リファレンスチェックは中小企業にも必要?重要性や実施するメリット・注意点
上司・同僚などから候補者の仕事に関する情報を収集する「リファレンスチェック」。採用の効率化などを目的に実施されていますが、中小企業にも必要なのでしょうか。本記事では、中小企業におけるリファレンスチェックの重要性やメリットを解説します。
目次
リファレンスチェックとは?
リファレンスチェックとは、採用候補者の職務経験や人柄などを知るために、かつて一緒に働いたことのある第三者、いわゆる推薦者から情報を収集する手法です。推薦者には前職や現職の上司、同僚、部下などが含まれます。
リファレンスチェックを行うことで、履歴書や面接だけでは見えにくい、候補者の仕事ぶりや職場でのコミュニケーションの取り方を知ることが可能です。そのため、候補者の適性や職場環境との相性をより正確に判断するための参考情報になるのです。
▷ リファレンスチェックとは?やり方や質問内容・実施方法について簡単に解説
リファレンスチェックの主な質問内容
リファレンスチェックでは、候補者の仕事ぶりや人柄、職場での関わり方を深く知るための具体的な質問が行われます。
候補者の業務遂行スキルに関する質問
過去の具体的な成果や仕事への取り組み姿勢について質問を行います。
例えば、どのようなプロジェクトを担当し、どのように成功へ導いたのか、また、課題にどう対応したかを尋ねます。さらに、問題解決能力やチームでの協調性についても具体的なエピソードを通じて把握します。
これにより、候補者が新たな職場で必要なスキルを発揮できるかを評価するための手がかりを得られるでしょう。
候補者のコミュニケーションスキルに関する質問
過去の職場でどのように周囲と関わっていたかを尋ねます。
具体的には、チームメンバーと積極的に意見交換をしていたか、また、対立や課題があった際に円滑に対処できていたかなどです。
このような質問を通じて、候補者が新たな環境でもスムーズなコミュニケーションを取れる人物かどうかを見極めることができるでしょう。
候補者の社交性に関する質問
過去の職場でチームメンバーとどのように協力してプロジェクトに取り組んでいたか、また、チーム全体の成功に向けて自ら貢献しようと努力していたかを尋ねます。
これらの質問を通じて、候補者が職場で周囲と良好な関係を築き、チームに前向きな影響を与える人材であるかどうかを確認できるでしょう。
候補者の信用に関する質問
候補者の信用性を評価するためには、過去の職場での行動について尋ねることが重要です。
具体的には、業務の期限や規律をしっかり守っていたか、上司や同僚から信頼されていたかといった点を確認します。
信頼できる人物かどうかは、仕事を任せるうえで欠かせない要素です。このような質問を通じて、候補者が新しい職場でも責任感を持って業務を遂行できるか判断できるでしょう。
中小企業におけるリファレンスチェックの重要性
中小企業では、一人ひとりの採用が企業全体に大きな影響を与えます。そのため、候補者を深く知るリファレンスチェックが重要です。ここでは、中小企業におけるリファレンスチェックの重要性について詳しく解説します。
定着率が低く3年以内に退職する新入社員が多いため
中小企業では、新入社員の3年以内の離職率が高い傾向にあり、人材の定着が大きな課題となっています。
厚生労働省の「新規学卒就職者の離職状況(令和3年3月卒業者)」によると、高卒・大卒を問わず約3割が3年以内に退職しています。このような現状から、採用時に候補者の仕事適性や職場との相性を見極めるリファレンスチェックがますます重要視されているのです。
リファレンスチェックを行うことで、長期的に活躍できる人材の採用が期待できます。
[出典:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和3年3月卒業者)を公表します」]
人材を確保できないと業績に影響するため
採用後のミスマッチによって人材確保に失敗すると、業績に大きな影響を与える可能性があります。
日本商工会議所の「人手不足の状況および多様な人材の活躍等に関する調査」によれば、特に中小企業では人材不足が企業運営に直接的な課題として浮上しています。
そのため、リファレンスチェックを活用して適性を見極め、採用の成功率を高めることが重要とされているのです。
[出典:東京商工会議所「「人手不足の状況および多様な人材の活躍等に関する調査」 の集計結果について」]
中小企業がリファレンスチェックを実施する方法
ここでは、中小企業がリファレンスチェックを実施する方法を3つ紹介します。効率的な方法を知ることで実施のハードルが下がるでしょう。
自社の採用担当者が行う
自社の採用担当者が直接リファレンスチェックを行うと、状況に応じて柔軟に対応できますが、採用担当者への負担が増加しがちです。
また、質問内容や面談の進め方が担当者のスキルに依存するため、得られる情報にばらつきが出る可能性があります。
効果的なリファレンスチェックを行うためには、このような状況を踏まえたうえで、担当者が十分な準備をして臨むことが大切です。
リファレンスチェックの専門業者に依頼する
専門業者にリファレンスチェックを依頼することで、経験豊富な担当者による高い精度の確認が期待できます。専門業者は効率的な手法を用いるため、迅速に必要な情報を収集し、客観的かつ詳細なレポートを提供してくれるからです。
