人材育成で重要なマネジメントスキルとは?重要性や課題を解説
人材育成を成功させる上で欠かせないのが、マネジメントスキルです。しかし、具体的にどのようなスキルが必要なのかわからないという方も、多いでしょう。そこで本記事では、人材育成に必要なマネジメントスキルやその重要性について解説します。
目次
人材育成における課題とは?
人材育成では、多くの企業が次のような課題を抱えています。
マネジメント能力のある人材が不足している
人材育成には、コーチングスキルやコミュニケーションスキル、ロジカルシンキングスキル、目標管理スキルなどの多様なスキルが求められます。しかし、これらのスキルをバランスよく身につけている人材は、なかなかいないというのが現実です。業務で高い実績を上げている社員が、優れたマネジメントスキルを備えているとも限りません。
さらに、育成を任された社員が、自分の業務で手一杯になってしまい、育成にまで手が回らないこともあるでしょう。
マネジメントスキルのある人材が不足していることは、多くの企業に共通する課題です。
人材育成の目標が曖昧である
人材育成を行う上では、どのような力や技術を身につけてほしいかという、明確な目標設定が大切です。目標がないと、人材育成をする側も受ける側も、何を目指せば良いのかが分からなくなってしまいます。
この点も、人材育成がうまくいかない原因のひとつであり、課題ともいえます。
人材育成担当者の負担がかかる
人材育成担当者の多くは、通常業務を進めつつ人材育成も行っています。しかし、優先順位が高いのは、通常業務です。別の業務と並行して人材育成を行わなければならないことは、担当者にとっては大きな負担といえるでしょう。
ここにも、人材育成の課題があります。
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人材育成で重要な4つのマネジメントスキル
人材育成を成功させるためには、マネジメントスキルが欠かせません。人材育成で重要な4つのマネジメントスキルについて解説します。
1.コーチングスキル
コーチングとは、相手の自発的な行動を促すコミュニケーション手法です。相手の話に耳を傾けながら適切な質問や言葉をかけ、気づきを与えて主体的な行動を起こすように促します。
そのため、相手にアドバイスをしたり、教えたりといったことはしません。あくまでも、自らが考え、必要な行動を選択して進めるように働きかけます。
コーチングスキルがあれば、言われたことをやるだけではなく、自分で必要なことを判断し、行動する社員を育成できるでしょう。
2.コミュニケーションスキル
人材育成をする上では、コミュニケーションが必要不可欠です。教える側と教わる側で、情報共有や意思疎通ができないと、信頼関係が構築できません。これでは、人材育成も立ち行かなくなってしまいます。
コミュニケーションでは、自分の情報を適切に伝えると同時に、相手の話にも耳を傾ける姿勢が大切です。このような力がコミュニケーションスキルで、適切なコミュニケーションは、部下のモチベーション維持にもつながります。一方的にアドバイスや指導をするのではなく、教わる側の意見も積極的に聞くことを心がけましょう。
うまくいかないことがあっても叱責はせず、適切なアドバイスをすることが、人材育成のポイントです。
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3.ロジカルシンキングスキル
ロジカルシンキングとは、物事を原因と結果に分けて考え、そのつながりを論理的に分析して理解する思考法です。日本語では「論理的思考法」ともいわれています。
ロジカルシンキングスキルは、人材育成の過程で浮上した問題について、原因に立ち返り、適切な解決策を導き出すために役立つスキルです。アドバイスをする際も、論理的に説明ができるため、相手の理解を得られやすくなります。
4.目標管理スキル
目標管理スキルとは、自分だけでなく、部下や組織の目標達成に必要なスキルです。例えば、目標に向けた進捗状況やスケジュールなどを管理し、必要に応じた調整、周囲への支援要請をすることなどが挙げられます。
人材育成で目標を設定する際は、個人の目標が、組織やチームの目標とリンクするようにし、方向性をそろえることが大切です。
なお、目標管理は個々人でもすべきことですが、人材育成担当者にこの力があれば、「やらされている感を減らし、主体的に業務に取り組める社員が育成できるでしょう。
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人材育成マネジメントの手法
人材育成マネジメントには、さまざまな方法があります。その中から、実践で役立つ3つの手法を紹介します。
OJT
OJTは「On the Job Training」の略で、実際の業務を通じて、必要な知識やスキルを伝える教育手法です。主に、同じ部署の先輩社員が指導するトレーナー、後輩社員が指導されるトレーニーという立場で進めます。
OJTのメリットは、トレーニーだけではなく、トレーナーも成長できることです。通常業務を進めながら、目標管理能力やコミュニケーションスキルも磨けるため、人材育成担当者のマネジメントスキル向上が期待できます。
