フレキシブルオフィスとは?市場規模やメリット・種類を解説!
用途に合わせて様々な使い方ができるオフィスの総称であるフレキシブルオフィス。働き方改革などにより近年さらに需要が高まっているフレキシブルオフィスですが、そのメリットとは一体何なのでしょうか。本記事では、フレキシブルオフィスの市場規模をはじめ、導入メリット・デメリットや具体的な活用事例について解説していきます。
目次
フレキシブルオフィスとは?
フレキシブルオフィスとは、多種多様な形態で利用できるオフィスです。コワーキングスペースやシェアオフィス、レンタルオフィスの総称として呼ばれています。
フレキシブルには「柔軟な」という意味があり、文字通り「1日だけ」や「1ヶ月だけ」といったような柔軟な契約も可能です。働き方改革やテレワークの普及などの影響を受け、近年注目を集めています。
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フレキシブルオフィスの市場規模
2023年現在、フレキシブルオフィスの市場規模は拡大中です。
ザイマックス総研が実施した「フレキシブルオフィス市場調査2023」によると、東京23区内のフレキシブルオフィスの拠点数は2015年が136件であったのに対し、2021年は1,040件、2022年時点では1,260件にのぼります。
また、フレキシブルオフィスを運営する事業者数は2015年が32社、2022年が116社で約4倍に増加しています。需要が増えるとともに、拠点数および事業者数も増加し、フレキシブルオフィス市場の量的な拡大が続いているのです。
[出典:ザイマックス総研「フレキシブルオフィス市場調査2023」]
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フレキシブルオフィスの主な種類
フレキシブルオフィスと一口にまとめてもその種類は様々です。ここでは、フレキシブルオフィスの主な種類について紹介していきます。
コワーキングスペース
コワーキングスペースとは、テレワークで働いている会社員やフリーランス、ノマドワーカーなど場所に縛られず働く人たちが活用するフレキシブルオフィスです。基本的に個室が設置されておらず、大きな空間で年齢や職種を問わずに様々な人が利用しています。
様々な種類のフレキシブルオフィスの中でもリーズナブルな料金で利用できるのが特徴であり、なるべく低コストに抑えたいと考えている人におすすめです。
シェアオフィス
シェアオフィスは一つのオフィス(空間)を複数の企業がシェアして利用するオフィスのことで、特定のオフィスと契約するのと比べて初期費用を大きく抑えられるのが特徴です。
リモートワークをはじめとした働き方の多様化を受けて、シェアオフィスを利用する企業が増加している傾向があります。
レンタルオフィス
レンタルオフィスは個室タイプのフレキシブルオフィスであり、ここまで紹介してきた種類と比べてプライバシーやセキュリティに優れているのが特徴です。
一人用の小さなものから、数十人入れる個室まで利用人数に応じて利用できる様々な広さの個室を用意しています。
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フレキシブルオフィスが注目されている背景
フレキシブルオフィスが注目されている背景には「働き方改革」があります。厚生労働省は働き方改革について、以下のように定義しています。
「働き方改革」は、この課題の解決のため、働く方の置かれた個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現し、働く方一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにすることを目指しています。
[引用:厚生労働省「「働き方改革」の実現に向けて」より]
多様な働き方の選択肢の一つに自宅やカフェ、コワーキングスペースなどで働く「テレワーク」があります。
中でも、オフィス家具や複合機、インターネット環境などがあらかじめ整備されているフレキシブルオフィスは、契約後すぐに業務をスタートできるため、企業および働き手にとって最適な場所とされています。
働き方改革では、出社が難しい人材や地方都市などに住んでいる人材などが自身の事情に応じた働き方を選択できる社会を目指しています。自宅はもちろん、自宅近くの拠点で効率的な働き方ができると期待されているフレキシブルオフィスは、新しい働き方が普及しつつある社会において特に注目が集まっているのです。
さらに拠点を分散することでオフィス内の人口密度を下げることができるため、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点からもフレキシブルオフィスのニーズが高まっています。
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フレキシブルオフィスを導入するメリット
次にフレキシブルオフィスを導入するメリットについて、下記5点を解説します。
- 運用コストを削減できる
- 複数拠点を低リスクで運用できる
- 契約や入居に時間を取らない
- 優秀な人材を確保しやすくなる
- 大人数で利用することができる
運用コストを削減できる
フレキシブルオフィスを導入すると、オフィスの家賃、設備・機器の導入費用、事務所の運用費などを削減できます。
テレワークをする従業員が増えた場合には、契約しているオフィスの規模を縮小したり解約することで、固定費を削減できます。
また、フレキシブルオフィスにはデスクやチェア、Wi-Fi、プリンターなど、業務に必要な設備がすでに整えられているため、初期費用を抑えることもできるでしょう。さらに、コワーキングスペースやレンタルオフィスなどにおける清掃は事業者側がスタッフを手配するため、清掃にかかるコストも削減できます。
複数拠点を低リスクで運用できる
フレキシブルオフィスを提供している事業者の中には、全国各地に拠点を構えているところもあります。そのため全国に支店や営業所を持つ企業であっても、十分に要望やニーズを満たせるでしょう。