また、自社で行う場合に比べて負担が軽減される点もメリットの一つです。特に、リファレンスチェックの経験が少ない企業にとって、信頼性の高いチェックを行える専門業者の利用は有効な選択肢といえるでしょう。
オンラインリファレンスチェックサービスを利用する
オンラインリファレンスチェックサービスは、手軽にリファレンスチェックを実施できる便利な方法です。特に忙しい採用担当者にとって、時間と労力を節約しつつ効果的なチェックを行える方法として注目されています。
このサービスを利用することで候補者や推薦者の負担が軽減されるため、採用担当者の作業の効率化も期待できます。
また、専用のシステムを活用するため、情報収集や管理がスムーズに行える点もメリットです。
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中小企業がリファレンスチェックを実施するメリット
リファレンスチェックを実施することで、長期的に活躍できる人材を見極められるため、採用後のミスマッチを防ぐことができます。ここでは、中小企業がリファレンスチェックを実施するメリットについて詳しく解説します。
候補者について深く理解できる
リファレンスチェックを行うことで、候補者の仕事ぶりや人柄、職場でのコミュニケーションの取り方など、多面的な情報を収集できます。
履歴書や面接では分からない、具体的なエピソードや実際の職場での行動について知ることができるため、候補者の適性や強みをより深く理解する手助けとなるでしょう。
採用リスクを回避できる
リファレンスチェックを通じて、候補者に関する多面的な情報を得られるだけでなく、候補者が提供した情報の信頼性を確認することができます。そのため、採用後のミスマッチや、社会的に問題のある人物を雇用するリスクを未然に防ぐことが可能です。
特に中小企業では、採用の失敗が組織に与える影響が大きいため、このようなリスク回避の手段としてリファレンスチェックは非常に有効といえるでしょう。
採用コストの最適化が図れる
先述した通り、リファレンスチェックを活用することで採用後のミスマッチを防げるため、結果として採用コストの最適化が実現します。ミスマッチによる早期退職や再採用が減るため、時間や費用の無駄を大幅に削減できるでしょう。
また、適切な人材を初回で確保できるため、その後の育成や定着の効果も向上します。中小企業にとって限られたリソースを効率的に活用できるリファレンスチェックは、経営面でも大きなメリットといえます。
企業の安定的な成長につなげられる
リファレンスチェックを活用し、採用活動が長期的に成功すれば、企業の安定的な成長につなげられます。適切な人材が定着し、職場環境の改善や生産性の向上が図られることで、組織全体のパフォーマンスも高まるでしょう。
また、人材のミスマッチを防ぐことで離職率が低下し、採用や育成にかかる負担も軽減されます。
中小企業がリファレンスチェックを実施する際の注意点
リファレンスチェックを効果的に活用するには、法的な配慮や質問内容の工夫など、実施時の注意点を押さえることが大切です。最後に、中小企業がリファレンスチェックを実施する際の注意点をご紹介します。
リファレンスチェックの目的を周知する
リファレンスチェックをスムーズに行うためには、その目的を候補者や推薦者に明確に伝えることが重要です。
特に、候補者の欠点を探すためのネガティブな調査ではなく、候補者を多面的に理解するための前向きな取り組みであることを周知する必要があります。
目的をしっかり共有することで、リファレンスチェックへの不安や拒否を軽減し、協力を得やすくなるでしょう。
不適切な質問はしない
本籍や出生地、家族、家庭環境など、採用選考に含めるべきではない質問は避けましょう。これらの質問は個人情報保護や法的観点から不適切とされるだけでなく、推薦者や候補者に不快感を与える可能性があるからです。
質問内容は、候補者の仕事ぶりやスキル、人柄など業務に関連する具体的な事項に限定し、公正かつ適切な調査を心がけてください。
個人情報の取り扱いに留意する
リファレンスチェックを実施する際には、候補者本人から事前に同意を得ることが基本です。さらに、取得した情報は機密情報として厳重に管理し、第三者に漏洩しないよう注意しましょう。これにより、候補者や推薦者の信頼を保ち、トラブルを未然に防ぐことができます。
個人情報を適切に扱うことは、法令遵守だけでなく、リファレンスチェックの信頼性を高めるうえでも重要なポイントです。
採用内定を出す前に実施する
リファレンスチェックは、最終面接前に実施することが重要です。内定後にリファレンスチェックの結果が悪かったり、候補者がチェックを拒否した場合でも、内定の取り消しは解雇権の濫用として違法とみなされる可能性があるからです。
そのため、採用プロセスの早い段階でチェックを行うことで不適切な取り消しを避け、公正な採用活動を進めることが求められます。
中小企業の採用活動にリファレンスチェックを導入しよう
リファレンスチェックは、候補者の適性や信頼性を見極め、採用後のミスマッチを防ぐための有効な手段です。
一人ひとりの採用が業績や成長に大きな影響を与える中、適切な人材を確保するためにも、リファレンスチェックは欠かせないステップといえます。
目的を明確にしたうえで個人情報の取り扱いや質問内容に配慮しながら、効果的な採用活動につなげましょう。
安定した成長を目指すための一歩として、リファレンスチェックをぜひ取り入れてみてください。
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