CMSのセキュリティリスクとは?脆弱性や講じるべきセキュリティ対策

2024/04/26 2024/04/30

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CMSのセキュリティリスク

CMSを利用する際にはセキュリティ対策が必要です。特に、CMSの代表格であるWordPressはソースコードが公開されていることから、サイバー攻撃を受けやすい特徴があります。本記事では、CMSのセキュリティリスクや、講じるべきセキュリティ対策を解説します。

CMSにセキュリティリスクはあるのか?

企業がWebサイトを運営する際に活用されるCMSの中には、サイバー攻撃の標的となってしまう高いセキュリティリスクを抱えているものもあります。

CMSとは「Contents Management System」の略で、Webサイトの更新作業を効率化するためのシステムです。普及度の高いCMSほどサイバー攻撃の標的となりやすいなど、利用するCMSによってリスクの程度は大きく異なります。以下に、CMSが種類別に抱えるセキュリティリスクの違いについて説明します。

CMSの種類によるセキュリティリスクの違い

CMSは大きく分けて、オープンソース型、パッケージ型、クラウド型の3つに分類されます。これらのCMSはそれぞれ違う特徴を持ち、セキュリティリスクも異なります。

オープンソース型CMS

オープンソース型CMSは、WordPressなどのように誰でも無料で利用できるソフトウェアです。

便利である反面、ソースコードが公開されているため脆弱性を見つけ出されると、サイバー攻撃の標的になりやすい傾向にあります。また、ユーザー数が多いことから、セキュリティ対策が不十分な場合には大規模な被害が起こりかねません。したがって、安全に運用するにはある程度の専門知識が求められます。

パッケージ型CMS

パッケージ型CMSは、自社サーバーにインストールして利用するタイプで、ベンダーが独自に開発した製品が多いです。このタイプのCMSは、自社のネットワーク内で運用を完結させるため、データが外部に漏れにくく、セキュリティリスクは比較的低いと言えます。

クラウド型CMS

クラウド型CMSは、インターネットを経由してベンダーのサーバー上にあるCMSを稼働させる運用スタイルです。

原則として、全てのデータがベンダーが用意したサーバーに保管されるため、そのベンダーのセキュリティ対策次第でリスクが大きく変わってきます。つまり、セキュリティ対策に強いベンダーを選ぶことに失敗すれば、大きなリスクを抱えてしまう可能性があります。

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CMSのセキュリティリスク

CMSを利用するうえでは、一定のセキュリティリスクは避けられません。どんなCMSでも、設定や管理が不十分な状態ではサイバー攻撃のリスクにさらされます。ここでは、そうしたリスクの具体例と、その影響について見ていきましょう。

サイバー攻撃による個人情報の流出

顧客の個人情報を扱うWebサイトを運営する場合、セキュリティ対策に不備があると、サイバー攻撃者に個人情報を盗まれてしまう恐れがあります。

もし、個人情報の流出を許せば、多額の損害賠償請求や信頼の失墜につながり、企業に致命的な打撃を与えることになるでしょう。

ウイルス感染によるサービスの停止

CMSがウイルス(悪意のあるプログラム)に感染すると、Webサイトは正常に機能しなくなります。

さらに、感染が拡大するのを防ぐためには、サービスを一時停止せざるを得ない状況に追い込まれることもあります。サービス提供の中断はもちろん、修復作業にも多大な時間と費用がかかり、事業に大きな支障をきたします。

サイトの改ざんによる誤情報の発信

不正アクセスによりWebサイトが改ざんされ、誤情報が発信されるリスクも存在します。

これは企業のイメージや信頼を損ねるだけでなく、サービスの規模や性質によっては社会的な混乱を招く可能性もあります。また、一度失った信頼を取り戻すことは非常に困難であり、ビジネスにとって大きな損失となります。

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CMSのサイバー攻撃の種類

CMSは便利なシステムですが、さまざまなサイバー攻撃の対象になり得ます。ここでは、CMSに対する代表的なサイバー攻撃方法と、その影響を解説します。

SQLインジェクション

SQLインジェクションとは、Webサイトの入力フォームなどに悪意あるSQL(データベースを操作するための言語)コードを仕込むことで、データベースに意図しない操作をさせたり、障害を発生させたりするサイバー攻撃の手口です。

SQLインジェクションは、1990年代から存在する古典的な攻撃方法ではあるものの、昨今においても多くの被害を生んでおり、根絶が難しいという性質を持ったサイバー攻撃です。

クロスサイトスクリプティング

クロスサイトスクリプティングは「XSS」とも呼ばれ、Webサイトに悪意あるJavaScript(プログラミング言語)コードを埋め込んでソースコードを改ざんし、個人情報を盗み取るサイバー攻撃です。