フレキシブルオフィスであれば高い初期費用や家賃を払って物件を借りたり、一から設備を整える必要はありません。
複数の契約プランを提供してる事業者であれば、拠点の増減にも柔軟に対応可能なので、コストを削減して、かつ低リスクで運用できるようになります。
契約や入居に時間を取らない
通常、賃貸でオフィスを借りる場合には物件探しや内装工事、業務に必要な家具や備品の準備などが必要です。また入居後に規模を拡張する際には、移転計画や増築の意思決定、さらに実際の引越し準備など時間と手間がかかります。
一方、フレキシブルオフィスに入居する場合、内装工事や備品類の整備などが不要です。契約後すぐに入居できるため、時間や手間がかかりません。
優秀な人材を確保しやすくなる
全国各地に展開しているフレキシブルオフィスを契約した場合、住む場所にかかわらず多様な人材を雇用できるようになります。つまり、地方に住む優秀な人材も確保できる機会が増えるのです。
近年、働き方が多様化し、地方をはじめとする遠隔地で働くことを希望する人が増加しています。都心部のみにオフィスを構えている場合、地方に住む優秀な人材の雇用機会を逃してしまいます。
フレキシブルオフィスを活用すれば、遠隔地に居住する人材はもちろん、出勤することが難しい人材の確保にもつながります。また、出産・育児・介護によって離職を余儀なくされている人材の継続雇用にもつながるかもしれません。
スキルや知識を保有する既存社員の定着化が進むことは、人手不足に直面している企業にとって大きなメリットになり得るでしょう。
大人数で利用することができる
フレキシブルオフィスは大人数・少人数どちらでも利用可能です。
フレキシブルオフィスにはさまざまな用途・ニーズに対応できる部屋が用意されています。複数人で議論する場合には大部屋で、企画やアイデアを考えたい時には集中できる個室スペースを活用するといったことも可能です。
オフィス勤務とは異なり、コワーキングスペースやシェアオフィスなどでは他部署の人材と交流する機会も増えるため、新しい刺激を受けたり情報交換の場としても機能することが期待できます。
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フレキシブルオフィスを導入するデメリット
フレキシブルオフィスを導入することはメリットだけではありません。ここでは導入のデメリットとして、下記2点に触れておきましょう。
- セキュリティ面でのリスクが高まる
- 勤怠管理が複雑化してしまう
セキュリティ面でのリスクが高まる
フレキシブルオフィスを利用する場合、セキュリティ面のリスクには細心の注意が必要です。特に共有スペースで仕事をする際、パソコンの画面が覗かれたり、デバイスや資料の置き忘れなどによって重要な情報が漏洩する危険性があります。
重要な情報を扱う業務をする際は個室や専用オフィスを利用する、共有スペースで仕事をする場合は覗き見防止フィルターを活用するなどの工夫が必要です。また社員のセキュリティ意識を向上させるような研修やセミナーを実施するのも効果的です。
勤怠管理が複雑化してしまう
フレキシブルオフィスを契約すると、社員は全国各地で仕事ができるようになるといったメリットがあります。一方で、勤務管理が複雑化してしまうといったデメリットもあります。
マネージャーにとって、チームのメンバーがいつどこでどれだけの時間稼働しているか正確に把握するのが難しくなるかもしません。また人事担当者が行う勤怠管理の負担が増すおそれがあります。
この課題については、勤怠ルールを明確化したり、勤怠管理システムを活用したりすると手間や負担を軽減できる可能性があるので、導入を検討してみる価値はあるでしょう。
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フレキシブルオフィスを導入した企業の活用事例
最後にフレキシブルオフィスの活用事例を紹介します。
事例1:分散型オフィスでの運用
分散型オフィスとは、本社オフィス以外に、フレキシブルオフィスでの勤務や在宅勤務を組み合わせた形態を指します。オフィスを分散させているため、新型コロナウイルスをはじめとする感染症対策にもつながります。
また、自然災害等の緊急事態が発生した場合でも、事業を停止することなく継続できるのもポイントです。分散型オフィスは外部からの影響を受けにくい形態といえます。
事例2:地方の顧客開拓での活用
地方の拠点にフレキシブルオフィスを導入し、その地域の新規顧客開拓に活用したといった事例もあります。
近年、ビデオ会議ツールを使ったオンライン商談も増えていますが、中には対面での打ち合わせを希望する企業もあるでしょう。その際、地方の拠点を活用すれば移動時間が削減され、業務効率化も図れます。
その結果、顧客との商談時間を長くとれたり提案資料などを作り込む時間も確保できたりするため、より確度の高い営業活動が可能になります。
事例3:全国の優秀な人材獲得のための活用
フレキシブルオフィスを契約し各地に拠点を構えることで、人材の獲得につなげている企業もあります。
近年、働き方改革によって地方で働いたり、自宅で働いたりすることを希望する人が増加しています。都市部だけでなく、さまざまな地方に拠点をつくり、そこで柔軟に働けることをアピールすれば採用活動でプラスに働くでしょう。
近年は特に人手不足が課題となっている企業も多いことから、企業間競争で優位性を保つためにも、優秀な人材の確保につながる施策を打つことが重要になっています。
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フレキシブルオフィスの活用を検討していこう
本記事ではフレキシブルオフィスの概要や注目されている理由、メリット・デメリットなどを解説しました。
フレキシブルオフィスを導入することで、低コストで運用できるようになったり、優秀な人材を確保しやすくなったりするなど、たくさんのメリットがあります。
ぜひ本記事を参考にして、フレキシブルオフィスの活用を検討してみてはいかがでしょうか。
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