12月に退職した人の年末調整はどうすべき?対象条件や確定申告が必要なケース
毎年年末に行われる年末調整は、企業が1年間に支払った源泉徴収税と実際の所得税額を清算する手続きですが、12月退職の人の年末調整は必要なのでしょうか。本記事では、12月に退職した人の年末調整はどうするべきなのか、対象条件や確定申告が必要なケースを解説します。
目次
年末調整とは
年末調整とは、給与所得者に対して行われる税務手続きで、1年間に支払われた給与や賞与に基づいて正確な所得税額を計算し、税金の過不足を調整する手続きです。
給与所得者は毎月の給与から源泉徴収として納税額が差し引かれますが、源泉徴収額はその人が本来納めるべき税額とは必ずしも一致しません。年末調整により正確な納税額が確定し、払いすぎた場合は還付され、足りない場合は追加で徴収されます。
[出典:国税庁「No.2662 年末調整のしかた」]
年末調整の対象者とは?
年末調整の対象者は、主にその年の年末時点で会社に在籍している給与所得者であり、給与所得者であれば雇用形態は問わず、正社員・アルバイト・パートタイマーなど、源泉徴収されているすべての従業員が対象となります。
ただし、12月に退職した場合や年間の給与が103万円以下の場合など、例外的に年末調整の対象外となるケースもあります。対象者かどうか判断に迷う場合は、国税庁が公開している定義を参照して確認しましょう。
12月退職の人の年末調整は基本的に不要
年末調整は、その年の12月31日時点で在籍している従業員が対象のため、12月中に退職した従業員は基本的に対象外となります。
ただし、以下に挙げるケースでは例外的に年末調整の対象となるため注意が必要です。
例外的に12月退職で年末対象の対象者となるケース
以下のケースでは、12月退職であっても例外的に年末調整の対象者となります。
- 死亡により退職した
- 心身の不調などで退職し年内の再就職が難しい
- 12月分の給与を受け取った後に退職した
- 年間の給与総額が103万円以下
それぞれ詳しく解説します。
死亡により退職した
従業員が死亡により退職した場合はその後再就職する可能性がないため、例外的に年末調整の対象者となります。死亡により退職した方については、正確な税額調整を行った上で家族に還付する必要があります。
心身の不調などで退職し年内の再就職が難しい
心身の不調などで退職した従業員が、年内に再就職できないと判断された場合も、例外的に年末調整の対象となります。退職後に給与を受け取る可能性がなければ、退職した時点で年間の給与総額が確定するためです。
12月分の給与を受け取った後に退職した
12月退職であっても、12月分の給与を受け取った後に退職した場合は年末調整の対象となる場合があります。
ただし、同年内に転職先が決まっており、かつ年内でそこから給与を受け取る場合は、転職先で年末調整を行うことになるため注意が必要です。
年間の給与総額が103万円以下
アルバイトやパート従業員など、年間の給与総額が103万円以下の場合も年末調整の対象となります。103万円以下の場合は、控除を差し引くと所得税がかからず精算が可能なためです。
ただし、他の勤務先から給与を受け取っている場合や、退職後に他の収入を受け取る場合などはこの限りではありません。
12月退職した人で確定申告が必要なケース
12月に退職した人でも確定申告を要する場合があります。ここでは代表的な4つのケースについて解説します。
年内に年末調整をしていない場合
年内に年末調整をしていない場合は、従業員が自分自身で確定申告を行う必要があります。
具体的には、12月に退職して年末調整を行わず年内の再就職先が決まっていない場合や、再就職が決まっていても次の会社での年末調整が間に合わなかった場合などが挙げられます。
退職後フリーランスとして働く場合
12月退職であっても、退職後にフリーランスとして働き始めた場合は確定申告が必要です。フリーランスの場合は収入が給与所得から事業所得に変わり、源泉徴収が行われないためです。
この場合は、会社員(給与所得者)の時に受け取っていた給与所得と、フリーランスになった後の事業所得を合算して確定申告を行う必要があります。
「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない場合
退職時に「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない場合も、確定申告が必要です。
この申告書は、退職金に関する税額を確定させるためのもので、提出しないと減税の措置が受けられず、本来よりも多く税金を納めることになるためです。
還付申告がある場合
還付申告とは、源泉徴収された税金が過払いだった場合に、その過剰分を還付してもらうための手続きであり、還付申告がある場合も確定申告を要します。
具体的には、「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない場合や、年末調整を行っていない控除がある場合などが該当します。
年末調整をしていない場合は忘れずに確定申告をしよう
いくつかの例外はあるものの、年末調整をしていない場合は基本的に確定申告を行う必要があります。
具体的には、年内に年末調整ができなかった場合や退職後にフリーランスとして働く場合、「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない場合などです。年末調整をしていない場合は早めに対象者の条件を確認し、忘れずに確定申告を行いましょう。
年末調整ソフトの記事をもっと読む
-
ご相談・ご質問は下記ボタンのフォームからお問い合わせください。
お問い合わせはこちら