らし合わせます。
履歴書や面接では分からなかった部分を補完し、情報の正確性を確認できるだけでなく、回答の中から具体的なエピソードを引き出すことで、採用後のイメージをさらに具体化できるでしょう。正確な情報収集が採用成功の鍵となります。
リファレンスチェックを実施するメリット
リファレンスチェックを行うことで、採用判断の精度が向上し、ミスマッチのリスクを減らせます。ここからは、リファレンスチェック実施のメリットを4つご紹介します。
求職者について深く知れる
リファレンスチェックは、書類や面接だけでは見えにくい求職者の働きぶりや人柄を知る有効な手段です。具体的には、どのような状況で力を発揮するのか、チームでの役割は何かなど、実際の職場でのエピソードを通じて深く理解できます。
この情報は、採用後の適切なサポートや配置に役立ち、入社後の活躍を後押しするでしょう。
企業とのミスマッチ防止になる
リファレンスチェックは、求職者の情報を客観的かつ多角的に確認できるため、採用時の判断精度が向上します。前職での働きぶりや人間関係に関する具体的なエピソードを知ることで、企業文化や職務内容との適性を判断しやすくなるのがメリットです。
結果として、入社後のミスマッチを防ぎ、適材適所の配置を可能にすることで、双方にとって満足度の高い採用が実現するでしょう。
企業の信頼維持につながる
リファレンスチェックにおいて求職者に過去の不正や不祥事がなかったかを確認することで、企業のコンプライアンスリスクを回避する手助けとなるのが利点です。採用時に慎重に情報を確認することで、信頼できる人材を確保し、社内外の信頼関係を維持できます。
リファレンスチェックを通じて、安心して組織に迎え入れられる人材を選び、リスク管理や企業の信頼維持につなげることが可能です。
効率よく選考業務を進められる
リファレンスチェックを活用することで、一定条件を満たした候補者を効率的に選別することが可能です。
前職の評価やスキル、働き方について事前に確認できるため、面接や書類審査だけでは見えにくいポイントを補足しながら判断を進められます。その結果、採用に適した人材を絞り込む時間が短縮され、選考業務全体の効率化につながる点がメリットです。
リファレンスチェックを行う際の注意点
リファレンスチェックを実施する際に気を付けておくべきポイントをご紹介します。
拒否される可能性もある
リファレンスチェックを実施する際には、求職者やリファレンス先が協力を拒否する可能性があることに注意が必要です。
求職者にとって過去の職場環境や関係者とのトラブルが懸念材料となる場合があるほか、リファレンス先が多忙やプライバシー保護を理由に回答を控えることもあります。
信頼を築きスムーズに承認を得るためには、事前に求職者へ丁寧に説明を行い、リファレンス先には配慮ある連絡を心掛けることが重要です。
個人情報は慎重に扱う
リファレンスチェックで得た個人情報は、慎重に取り扱わなくてはなりません。求職者の同意なしに情報を外部に公表することは、個人情報保護の観点から重大な問題となります。このため、収集した情報は採用判断以外の目的で使用せず、必要最低限の範囲内で管理することが重要です。
また、リファレンス先にも情報の機密性を守る旨を伝えることで、信頼関係を築きやすくなるでしょう。適切な情報管理は、企業の信用を守る基本です。
提供情報をすべて鵜呑みにしない
リファレンスチェックで得た情報は、判断材料のひとつとして参考にする程度にとどめましょう。リファレンス先の主観や状況によって情報が偏る可能性があるため、他の選考結果や求職者自身の発言と総合的に照らし合わせることが必要です。
また、特定の意見に過度に依存することで、バランスの取れた判断を欠くリスクもあります。採用の最終判断は、多角的な視点で情報を精査し、公平かつ合理的に行うことが重要です。
基本的に内定取り消しはできない
内定後にリファレンスチェックを実施する場合、求職者に重大な違反がない限り、内定を取り消すことは法律的に難しいでしょう。
そのため、内定通知の前や最終面接の段階で実施することをおすすめします。選考プロセス全体の透明性を保ち、企業と求職者双方にとって納得のいく判断が可能になるはずです。
リファレンスチェックを行うタイミングに注意し、トラブル防止につなげましょう。
リファレンスチェックとは求職者に対する調査のひとつ
リファレンスチェックは、求職者の過去の働きぶりや人柄を確認し、採用の判断材料とする重要なプロセスです。書類や面接では見えない部分を補完し、ミスマッチを防ぐ効果が期待できます。
一方で、実施時には個人情報の取り扱いや適切な手順を守ることが必要です。リファレンスチェックを正しく活用することで、企業にとっても求職者にとっても、よりよい採用結果を生み出せるでしょう。
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