【BCP対策】自己診断チェックリストを活用してBCPを点検する方法
企業や自治体は、災害や感染症などの被害を最小限に抑えるためにBCP対策を計画する必要があります。また、BCPは策定するだけでなく、点検や改善を重ねて強化することも大切です。本記事では、BCP対策の正確性や完成度を高めるため、自己診断チェックリストを活用して点検する方法について解説します。
目次
BCPを点検する方法
策定したBCPの正確性や完成度を確かめるには、既存のチェックリストを活用する方法が効率的です。無料で活用できるだけでなく、自社独自の評価項目も自由に加えられます。チェックリストは、中小企業庁や自治体が提供しており、他社が策定したBCPガイドラインを利用する方法も効果的です。
ここでは、次の2つの方法について解説していきます。
- 中小企業庁のチェックリストを活用する
- 公開されているチェックリストを活用する
中小企業庁のチェックリストを活用する
中小企業庁は、BCPの完成度や改善点の有無を可視化するため、チェックシートを公開しています。設問内容は、企業経営に必要なヒト・モノ・カネ・情報の経営資源に関する内容です。
回答は、「はい」「いいえ」「不明」の3択から回答する形になります。下記の表にチェックシートの内容をまとめました。
表:BCPチェックリスト
カテゴリー | 質問内容 |
---|---|
人的資源 |
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物的資源(モノ) |
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物的資源(カネ) |
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物的資源(情報) |
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体制 |
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[出典:中小企業庁「1.3 BCP取組状況チェック」]
公開されているチェックリストを活用する
インターネット上で公開されているチェックリストを活用するのも有効な手段です。既存のチェックリストをもとに、自社独自の項目を加えたアレンジもできます。
ここでは、大手事務用品メーカー・プラス株式会社ジョインテックスカンパニーが運営する「防災のキホン」が紹介しているチェックリストを活用します。なお、下表に掲載している内容は重要部分のみをピックアップした上で、一部アレンジを加えています。
表:防災のキホン(抜粋の上、一部編集)
カテゴリー | 質問内容 |
---|---|
予防対策 |
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応急対策 |
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復旧対策 |
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資料 |
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[出典:プラス株式会社 ジョインテックスカンパニー「BCP(事業継続計画)チェックリスト」]
BCPチェックリストの確認基準
どのチェックリストを使うかで基準は異なりますが、設問に対して「はい」と答えられた数が多いほど、策定したBCPの正確性は高まります。
たとえば、前掲の中小企業庁のチェックシートを活用した場合、一つの基準は「はい」の数が16個以上あるかどうかです。
合計20個設問が用意されており、16個以上「はい」と答えられた場合、80%以上の内容を網羅できていることになります。事業継続に向けたBCP対策が十分立てられており、今後も継続して取り組んでいくと、取引先や顧客から高い評価を獲得できます。
一方、「はい」の数が15個以下に終わった場合、BCPの見直しが必要です。「はい」の数が少ないほど、BCPの内容に改善点が多く、事業継続性を確保できていない状況です。どの分野の内容を盛り込めていなかったかを確認し、改善に努めてください。
なお中小企業庁では、「中小企業BCP策定運用指針」を公開しています。「はい」の数が15個以下の場合には、同指針を活用しつつ、BCPの改善や修正を加えていくとよいでしょう。
[出典:中小企業庁「中小企業BCP策定運用指針」]
策定したBCPを点検する目的
BCPを定期的に見直す目的は、社内外の変化に対応するためです。BCP策定時に在籍していた従業員全員が、一人も欠けずに今後も在籍し続ける保証はありません。
仮にBCP策定を担当した従業員が退職した場合、引継ぎが上手くいかないとBCPの有効性が低下します。また、ここ数年は、新型コロナウイルス感染拡大やウクライナ情勢など、社会構造を大きく変化させる出来事が発生しています。
いつ緊急事態が発生しても柔軟に対応できるよう、策定したBCPを更新する作業を毎年1回は、実施しましょう。
BCPチェックリストの活用ポイント
BCPチェックリストは手軽に計画内容の評価ができますが、詳細な箇所まではチェックしきれません。従業員に対して、策定した内容の具体的なイメージを持ってもらうためにも、BCP訓練を実施するのがのぞましいでしょう。
BCP訓練は、実際に自然災害やテロが発生したと仮定し、BCP計画で策定した内容通りに行動することです。BCP訓練を通して、改善点や不足箇所を見つけていきます。主なBCP訓練は全部で5種類あります。各訓練の特徴を下記の表にまとめました。状況に応じて使い分けてください。
表:BCP訓練の種類
訓練の種類 | 内容や特徴 |
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机上訓練 |
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電話連絡網・緊急時通報診断 |
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代替施設への移動訓練 |
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バックアップデータを取り出す訓練 |
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総合訓練 |
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チェックリストはBCP対策の強化に必要
今回は以下の4点について解説してきました。
- BCPチェックリストの紹介
- BCPチェックリストの確認基準
- 策定したBCPを点検する目的
- BCPチェックリストの活用ポイント
中小企業庁や自治体、または他社が提供しているチェックリストの活用で、BCPの完成度を確認できます。設問では、経営資源を保護する体制が確立されているかどうかを問われます。多くの設問に「はい」と回答できれば、BCP対策が十分機能していると言えます。
一方、「はい」の数が少なければ、早急に改善する必要があるでしょう。見直しには中小企業庁の「中小企業BCP策定運用指針」などが役立ちます。また、BCPの内容を定期的にアップデートしないと、従業員の入れ替わりや社会情勢の変化に対応できなくなるので、必ず見直しを行いましょう。
策定した内容が機能するかどうかを確かめるために、定期的にBCP訓練を実施し、実効性のあるBCP対策に取り組むことが重要です。
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