BIツールの市場規模・シェア状況について|今後の予測や人気のサービスを紹介
市場規模の拡大が続く「BIツール」。BIツールは、急速なデジタル化やビジネス環境の変化から2000年代より企業での導入・活用が加速し、需要は今後も増大すると予測されています。本記事では、BIツールの市場規模、シェアや導入状況、そして、人気製品ごとの特徴と適切な選び方を紹介します。
目次
BIツールとは
BIは「Business Intelligence」の略称であり、BIツールとは企業が保有するさまざまなデータを一元的に集約し、分析や可視化を行うことで、経営判断の材料を得るためのツールのことです。
BIツールは、ビッグデータの重要性が増す現代において、的確な経営判断を下すための重要な役割を果たしています。1990年代初頭にアメリカで広がり始めたこの概念は、2000年代に入ると日本でも注目されはじめ、大量なデータに基づくスピーディな分析をもとに迅速な経営判断をサポートする重要なツールとして普及が進んでいます。
BIツールの市場規模と予測
株式会社グローバルインフォメーションの調査によると、BIツール市場は2024年には約333億4,000万米ドルに達すると推定されています。
また、過去10年間で市場シェアが顕著に拡大しているため、2024~2029年の間には市場規模が618億6,000万米ドルにまで増加する見込みであり、この時期の年平均成長率は13%を超えると予測されています。ビッグデータ活用の重要性が増すビジネス環境の変化を考えると、市場の拡大は、今後も長期的に続く可能性が高いと言えるでしょう。
[出典:株式会社グローバルインフォメーション 市場調査レポート「ビジネスインテリジェンス(BI):市場シェア分析、業界動向と統計、成長予測(2024~2029年)」]
BIツール市場規模拡大の背景
BIツール市場が拡大している背景には、主に2つの要因が挙げられます。
ビッグデータ活用ニーズの高まり
1つめの要因は、技術の進歩によって膨大なデータ(ビックデータ)を保存して分析できる環境が整ったためです。
ビッグデータは「21世紀の石油」と呼ばれることがあるほど、高い経済的なポテンシャルを秘めています。市場経済の競争が激しさを増すなか、競合に打ち勝つためのマーケティングを行うためには、もはやビッグデータの活用は必須とも言えるでしょう。そのため、BIツールによるビッグデータ活用への需要が高まっているのです。また、以前は大企業しか扱えなかったビッグデータやBIツールですが、近年はよりコンパクトで安価な選択肢が提供されるようになりました。
働き方の変化
2つめの要因は、デジタルトランスフォーメーション(DX)の波に乗り、さまざまな働き方が認められるようになったことです。
ビジネスプロセスの効率化や、データに基づく合理的・戦略的な意思決定がより強く意識されるようになり、その両方を支援するためにBIツールの導入が急速に進みました。BIツールは経営戦略の策定、財務分析、営業成績の分析などに幅広く有効なので、導入が進むことで社内業務の効率化や労働環境改善が、さらに後押しされるでしょう。
▷BIツール活用に向けたデータベース設計の基本|設計方法や活用例を解説
国内のBIツールのシェア・導入状況
2019年に発表されたガートナージャパン株式会社の調査によれば、国内企業の約74%がBIツールをすでに導入しています。
この調査結果は、データ駆動型の意思決定システムが、日本のビジネス環境においても広く活用されていることを示しています。
とりわけ、中小企業においてクラウド型のBIツールの導入が進んでいる動向は、経営の迅速化だけでなく、戦略的な意思決定を行ううえでも、BIツールの有効性が広く認められていると言えるでしょう。
一方で、「積極的なツール活用」となると、BIツールが導入されている企業でさえ、その割合はわずか35%に留まっており、BIツールの「活用」となると、多くの課題が残されていることがわかります。
[出典:ガートナージャパン株式会社「ガートナー、企業におけるBIツールの導入状況に関する調査結果を発表」]
【高シェア】人気BIツールサービス
ここからは高シェアを獲得しているBIツールを5つ紹介します。
直感的な操作性や高度な分析機能など、さまざまな特徴を持つ製品がラインナップされているので、ぜひBIツールを選ぶ際の参考にしてください。
Tableau
Tableauは、より適切な意思決定を行うために必要となる、あらゆる分析能力を導入できるBIツールです。
