DX推進にRPAは欠かせない?違いや関係性・活用ポイントを解説!

近年様々な企業が注目しているDX推進。DX推進を成功させるためにもRPAの活用は欠かせません。本記事では、そんなDX推進に欠かせないRPAについて、DXとの意味の違いや活用ポイントなど詳しく解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。

監修者 福本大一 株式会社kubellパートナー アシスタント事業本部|ユニット長 大学卒業後、toC領域のWEBメディア事業で起業。事業グロースに向けたSEO戦略から営業・運用広告に従事し、約2年間の経営を経て事業譲渡。2021年3月からChatwork株式会社(現:株式会社kubell)に入社し、カスタマーマーケティングやアライアンスを経験した後、メディア事業・運用広告事業の責任者としてミッションを遂行する。現在は、DXソリューション推進部のマネージャーとして新規事業領域のセールス・マーケティング・アライアンス・メディア事業を統括。
目次
DX推進に欠かせないRPAとは?
ロボティック・プロセス・オートメーション(Robotic Process Automation::RPA)は、従来、人間が行うしかないと考えられていた作業や、パソコン上で繰り返し行っていた日々の操作や業務(ワークフロー)を、部分的あるいは完全に自動化するテクノロジーのひとつです。
近年、RPAはデジタル・トランスフォーメーション(Digital Transformation: DX)を推進するうえで欠かせないツールとなっており、RPAを上手く活用すれば、日々のワークフローのなかで行われているデータ入力や転記、定型的な取引の処理、カスタマーサービスでの簡単な問い合わせへの対応や、それらの記録といったタスクを自動化できるようになります。
DXとRPAの関係性
DXとRPAの関係性は、「目的」と「手段」という関係にあります。
ワークフロー全体のデジタル化という、DXの「目的」を実現するための具体的な「手段」のひとつに、RPAが存在するため、両者は密接な関係にあると言えるでしょう。
RPAによる作業の自動化はDXの実現に欠かせない必要なステップです。それは、単純作業を自動化することで、従業員はよりコア業務へと時間を割けるようになり、組織全体が、生産性向上の恩恵を受けられるようになるからです。
ただし、DXの本来の目的は、単に業務を効率化させるだけではなく、IT技術の活用によって新しい価値を見出し、ビジネスの優位性や企業の競争力を高めることにあります。そのため、RPAは、その段階の中での1ステップであり、RPAによってDXが完結するわけではないという点を理解しておく必要があるでしょう。
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DXとRPAの違い
DXとRPAは、どちらも組織の日常的な業務に変革をもたらすものです。
オフィス業務におけるDXは、業務のデジタル化を意味する言葉で、システムの導入により、一連のバックオフィス業務をオンラインで完結できるようにしたり、電子契約の導入などにより、ビジネスの方法そのものに変革を与えたりすることを意味します。DXとは、アナログなワークフローをデジタル化することに、その本質があるのです。
一方で、RPAは、主にパソコン上で行う単純作業の完全自動化や、人の介入が必要であると考えられていた業務の一部を自動化する技術です。一例を挙げると、顧客からの問い合わせをbotを活用して自動化したり、抽出データを取り込みして分析するといった、異なるシステムをまたぐ単純作業もRPAによって自動化することが可能です。
RPAは、DXにより業務効率の改善や業務改革を推進する中での具体的な技術のひとつと捉えることができるでしょう。
DX推進にRPAを活用するメリット
DXの実現に欠かせないRPAですが、実際に、RPAを活用するメリットには、どのようなものがあるでしょうか。ここでは、DX推進にRPAを活用するメリットについて詳しく説明していきます。
自動化による生産性の向上
RPAは、これまで人が行っていた反復的で時間のかかる作業を自動化できるため、従業員はより利益に直結するコア業務に集中することができます。その結果、組織全体の生産性向上にもつながるでしょう。
また、単純作業がなくなり、高度な判断を要する業務に集中できるようになった従業員は、ワーク・エンゲージメントが向上し、より意欲的に室の高い業務を遂行できるようになります。このような相乗効果も生産性へとつながるメリットといえます。
人材コストの削減
RPAの導入する場合、初期費用の他、利用や保守費用などのランニングコストが発生します。しかし、一度、自動化するプロセスを設定してしまえば、その作業にかかる人件費はかからず、自動化の範囲を広げていくことで、大幅な人件費の削減を実現することも可能です。