改ざんされたWebサイトにユーザーがアクセスするだけで、埋め込まれたJavaScript が実行され個人情報が抜き取られる恐れがあります。また、悪意あるJavaScript を埋め込まれたWebサイトが攻撃の対象となるとは限らず、そのWebサイトを起点に他のWebサイトを攻撃することもある(サイトをクロスして)ため「クロスサイトスクリプティング」と呼ばれています。

DoS攻撃

DoS攻撃は「Denial of Service Attack / 分散型サービス拒否攻撃」の略で、大量のデータ通信(純粋な閲覧や複雑な処理のリクエストなど)を送りつけてサーバーに過剰な負荷をかけ、通常のユーザーがサービスを利用できなくさせる攻撃手法です。

また、複数の攻撃者がチームを組んでDoS攻撃を行うことはDDoS攻撃(Distributed Denial of Service attack / 分散型サービス拒否攻撃)と呼ばれ、より対策や犯人の特定が困難なサイバー攻撃として知られています。

ゼロデイ攻撃

ゼロデイ攻撃は、製品に脆弱性が発見されてから、製品提供者が対策パッチを配布する前に行われるサイバー攻撃です。

原則として、直接的な被害を防ぐことは非常に困難です。それでも、洗練されたセキュリティが施されていれば、被害を最小限に押さえる運用や早期復旧を果たすための準備、といった対策は十分に可能です。

ブルートフォース攻撃

ブルートフォース攻撃は、組み合わせ数が有限のパスワードに対して、無作為に組み合わせを変えて試行し続けることで正解のパスワードを探し出そうとする攻撃方法です。

膨大な時間と労力がかかりますが、シンプルなパスワードであれば突破される可能性があります。また、コンピューターの性能次第では、パスワードが破られるまでの時間が大幅に短縮されることも考えられます。

ディレクトリトラバーサル

ディレクトリトラバーサル攻撃は、ウェブアプリケーションのセキュリティを突破して、本来は非公開であるファイルやディレクトリにアクセスし、情報を抜き取るサイバー攻撃です。

この手法では、未公開の重要な情報が不正に取得されるだけでなく、情報漏洩や改ざんの危険性があります。過去には、大手企業が大量の個人情報を漏えいした事例もあるため、適切な対策が求められています。

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CMSのセキュリティ対策

CMSのセキュリティ対策は、サイバー攻撃からWebサイトを守るために必要不可欠です。ここからは、効果的な対策方法を見ていきましょう。

システムを常に新しい状態にアップデートしておく

CMSとそのプラグイン、テーマなどは、全てを常に最新状態に保つことが重要です。

開発者は脆弱性を修正したアップデートを定期的にリリースします。これらを迅速に適用することで、攻撃者が利用できるセキュリティホールを最小限に抑えることができるでしょう。ただし、Webサイト上で運用している機能によっては、アップデートの度に動作が不安定になるケースもあります。こうした場合には、更新と動作テストをうまくスケジューリングして、双方のバランスを取れるような運用体制を用意するようにしましょう。

10桁以上の英数字を組み合わせた強固なパスワードにする

管理者パスワードは、サイバー攻撃者に推測されにくい10桁以上の英数字とさまざまな記号を組み合わせた、出来る限り強固なものを設定しましょう。

さらに、定期的にパスワードを変更することは、古いパスワードを不正に入手された場合への対策になります。

拡張機能の追加は最小限に留める

外部企業が作成した機能や拡張機能をWebサイトに追加することは、必要最小限に抑えましょう。組み込む機能が多いほど脆弱性が増え、攻撃の対象が広がってしまいます。

原則として、Webサイトに組み込まれる機能が増えるほどに、システム上のセキュリティリスクが増してしまいます。ユーザーにとって必要な要素だけを賢く選んで、使用する拡張機能の数を最小限に留めるようにしましょう。

管理画面へのアクセスを制限する

管理者権限のあるページには、固定IPアドレスによるアクセス制限などを設けましょう。許可されたPCだけが管理画面にアクセスできるように設定すれば、不正アクセスのリスクを下げられます。

どんなフィルタリング方法でも構いませんので、管理者権限に対してはアクセスの入り口を最小化することが重要です。

通信を暗号化(SSL化)する

Webサイトとユーザーのブラウザ間の通信をSSL(Secure Socket Layer)で暗号化することで、通信内容が盗聴される危険を防ぎましょう。

Webサイト全体の信頼性も高まる上、近年のWebサイトではSSLの搭載がほぼ標準になっています。コンテンツの検索順位などにも強く影響するので、SSLはしっかりと導入しておきましょう。