OFF-JT
OFF-JTは「Off The Job Training」の略で、外部講師を招いたセミナーや社内研修など、現場とは離れた環境で行われる指導や研修です。新入社員に社会人としての基礎的な知識を教えたり、仕事をする上での思考法や心構えを伝えたりすることを目的に行われます。
OFF-JTのメリットは、体系的に専門知識やノウハウを学べることです。各分野の専門家から集中的に指導を受けられるため、自身で整理しながら効率的に理解を深められます。
また、OFF-JTでは、業務に求められる最低ラインの知識やスキルを均一的に授けられるため、対象社員への平等な教育が可能です。
eラーニング
eラーニングとは、インターネットを利用した研修や学習の方法です。パソコンやスマートフォンなどのデバイスとインターネット環境さえあれば、時間や場所を問わずに利用できます。業務に必要な基礎知識から思考法まで、さまざまな研修で利用可能です。理解度をチェックする機能もあります。
スキマ時間など、受講者の都合の良いタイミングで受講できるので、効率的に研修を進められる点がメリットです。また、データで受講状況や進捗状況を確認できるため、マネジメントの負担も軽減できます。
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人材育成で大切なマネジメントの考え方
人材育成マネジメントでは、念頭に置いておくべき考え方がいくつかあります。
理想を押し付けようとしない
ひとつは、会社の理想を押し付けないことです。押し付けは社員のモチベーション低下につながり、かえって企業の理想像から遠ざかってしまいます。
そのため、会社の求める人材像を社員にも共有し、理解を得ることが大切です。その上で、社員一人ひとりの目標を決め、目標達成に向けた育成を行いましょう。
適切な人材配置を実現する
適切な人材配置とは、社員の適性やキャリアプランに応じて、チームや部署に配置することです。社員が最も活躍でき、意欲をもって業務に取り組める環境を整えていきましょう。
適切な人材配置が実現できると、社員の能力が生かせるため、業務の効率化や生産性向上にもつながるでしょう。
短期と長期の目標を設定する
目標を設定する場合は、短期と長期、2つの視点から設定することが大切です。
人材育成は、基本的に長期的な視点で行いますが、長期の目標は方向を見失いやすく、達成しにくいことが難点です。
その状況を回避するための短期目標ですが、じつは短期の目標は、社員のモチベーション維持にも効果的です。会社の目標やビジョンに応じた長期の目標を設定し、その達成に向けた短期の目標を設定するとよいでしょう。短期の目標を達成して成功体験を積み上げれば、長期の目標に向かって確実にステップアップできます。
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人材育成マネジメントを成功に導くポイント
人材育成マネジメントを成功させるポイントについても、確認しておきましょう。
VUCA時代に合った人材育成を行う
VUCA時代とは、Volatility(変動性)・Uncertainty(不確実性)・Complexity(複雑性)・Ambiguity(曖昧性)の頭文字をとった言葉です。環境が変化しやすく、未来が予測しにくい現代を表しています。
このようなVUCA時代で大切なことは、社員一人ひとりが自ら考え、状況に応じた柔軟な対応をすることです。育成担当者は、過去の経験から得た知識やノウハウを伝えつつ、社員自身で考えられるように、接していきましょう。自立した人材が育てば、環境の変化に左右されることはありません。
適切で公平な評価を行う
人材育成マネジメントの成功には、適切で公平な評価も大切です。明確な評価基準を定め、社員が納得できる評価をすれば、社員のモチベーションアップにつながります。
社員のモチベーションが向上すれば、業務に対する姿勢や成長意欲も高まるでしょう。結果的に業務への貢献度が上がり、組織全体の業務効率化や生産性向上に期待できます。
社員の情報を社内で共有する
人材育成マネジメントを行う際は、社員一人ひとりの経歴や保有スキル、担当業務などをデータベース化し、社内で情報共有することも心がけましょう。
社員の情報を共有できれば、具体的にどのような育成すればよいかが、明確になります。また、社員の状況に応じた対応ができるため、効率的に人材育成が進められるでしょう。
情報の共有は、適切な人材配置にも役立つため、社員が成長しやすい環境を整えることも可能です。
人材育成で大切なマネジメントスキルを押さえておこう
適切な人材育成を行うためには、さまざまなマネジメントスキルが必要です。これらのスキルを理解し身につければ、部下は確実に成長してくれます。
なお人材育成では、スキルだけではなく、その考え方や手法も重要です。適切な人材育成マネジメントにより、会社の求める人材を育てていきましょう。
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