実際に、RPAの導入が進む金融業界では、業務の自動化により事務処理の時間を40万時間削減したといった事例もあります。そのため、導入や運営のコストの負担と導入によるコスト削減の効果を比較した場合、企業が得られる投資対効果は高いと考えることができるでしょう。
業務の品質向上
RPAは、ロボットによる作業のため、当然ながら人的なミスは発生しません。
人間であれば、疲労度や気分によってもパフォーマンスが左右されますが、RPAはルールに従って、長時間かつ、迅速で正確に作業を実行します。 そのため、ある意味人間よりも高い業務の質とパフォーマンスを確保することができるのです。
業務ミスの削減
ヒューマンエラーは、疲労の蓄積、集中力の低下、思い込みや勘違いなどを原因とする過失や、意図してプロセスを省略してしまうなどの故意の手抜きなどによって発生します。
その点RPAは、過失などのミスが発生しないほか、あらかじめ設定されたプロセスに従って忠実に作業を実行するため、ミスの発生を限りなく削減することが可能です。
したがって、RPAを導入すれば、日々のワークフローで生まれる業務ミスを削減し、常に一定の成果をあげることができます。
非エンジニアにおける利便性の高さ
RPAシステムの効果的な運用においては、まず自動化したい業務に精通していることが求められます。そのため、RPAの操作は、必ずしもシステムの知識があるエンジニアとは限りません。
このような使用上の特性からRPAには、シンプルかつ直感的に行える操作性の高さにこだわって開発されているシステムも多く存在します。
プログラミングなどの専門知識を必要とせずとも、自動化したいプロセスの設定などが行えるため、大きな負担を要することなく自動化が実現でき、かつ広範囲に渡って活用できるのです。
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DX推進でRPAを活用するためのプロセス
RPAには様々なメリットがありますが、RPAを導入しさえすれば、そのメリットを享受できるわけではありません。以下では、DX推進でRPAを活用するために考えるべきプロセスを説明していきます。
課題の現状把握
RPAを活用するためには、まず課題の現状把握から始める必要があります。課題が特定されていないにもかかわらず、RPAを導入しても十分な効果は得られません。
まずは、ワークフローの中で、定型的な業務にも関わらず大きな負担となっている業務はないかを洗い出していきましょう。
ワークフローを可視化するプロセスにおいては、把握していた課題以外の問題が顕在化するケースもあります。課題が見つかったら、その業務にRPAが適用できるのかどうか、自動化した場合は、どのような効果が得られるのかを考えていきます。
RPAの活用範囲の策定
基本的に、RPAによって自動化できる業務プロセスは、「設定されたプロセスを、設定された順番にそって処理する作業」に限られています。そのため、システムによる効率化を目指したい課題の中には、RPAの導入が適さない問題もあるでしょう。
また、範囲の策定は、目下の課題や現状の業務プロセスを自動化し業務を効率化する視点と、長期的な視点からの導入効果の最大化の両方の観点から判断する必要があります。
組織におけるDXの推進は、長丁場の改革となることも珍しくはありません。業務に精通した現場担当者の意見はもちろん重要ですが、それだけに頼らず、システムに精通した担当者を交えて、今後の技術的な可能性も考慮しながら検討するようにしてください。
必要な人材の強化
RPAは、非エンジニアやITリテラシーの高さなどによることなく、操作が可能なシステムです。
しかし、RPAの導入による効果を最大化させるのであれば、RPAや組織のDXに対する深い理解のある人材が必要となるでしょう。そのため、いわゆる「DX人材」の採用や、社内におけるDX人材育成の体制づくりも必要となります。
また、RPAを実際に扱うのは現場社員であることを忘れてはなりません。人材の育成や確保と同時に、使用する従業員へのデジタル教育も忘れずに実施しましょう。
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DX推進にRPAを活用する際のポイント
業務の効率化や作業のスピードアップの実現など、様々なメリットのあるRPAですが、当然ながら、実際に稼働させなければ、それらの効果を発揮することはできません。ここからはDX推進にRPAを活用する際のポイントを説明していきます。
小さなスコープで実施する
