ペーパーレス化の推進でよくある課題は?対策方法や役立つツールを解説
働き方改革やテレワークの導入で進むペーパーレス化。国でもペーパーレス化を推進していますが、企業がペーパーレス化を導入するにあたっては、さまざまな課題が生じます。本記事では、ペーパーレス化の課題や対策方法、そして役立つツールについて解説しています。
目次
ペーパーレス化とは
日常的に耳にするようになった「ペーパーレス化」は、紙を使用しないことを目的とした取り組みですが、実は1970年頃から未来のオフィス像として描かれていました。
2019年4月に施行された「働き方改革」の具体策にも含まれているペーパーレス化の推進には、国も力を入れています。紙媒体で利用していた資料や契約書などをデジタル化し、保存・活用を行うことでペーパーレス化の実現が可能です。
テレワークの導入も急速に進む中で、ペーパーレス化の必要性も高まる一方で、ペーパーレス化にはさまざまな課題もあるため、対策を講じる必要があります。
ペーパーレス化の重要性
働き方改革や、新型コロナウイルス感染症の影響でテレワークの導入が加速する昨今。それに伴って、ペーパーレス化に取り組む企業も増えつつあります。ペーパーレス化が実現されると、業務の効率化やコストの削減など、多くのメリットが期待できます。
さらに、地球規模で森林伐採などの問題が深刻になる中、環境に優しいペーパーレス化は、SDGsの取り組みにも繋がります。ここからは、ペーパーレス化の課題や対策にも触れながら、話を進めていきましょう。
ペーパーレス化の際によくある課題
業務の効率化やコストの削減など多くのメリットがあるペーパーレス化ですが、実現のためにはさまざまな課題もあります。特に、ペーパーレス化に移行した際に生じやすい課題が下記の5つです。
- 一次的な業務効率の低下
- 視認性の低下
- ITリテラシーが必要
- ネットやツールの障害
- 直感的なアクションが困難
それぞれの課題について詳しく解説をしていきますので、ペーパーレス化の導入を検討する際は参考にしてください。
一次的な業務効率の低下
ペーパーレス化の導入にあたっては、まず紙の書類などをデジタル化するためのデジタルツールが必要です。しかし、従業員によってITリテラシーが異なるため、誰もがすぐにこのようなツールを使いこなせるわけではありません。
導入したツールの操作方法を従業員が理解するまで、一次的に業務の効率が低下する可能性があります。このような事態を回避するためにも、ペーパーレス化を行う際は、徐々に取り入れ、併せて働く人のITリテラシーの向上も図りましょう。
視認性の低下
これまでは多くの企業が、資料や契約書を紙媒体で取り扱っていました。従って、ペーパーレス化の導入当初は、モニターで閲覧するよりも紙媒体の方が確認しやすいと感じるかもしれませんが、慣れることで視認性の低下は感じにくくなってくるでしょう。
文書データなどが表示されるディスプレイに慣れないうちは、あらかじめ資料に目を通しておくなど準備をし、業務への支障を回避しましょう。
ITリテラシーが必要
ペーパーレス化を実現するためにデジタルツールを導入したものの、利用する人が使いこなせなければ意味がありません。
ところが従業員によって、デジタル技術の知識を意味するITリテラシーが異なります。このITリテラシーが低い状態でペーパーレス化を導入しても、かえって業務の効率を低下させてしまいかねません。
しかしこのITリテラシーは、研修などを行うことで習得が可能です。ペーパーレス化を実施する前に、働く人のITリテラシーを高めておきましょう。
ネットやツールの障害
デジタルツールの活用によって、紙媒体の資料や契約書などをデジタル化して保管・活用できるようになりましたが、システムの故障やトラブルがあると、一時的にツールの利用ができなくなる可能性は否めません。
また、災害時や急な電波障害などが起きた際にも業務が滞る可能性があります。あらかじめ、災害や電波障害が起きた時の対策を講じておくとよいでしょう。
直感的なアクションが困難
ペーパーレス化をすると、紙媒体とは異なり、直接文書データにメモ書きができないため、扱いづらいと感じることがあるかもしれません。
この対策として、デジタル資料に直接書き込むことができるツールや、ペン付きタブレットを用意すると利便性が高まります。
ペーパーレス化が抱える課題への対策方法
ペーパーレス化の実現のためには課題も生じますが、これらを解決する対策として、下記の6つが有効です。
- 目的やメリットを社内へ伝達する
- 取引先との連携を行う
- 作業環境を見直す
- ITリテラシー向上のために研修や勉強会を行う
- 積極的にツールを導入する
- まずはスモールスタートで始める
ここではそれぞれの課題への対策方法について解説しますので、ペーパーレス化の推進を考えている人は参考にしてください。
目的やメリットを社内へ伝達する
まずはペーパーレス化を行う目的を社内全体に伝えましょう。ペーパーレス化を行うことによって具体的にどのようなメリットが得られるのか、そして導入するツールの説明などを行うことで、働く人の理解を得ましょう。
紙媒体とは扱いが大きく変わるペーパーレス化への移行に関しては、従業員一人ひとりの業務への向き合い方が重要になってきます。ペーパーレス化に移行する前に、この目的やメリットなどを社内で共有することで、働く人の意識を高めておくことが大切です。
取引先との連携を行う
ペーパーレス化を行う際に、取引先と交わす契約書などもデジタル化できると理想です。従って、取引先との連携も必要になってきます。
