動画配信におけるDRM(デジタル著作権管理)とは?仕組みや導入方法
デジタルコンテンツの不正利用を防ぐために必要な「DRM」。コンテンツが不正利用されると著作権の侵害や企業収益の減退につながるため、知的財産としての価値が高いコンテンツを配信する場合はDRMの導入を検討しましょう。本記事では、動画配信におけるDRMについて、仕組みや導入方法などと併せて解説します。
目次
動画配信におけるDRM(デジタル著作権管理)とは?
DRMは「Digital Rights Management」の略で、日本語では「デジタル著作権管理」と呼ばれます。音楽や動画、画像などのデジタルコンテンツを、無断でコピーされないように守るための技術です。
具体的には、コンテンツに暗号化を施し、許可されたユーザーだけが視聴できるように制御します。DRMを導入することで、著作権を保護し、コンテンツの不正使用を防ぐことができるのです。
動画配信におけるDRMの必要性
スマホやインターネットの普及に伴い、近年は動画コンテンツが急増しています。その一方で、デジタルコンテンツは簡単にコピーできるため、海賊版の流通が大きな問題となっているのも事実です。
著作権の侵害に該当する不正コピーや無断利用が広がると、正規版の売上が落ち、コンテンツの制作側に大きな損失が生じるため、DRMが必要なのです。DRMは、コンテンツの不正利用を防ぎ、著作権を守るための重要な技術だといえます。
動画配信におけるDRMの仕組み
動画配信におけるDRMでは、コンテンツに暗号化を施し、鍵がかかった状態にします。DRM認証サーバーが暗号化解除のためのライセンスキーと端末識別子を管理しているため、正しいユーザーのみが視聴することができるのです。
そのため、たとえライセンスキーを所持していても、サーバーによって認証されない非正規のユーザーは視聴ができない仕組みになっています。
DRMの主な手法
DRMにはいくつかの手法があります。まずは「デジタル署名」です。これは、コンテンツに署名することで、コンテンツの正当性を保ち、改ざんなどを防ぐ手法です。
「ライセンス管理」は、正規のユーザーにのみライセンス発行や管理を行う手法で、コンテンツの視聴権限を制御することができます。「デバイス認証」は、コンテンツを再生するデバイスを認証し、そのデバイスでのみコンテンツを再生できるようにする仕組みです。
さらに、コンテンツ自体に利用条件を設けてロックをかけ、不正利用を防ぐ「デジタルロック」という手法もあります。これらのDRMの手法によって、著作権を確実に保護することができるのです。
DRMでできること
DRMは、著作権を守るために非常に重要な仕組みですが、具体的にどのような規制ができるのでしょうか。一つずつ見ていきましょう。
不正コピーの防止
DRMを導入すると、不正コピーを防止することができます。具体的には、コンテンツに暗号化を施すことで、許可された正規のユーザー以外がそのコンテンツを利用することを防げるのです。
暗号化されたデータは、特定のユーザーだけが持つ鍵によって解読する必要があるため、仮に不正にコピーされたとしても正しく再生されません。
この機能によって著作権侵害を防止することで、クリエイターや配信事業者は安心してコンテンツを提供できるようになるのです。
コピーできる回数の制限
DRMでは、コンテンツのコピー回数を制限することもできます。例えば、購入した動画コンテンツをほかのデバイスに移動できる回数を3回までなどと設定することが可能です。
これにより、正規ユーザーは適正な範囲内でコンテンツを便利に利用できる一方で、無制限なコピーや再配布を防ぎます。このようなコピー回数の制限は、著作権の保護とユーザーの利便性のバランスを取るために有効な手法です。
コンテンツの利用制限
DRMを活用すると、コンテンツの閲覧期間を制限することも可能です。例えば、レンタル配信の場合、視聴可能な期間を30日間とすることや、再生開始後48時間以内などと設定ができます。
このような利用制限を設けることで、コンテンツが無制限に利用されることを防ぎ、著作権保護の強化につながるのです。また、この機能では期限が切れると自動的に再生が停止するため、ユーザーに手間をかけずに制御できます。
他媒体へのコピーの防止
DRMは、コピー動画だけでなく、紙や電子書籍など、ほかの媒体へのコピーも防止します。
他媒体へのコピー防止対策もあらかじめ施しておくことで、コンテンツの不正流通の可能性を最大限抑えることができます。企業にとっては、収益の損失を防ぐだけでなく、信頼や企業イメージを保つことにもつながるでしょう。
著作権の侵害によって企業のブランドに悪影響が及ぶリスクを回避し、安心してコンテンツを提供できる環境が重要なのです。
DRMの導入方法
デジタルコンテンツを保護するために重要なDRMですが、どのように導入すればよいのでしょうか。ここではDRMの導入方法について詳しく紹介します。
動画配信ベンダーに確認する
DRMを導入するためには、まず利用する動画配信ベンダーがDRMに対応しているかを確認することが重要です。すべてのベンダーが同じ機能を提供しているわけではなく、対応しているDRM技術にも違いがあります。
そのため、提供される保護レベルや対応デバイスを事前に確認しておくことで、ニーズに合った配信方法を選ぶことができます。適切なDRMを導入することで、コンテンツの安全性を確保し、著作権侵害を防ぎましょう。
DRMサービスを利用する
DRM導入の効果を高めるためには、DRMを専門とするサービスを利用することも選択肢の一つです。
DRMサービスは、暗号化技術やライセンス管理など、コンテンツ保護に必要な機能を提供しており、導入も比較的容易です。また、専門的な知識がなくても、サービスを通じて最新のセキュリティ対策が施されたDRMを活用できるため、企業はコンテンツの不正利用を防ぎつつ、本業であるコンテンツ配信に専念できます。
著作権保護とビジネスをバランスよく両立するために効果的だといえるでしょう。
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DRM導入時の注意点
DRMを導入する際には、コストと手間がかかる点に注意が必要です。まず、DRM技術を導入するためには専門的なシステムやソフトウェアを購入および利用するための費用が発生します。
さらに、コンテンツの暗号化やライセンス管理を行うための作業も必要となり、担当者や担当チームの負担も増えるでしょう。しかし、コンテンツの不正利用を防ぎ、長期的な利益を守るためには必要なコストでもあるため、自社の状況や予算などに応じつつ、積極的な導入が望まれます。
DRMを導入し動画コンテンツの不正利用を防止しよう
DRMは、動画コンテンツの不正利用を防ぐための強力なツールです。さまざまな手法を活用することで、著作権を守り、企業の収益や信頼を守ることができます。導入にはコストや手間がかかるものの、その効果は長期的に見ても大きいため、DRMを活用して、安全かつ効果的にコンテンツを配信しましょう。
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