RPAの活用は小さなスコープ(適用範囲)で「小さく始めて、大きく育てる」ことが、DX推進にRPAを活用する際のポイントとなります。最初は、2~5つの工程で完了する特定の小さなワークフローを自動化し、検証するだけでも構いません。
たとえば、複雑なプロセスを必要とする作業の自動化から始めてしまうと、不慣れな分、設定に時間がかかってまったり、RPAが設定通りに正確に動作しているのかの検証にも時間を取られてしまったりすることになります。
そのため、まずは設定や検証が容易に行えるワークフローの自動化から取り掛かるようにし、段階的にRPAの導入を進めるようにしましょう。
費用対効果を考慮して選定する
RPAは、機能の違いにより利用料も異なるため、月額費用には数万円から数十万円と大きな幅があります。さらに、ただ高機能・高価格のシステムであれば、必ずしも高い費用対効果が得られるというものでもありません。
そのため、初めてRPAを導入するのであれば、低価格でシンプルな機能を持つサービスの利用から始め、RPAの運用に慣れる期間を設けるのも一つの手です。RPAを導入した業務プロセスの見直しと、実際に稼働させた結果の検証を行い、十分な費用対効果が得られることを確認してから、改めて選定し直すのです。
導入時の手間が増えてしまうことにはなりますが、長期的に見れば、失敗を回避し、最大限の効果が得られる方法といえるでしょう。
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DX推進にRPAを導入する際の注意点
DX推進にRPAを導入するにあたっては、特に注意すべき2つのポイントがあります。「システム管理者の確保」と「業務プロセス(ワークフロー)の整理」です。以下では、それぞれについて詳しく説明していきます。
システム管理者を確保しておく
DX推進にRPAを導入するにあたって注意すべきポイントの1つ目は、システム管理者を確保しておくことです。先にご説明したように、RPAは小さくはじめて、大きく成長させていかなければなりません。
RPAの操作自体はシンプルですが、組織の業務に広く、そして長期的にRPAのシステムを適用していくには、やはりプログラミングなどの専門知識をもつ人材が必要となるでしょう。
なぜなら、RPAは「現状の業務」の効率化のみに適用できるソリューションであり、システムの変更や基盤の変更があった際には「人」が柔軟に対応しなければならないからです。
システム変更などの変化が生じた際にも、業務が大きく滞ることのないよう、スムーズな対応ができる人材を確保しておくようにしてください。
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業務プロセスを整理しておく
DX推進にRPAを導入するにあたって注意すべきポイントの2つ目は、業務プロセス(ワークフロー)を整理しておくことです。RPAはあらかじめ決められたルールに基づく仕事の処理は得意ではあるものの、判断を伴う手順の変更が生じるような業務の自動化には向いていません。
そのため、RPAによる自動化ができるプロセスと、そうでないプロセスを明確に分けたワークフローを構築する必要があります。このようなワークフローの整理を通じて、より効果的なRPAの導入ができるようになります。
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DX推進にRPAを活用した成功事例
ここからは、実際に、DX推進にRPAを活用してワークフローの自動化に成功した事例を紹介していきましょう。
請求書発行業務の自動化
経理業務は、業種や業態を問わず発生するバックオフィス業務ですが、その中でも、「請求書の発行業務」は、RPAの自動化による効果が得やすい業務のひとつです。
定期的に請求書を発行している場合などは、RPAによる「請求書作成」と「取引先へのメールによる送信」などの一連業務の自動化が可能です。また、請求書発行業務の自動化およびオンライン化は、作業自体の軽減はもちろんのこと、印刷・封入の手間や郵送費用の削減といったメリットも得られます。
案件管理情報の入力を自動化
会社の商品への問い合わせから受注、取引先との商談から売上までの進捗状況を管理する案件管理は、注文から売上に至るまでのワークフローにおいて、ステップごとに上長の承認を得る必要があるなど、多くの人が関わることが多いため複雑となりがちです。
しかし、RPAを活用すれば、注文から売上に至るまでのワークフローを効率化することができます。たとえば、案件管理システムへの顧客情報の入力をRPAの活用によって自動化し、実際の発送作業だけを担当者が行うようにするだけで、担当者の大幅な負担軽減が実現します。その分担当者は、利益に直結する営業活動に、より注力できるようになるのです。
システムへの入力作業を効率化
業務内容によっては、一つのタスクを完結するために、複数のシステムを操作しなければならない場合があります。