契約書をデジタル化する場合は、お互いに電子署名ツールや電子契約システムの導入が必要です。ツールによってはインターネット上で契約が締結ができるものもありますし、取引先に同じツールを導入してもらうことで応対が可能となるケースもあります。
ペーパーレス化を行う際は、取引先にも事情を説明し、連携のお願いをしましょう。ただし、先方がペーパーレス化を行っていない場合は、臨機応変に対応することも必要です。
作業環境を見直す
デジタルツールを導入する際は、使用する機器やネット環境を確認し、ツールに対応したものであるかチェックしておきましょう。トラブルが起きた時のために、導入するツールのサポート体制も、あらかじめ知っておくと安心です。
ITリテラシー向上のために研修や勉強会を行う
ペーパーレス化の実現のためには、導入したツールを使いこなす必要があります。従って、従業員全体のITリテラシーの向上のために、研修などの機会を設けましょう。
研修や勉強会などを行う中で、従業員にデジタルツールを使う理由やメリット・重要性を伝え、働く人のペーパーレス化への意識を高められるよう努めましょう。
近年ではITリテラシーを高めるため、法人に向けた研修も実施されているので、ペーパーレス化を実施する際は、このような研修を利用してもよいでしょう。
積極的にツールを導入する
ペーパーレス化をサポートしてくれるのが、さまざまな種類のビジネスツールです。情報共有ツールは、紙で配布していた資料を電子データで送付でき、リアルタイムなやり取りも可能です。
インターネット上で文書データなどを保管できるストレージサービスも、ペーパーレス化で役立つツールの一つです。検索機能が付いているのでスピーディーに文書検索ができ、紙の資料を探すよりも業務の効率化が期待できます。
ペーパーレス化を実施する際は、複数のツールを併用し、さらにその効果を高めましょう。
まずはスモールスタートで始める
これからペーパーレス化を実施していくと意気込み、社内全体で一斉に始める企業も多いでしょう。しかし、いきなり社内の全ての仕事をペーパーレス化すると、不慣れな状態で業務を行うことになりかねません
ペーパーレス化の実施が業務に影響を与えないためにも、まずは一つの部署や一部の業務のみペーパーレス化するといったように、スモールスタートで始めると安心です。
ペーパーレス導入に役立つ6種類のツール
下記の6つはペーパーレス化の実現に役立つおすすめのデジタルツールです。
- 情報共有ツール
- マニュアル作成ツール
- Web会議ツール
- 電子署名ツール
- ストレージサービス
- 勤怠管理ツール
ここではそれぞれのツールの役割・特徴について解説をしていますので、ペーパーレス化の参考にしてください。
1.情報共有ツール
情報共有ツールは、文書データなどの共有事項を簡単に伝達でき、紙媒体の資料を必要としません。また、リアルタイムにやり取りができるため、円滑なコミュニケーション手段としても注目度の高いツールです。
離れた場所でも「報連相」の確認ができ、メールよりも文書やコミュニケーションのやり取りが容易な情報共有ツールは、ペーパーレス化されつつある今の時代、なくてはならないビジネスツールの一つでしょう。
2.マニュアル作成ツール
マニュアルをデータ化してくれる便利なツールで、マニュアル作成を紙媒体で行う必要がありません。マニュアル作成ツールにはクラウド型のものが多く、インターネット環境が整備されていれば、場所や時間を問わずにデータを確認することができます。
紙と違って資料を持ち運ぶ必要がないため、紛失のリスクがなく安全な点も、このツールを使う利点の一つといえるでしょう。
3.Web会議ツール
Web会議ツールは、ビデオ通話機能を活用してオンライン上で会議・ミーティングを行うことができるデジタルツールです。このツールを利用すると、会議で配布する資料を紙で作成する必要がなく、資料の修正もオンライン上でリアルタイムに行えます。
Web会議ツールには、配布されたデジタル資料に直接メモ書きができたり、契約の締結ができるものもあり、幅広いシーンで活躍してくれるツールといえるでしょう。
4.電子署名ツール
ペーパーレス化の際に問題となるのが捺印です。電子署名ツールは、いつでもどこでも署名・捺印ができ、業務の流れを早めることを可能とします。
電子署名ツールは、プロジェクトや稟議書の進捗具合を早めたいと考えているときにもおすすめのツールです。
5.ストレージサービス
インターネット上でデータや書類を保管できるストレージサービスは、ペーパーレス化の実施の際に導入したいツールの一つです。
ストレージサービスは文書などのデータをオンライン上で保存できるため、インターネット接続ができる環境であれば、どこにいても利用ができる利便性の高いツールです。社内にサーバーを置かない仕組みなので、災害時の対策としても有効です。
6.勤怠管理ツール
勤怠管理を行うために、タイムカードを活用している企業が多いでしょうが、勤怠管理ツールを導入することで、誰がどの時間帯にどれだけ働いたかといった情報をペーパーレスで管理することが可能です。
働く人はスマートフォンやアプリを利用して、出退勤を報告することができます。
ペーパーレス化の推進は課題に対する適切な対策が必要
紙媒体からデジタル媒体へと移行するペーパーレス化。この導入にあたっては、何かしらの対策や準備が必要でしょうが、ペーパーレス化を実施することで、業務の効率化やコストの削減など多くのメリットを得ることができます。
また、ペーパーレス化は昨今、企業に求められているSDGs対策の一環にもなります。この記事でご紹介した対策やツールを参考に、ぜひペーパーレス化の実現を目指しましょう。
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