ファイアウォールを導入する

ファイアウォールは、インターネットからの不正アクセスや不審なトラフィックを監視し、許可された通信のみを通過させる防火壁のような役割を果たします。

これにより、外部の攻撃者がCMSシステムに侵入することを防ぎ、Webサイトやデータベースへの不正アクセスや改ざんを事前に防止できます。なお、ファイアウォールの細かい設定や運用はとても複雑です。ファイアウォールを自前で用意する場合にも、レンタルサーバーの事情主などに頼る場合であっても、よく内容を確認した上で運用するようにしましょう。

WAFを導入する

WAF(Web Application Firewall)は、Webサイトへの攻撃を検知し遮断する役割を果たすアプリケーションです。

通信内容を解析して、SQLインジェクションやクロスサイトスクリプティングなどの攻撃と判断した場合、その通信を遮断することができます。WAFを導入することで、Webサイトに対するさまざまなサイバー攻撃からCMSを守ることが可能になり、セキュリティ対策として非常に有効です。

定期的にWebサイトの脆弱性をチェックする

セキュリティリスクを早期に発見するためは、定期的にWebサイトの脆弱性チェックを行うことが重要です。

脆弱性を見つけ次第すぐに改修することで、被害に遭うリスクを最小限に抑えられます。レンタルサーバーを契約している場合には、サービスとして一定の脆弱性チェックが付与されていることがありますので、上手に活用しましょう。

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Webサイトの脆弱性を診断するツール

Webサイトのセキュリティ対策には、定期的な脆弱性診断が欠かせません。診断ツールを活用することで、潜在的な危険性を早期に発見し、適切な改修を行うことができるでしょう。以下に、おすすめの診断ツールをいくつか紹介します。

Cloudbric 脆弱性診断

Cloudbric社の脆弱性診断は、高度な検査技術でWebサイト全体の包括的なチェックを実施します。SQLインジェクションやXSSなどの脆弱性はもちろん、ソースコードのセキュリティホールなども見逃しません。わかりやすいレポート形式で検査結果を示してくれるのが特長です。

Webサイトに特化した「Webサイト 診断」、WebサイトやWebアプリケーションのセキュリティ脆弱性を診断する「Webアプリケーション診断」、それからシステムの基盤となるミドルウ ェアやOSなどの診断を行う「プラットフォーム診断」の3つの診断コースが用意されています。

提供元Penta Security Inc.
初期費用要問い合わせ
料金プラン要問い合わせ
機能・特徴エキスパートによる手動での診断、深刻度×悪用度を算出した網羅的な評価スコア、脅威インテリジェンスサービス付帯、脆弱性へのソリューション提案など
URL公式サイト

Securify

Securifyは、Webサイトの総合的なセキュリティ診断を行ってくれるクラウド型ツールです。Webサイトに存在する脆弱性を検出するだけでなく、コーディングの品質などについても精査して包括的な観点からチェックしてくれる上、スキャン結果はクラウドで管理できます。

無料で作れるSecurifyアカウント1つでWeb、ネットワーク、SaaS利用とすべてのセキュリティ診断を網羅的かつ継続的に行えることも大きな強みです。

提供元株式会社スリーシェイク
初期費用無料
料金プラン
  • FREE:無料
  • STARTER:50,000円/月、60万円/年
  • BASIC:10万円/月、120万円/年
機能・特徴Webアプリケーション診断、SaaS診断、WordPress診断など
URL公式サイト

Web Doctor

Web Doctorは、SaaS型の診断用ツールを利用したWebサイトの自動脆弱性診断サービスであり、CMSやECサイトに特化した脆弱性診断を得意としています。

Web サーバーへのアプリケーションのインストールや、専用ハードの設置などは一切不要です。簡単な申し込みだけで、最新のセキュリティ情報に基づいた診断を受けることができます。WordPressなどの一般的なCMSはもちろん、旧バージョンのCMSについても検査の対象となり、漏れのないチェックが可能です。

提供元日本RA株式会社
初期費用要問い合わせ
料金プラン33万円(税込)/1ライセンス
機能・特徴SaaS型の診断用ツールを利用、簡単な申込みだけで診断を開始、診断開始からレポート提出まで3~5営業日、自社開発(純国産性)の自動診断など
URL公式サイト

CMSを利用する際はセキュリティ対策をしっかりしよう

CMSを安全に運用するには、潜在的なセキュリティリスクを見逃さず、適切な対策を講じることが重要です。定期的な脆弱性診断を欠かさないことはもちろん、最新の状態にアップデートを行う、強固なパスワードを設定する、通信の暗号化を行うなど、多角的な対策が求められます。自社のWebサイトを狙うサイバー攻撃のリスクを意識し、しっかりとしたセキュリティ対策を行いましょう。

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