データの視覚的表現とバックグラウンドでの自動化に強みを持ち、初心者でも無理なくデータからビジネスに関連づく情報を読み取れるでしょう。また、セキュリティも非常に優れており、SOCIIやISOなどの最高のセキュリティ認定標準を備えた最新のインフラストラクチャが用意されています。さらに、オンプレミス型とクラウド型の双方に対応しているので、作業場所を問わずにデータ分析を強力にサポートしてくれるでしょう。
提供元 | Tableau Software, LLC |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン |
※支払いは1年単位 |
機能・特徴 | データの接続と準備、インサイトの発見と展開、高速で的確なAIの活用、ガバナンスの行き届いたデータと分析、モダンデータアーキテクチャなど |
URL | 公式サイト |
Power BI
Microsoft Power BIは、あらゆるデータに接続可能で、毎日使用するアプリにシームレスに視覚化されたデータを組み込むためのBIツールです。
Excelのワークブック、ローカルデータベース、クラウドなどのあらゆる場所から、データを簡単にインポートして分析を行うことができるため、専門知識がなくてもすぐにツールを動かす準備が整うでしょう。使いやすいインターフェースや、無料のトレーニングリソース、アクセシビリティ機能の配列などが整っており、どんな技術レベルのユーザーでもツールを使いやすい設計が徹底されています。
提供元 | Microsoft Corporation |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン |
|
機能・特徴 | 高度なデータ分析ツール、AI機能、ユーザーフレンドリなレポート作成ツール、すべてのデータを連携利用、毎日使用するアプリへの分析情報取り込みなど |
URL | 公式サイト |
Domo
Domoは、データの価値を引き出し、ビジネスを最適化するために設計されたBIツールです。
データ統合機能に強みを持ち、クラウドに保存されたデータ、ローカルデータ、その他の自社サーバーなど、点在するあらゆるデータを統合し、すぐさま分析に活用できます。また、直感的なビジュアルでデータ加工を可能にするETLを搭載しているため、ITスキルを問わずにデータ結合や加工などの操作ができるでしょう。
提供元 | Domo, Inc. |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン |
|
機能・特徴 | BI・データ分析、データの接続、データ加工/統合(ETL)、AI、埋め込み分析、データドリブン、アプリ、管理とセキュリティ、ストレージ、共有など |
URL | 公式サイト |
Looker Studio
旧Google Data Studioとしても知られるLooker Studioは、優れた意思決定をサポートする無料のBIツールです。
初心者向けのわかりやすさを徹底しており、レポートエディタのプロパティには、自動整列されたキャンバスによるドラッグ&ドロップオブジェクト機能が搭載されています。また、600種類以上のパートナーコネクタを通じて、豊富なデータソースにアクセスできるほか、コーディングなしでほぼ全ての種類のデータを即座に接続できるでしょう。
提供元 | Google LLC |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン |
|
機能・特徴 | 容易に使用可能なウェブ インターフェース、レポート テンプレート、データコネクタ、Looker Studio API、レポートの埋め込みなど |
URL | 公式サイト |
Looker
LookerはGoogle傘下のスタートアップ企業が提供するBIツールであり、長年培ったAPI技術が活用された間口の広さが魅力です。
優れた埋め込み機能を持ち、完全なダッシュボードをさまざまなアプリケーションにシームレスに統合できます。強固なAPI カバレッジにより、APIを介してほぼ全ての作業をこなすことができるでしょう。また、わかりやすいグラフや数式の作成、データのモデリング、レポートの出力など、多くの機能が堅牢なセマンティックモデルとGemini基盤モデルの両方に支えられています。
提供元 | Google LLC |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン |
|
機能・特徴 | 組み込み分析、拡張機能、モデリングレイヤー、すぐに使えるビジュアル・リアルタイム・セルフサービス分析で洞察を実現、セルフサービス BIのためのAIを活用した分析など |