たとえば、給与業務は、時給や基本給などの雇用情報、勤務時間を管理する勤怠情報から給与計算をし、さらに、経費精算などがあれば経費精算システムに登録された情報も参照しつつ、毎月の支払額を算出していることになります。そのため、各システム間の手作業による「転記」が発生するのです。
しかし、このような転記や入力作業は、単純作業であるため、RPAの導入により著しい効果が期待できるプロセスといえます。
最終的な確認作業は、人の目で行う必要がありますが、手作業から解放される点や、自動化することでミス自体が軽減することなどの効果は大きいと考えられます。
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DX推進におすすめのRPAツール3選
DXの推進を実現するRPAツールは多数ありますが、ここでは、RoboTANGO・WinActor・battonという3つのRPAツールを厳選して紹介していきます。
1.RoboTANGO
Robo TANGOは、初心者でも簡単に使いこなせるRPAツールです。
1つのライセンスを複数のPC端末で使える点は、コストの面で大きな魅力といえるでしょう。また、繁忙期のみライセンス数を増やすといった柔軟な活用もできます。
最低利用期間についても、1カ月から利用可能なため、RPAツールの導入をスモールスタートで始めたい中小企業にもおすすめできるRPAツールです。
提供元 | スターティアレイズ株式会社 |
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初期費用 | 初期費用 11万円(税込) |
料金プラン | 55,000円/月(税込)〜 ※最低契約期間は1か月 |
機能・特徴 |
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URL | 公式サイト |
2.WinActor
「WinActor」は、NTTグループで研究・利用され技術とノウハウが長年蓄積されてきた、国内シェアNo.1の実績あるRPAツールです(同社HPより)。
WinActorは、Windows上で操作可能なアプリケーション、個別の業務システムを利用した業務をシナリオ(ワークフロー)として学習し、ユーザのPC業務を自動化することで、業務効率の改善を促してくれます。
インプットデータを作るところから、システムへのデータ登録まで一連の業務を自動化してくれるなど、幅広いワークフローに適用可能な汎用性の高さが魅力です。
提供元 | 株式会社エヌ・ティ・ティ・データ |
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初期費用 |
※フローティングライセンスの場合はオープン価格 |
料金プラン | 要問い合わせ |
導入実績 | 全国3,500以上の企業が利用(2022年4月現在)。 |
機能・特徴 |
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URL | 公式サイト |
3.batton
「batton」は、専門知識がなくても簡単に活用できるRPAツールです。
複数のPCから同時ログインはできないものの、1ライセンス購入するだけで、それぞれのPCからRPAの作成・実行が可能となります。また、月単位での利用が可能な点は、まずはRPAを試してみたいという企業においても導入しやすいでしょう。
同業界・他業界で既に作られているマクロ(レシピ)を、自社の運用に活用できる点も大きな特徴です。
提供元 | 株式会社batton |
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料金プラン | 98,000円/月 |
機能・特徴 |
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URL | 公式サイト |
RPAを積極的に活用してDX推進を成功させよう
DXの本来の目的である、既存の事業やビジネスに変化を与え、新しい価値を生み出すには、限られた人的資源をより効果的に管理しなければなりません。
その意味において、RPAの活用は、DXの実現に必要不可欠な要素であると言えるでしょう。また、RPAの導入は、コア業務に集中できるというメリットから、社員の業務に対するモチベーションやエンゲージメントが向上するといった効果も期待できます。
RPAを積極的に活用し、組織全体を成長させるだけでなく、より優れたビジネスモデルの創出を実現させましょう。
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