URL | 公式サイト |
BIツールの選定ポイント
BIツールはさまざまな特徴を持っているため、自社に合ったサービスを賢く選ぶことが重要です。選定時に必ずチェックしておくべきポイントを解説します。
提供形態で選ぶ
BIツールは、主にクラウド型とオンプレミス型の2つの提供形態があります。
クラウド型は初期費用が抑えられ、柔軟なスケーリングが可能です。一方で、オンプレミス型はデータの保管と管理を自社で行うため、仕組み次第でクラウド型よりもセキュリティを高く保つことができます。
コストを最小限に抑えたい中小企業にはクラウド型が適しており、自社で全てをコントロールしたい大企業には、オンプレミス型が向いているでしょう。
利用料金・提供されているプランで選ぶ
BIツールの選定において、提供プランごとの価格は重要な判断材料です。
多くのBIツールは、ユーザー数やサーバー数に応じてランニングコストが発生する仕組みですので、社の規模やニーズ、長期的な活用規模をよく見極めて、最適なものを選ぶようにしましょう。
もし、はじめての導入で勝手がわからない場合には、いつでもプランを切り替えられるクラウド型を選んでおくと安心です。また、導入前にサービス体系を開発元によく確認しておくことも大切です。
▷【無料】おすすめのBIツール10選比較|選ぶポイントや注意点・有料版との違い
自社にあった機能が搭載されているかで選ぶ
自社の業務内容や、業種特有のニーズを満たす機能が搭載されているかも重要です。
特殊な分析ツールやレポート機能が必要な場合には、それらが確実に備わっていることを事前に確かめておきましょう。多くの製品には無料体験期間が用意されているため、その期間中にできる限りのテストケースを検証することが大切です。
オンプレミス型の製品では、購入後の変更は、大きな手間と費用が発生します。事前に使用要件を定義しておくことを忘れないようにしましょう。
誰でも簡単に操作できるかで選ぶ
ITツールの取り扱いが苦手な従業員でも扱いやすいBIツールであれば、現場での活用がスムーズに進むでしょう。
データ分析は、長年にわたり専門知識が要求される分野であったため、分析能力を一般化するツールの使い勝手は業務効率化のカギを握っています。できるかぎり操作性の高い製品を選び、十分な習熟期間を設けたうえで導入を進めるようにしましょう。
近年のBIツールには、AI機能が搭載された製品が多いため、日常的な言語でもかなり高度な操作を行うことが可能になっています。以前と比べ、操作性の難易度を気にする必要がなくなっていることも、ある程度は頭に入れておきましょう。
必要なデータにアクセスできるかで選ぶ
分析したいデータソースと迅速に接続できるBIツールを選ぶことは、導入のスピードを左右する重大要素になります。
万が一、ツールに読み込めないデータ形式があると、膨大なデータ移行作業が必要となることがあります。そのため、社内の基幹システムやクラウドシステムのデータなど、さまざま形式のデータを一元的に扱えるBIツールが望ましいでしょう。
特殊なデータ形式を採用している場合には、無料体験期間などを利用してデータ接続性の検証を済ませておくと万全です。
導入・運用時のサポートの充実度で選ぶ
BIツールの導入・運用に不安がある場合は、サポートが充実した製品を選びましょう。
導入時はもちろん、操作レクチャーなどの個別サポートがあると、導入後の運用もスムーズに進みます。また、システムエラーなど、自社での解決が難しいトラブルが発生した際の対応についても、予め確認しておきましょう。
ベンダーの信頼度で選ぶ
BIツールは、多くの場合、導入後は長期に渡って運用するツールとなるはずです。そのため、安定したサービス供給ができるベンダーかどうか、も重要な選定ポイントとなるでしょう。
企業の規模や実績などから、信頼性を入念に確認しておくことをおすすめします。
BIツールは業務や導入目的にあったものを選ぼう
BIツールには多くの種類があり、それぞれに特徴が異なります。導入を検討する際には、自社の業務内容や目的に合わせて慎重に選定することが大切です。
クラウド型かオンプレミス型か、利用料金体系はどうか、必要な機能が搭載されているかなど、多角的な観点から比較検討しましょう。正しい知識でBIツールを導入できれば、企業が抱えるビッグデータは宝の山に変わる可能性があります。自社の実情に合わせて、最適なツールを選ぶための一助としてください。
BIツールの記事をもっと読む
-
ご相談・ご質問は下記ボタンのフォームからお問い合わせください。
お問い合わせはこちら