経理部門でプログラミングを勉強するメリット|勉強方法や理解すべきプログラミング言語
プログラミングは特有の言語を用いてパソコンに直接処理させることをいい、その専門性から今や需要の高いスキルです。あたかも難しいイメージのあるプログラミングやその言語ですが、経理部門においてプログラミングの知識は必要なのでしょうか。本記事では経理部門にプログラミングが必要な理由とおすすめの言語、勉強の担当者へのメリット・デメリットを解説。プログラミング言語学習を継続するコツも紹介します。
目次
経理部門にプログラミングの知識が必要な理由
近年経理とプログラミングの親和性が注目されています。経理業務のどういう面でプログラミングが役立つのでしょうか。ここでは経理部門においてプログラミングの知識が必要な理由を2つ紹介します。
プログラミングによって経理業務を自動化できるため
経理にプログラミングを活用することで、多くの経理業務を自動化できる可能性があります。
経理業務は日次・月次・年次に分けられ、その内容は多岐にわたりますが、定型的な作業の連続である業務も実は多いのです。そういった定型業務は自動化と非常に親和性が高く、検討の余地は十分にあります。
プログラミングの知識があると、身近にあるExcelやGoogleアプリを使って定型業務の自動化を自前で進められるのです。それにより、人為的なミスが軽減され、作業時間や工数の短縮が図れるでしょう。
AIツールやRPAを導入する際に役立つため
定型業務の自動化において現段階で有効なツールに、AIを用いたツールやRPAがあげられます。
AI(artificial intelligence)とは、大量のデータを用いて、人間が感じる知覚や知的行為を人工的に再現するものと定義されています。経理部門におけるAIツールとしては、会計ソフトやAI-OCRが代表的です。
一方RPAとは「Robotic Process Automation」の略称で、パソコンに内蔵したソフトウェアロボットが定型作業を学習し、代行できる自動化技術のことです。業務の流れを明確に描けるものであれば、その作業はRPAで代替できると言われています。
プログラミング言語の知識があれば、AIツールやRPAの導入にあたってベンダーと意見を交換することも可能になります。今後自社へのAIやRPAの導入を検討する場面で、自社にとってより最適なサービスを選定できるでしょう。
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経理部門で活用しやすいプログラミング言語
経理部門の現場で活用しやすいプログラミング言語を3つ紹介します。
Python
「Python(パイソン)」とは、Web開発やデータ分析など幅広い分野で活用されているプログラミング言語です。
経理業務ではCSVデータの加工や社内向けの定形メール送信の自動化などに活用できる可能性があります。
簡潔なコードで動作する手軽さにくわえて、高い汎用性も相まって人気の高いプログラミング言語です。身近な例では、「YouTube」や「Instagram」もPythonをベースに開発されています。
VBA(Visual Basic for Applications)
「VBA(ブイビーエー)」とは、マイクロソフト社が提供しているWordやExcelをはじめとするMicrosoft officeソフト上で使用できるプログラミング言語です。
VBAが経理部門で活用しやすいのはExcelでの作業。経理部門とExcelには切っても切れない関係がありますが、内容によってはExcelで行ってきた煩雑な手作業をボタン1つで完了させることも可能です。業務を自動化・標準化できるので、人為的ミスの軽減にもつながります。
独学するための情報が多い言語といわれている反面、VBAが使えても自分のExcelスキル以上のことはできない点には注意が必要です。
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GAS(Google Apps Script)
「GAS(ガス)」とは、Googleが自身のサービスを連携したり自動化するために提供している、JavaScriptをベースにしたプログラミング言語です。具体的には以下のようなサービスに用いられています。
- Gmail
- Googleスプレッドシート
- Googleドキュメント
- Googleフォーム
- Googleドライブ
これらのサービスはオンライン上でデータを共有し、1つのデータを複数人かつリアルタイムで編集できるのが大きな特徴です。セキュリティの観点からWordやExcelを採用している会社もありますが、GoogleスプレッドシートやGoogleドキュメントは今後さらに普及すると考えられています。
日常業務にGoogleのサービスを多用している場合におすすめの言語といえるでしょう。
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経理で役立つプログラミング言語の勉強方法
プログラミング言語の具体的な勉強方法を3つ解説します。
書籍やWebサイトなどで独学する
プログラミング言語は、書籍やWebサイトで多くの情報を得られるため、それらをもとに独学できます。
ただし、プログラミング言語は知識として理解するだけでは上達しないため、実際に手を動かしてコードを書いてみることが重要です。
また、独学は挫折しやすいのも特徴なので、継続的に学べる工夫が必要な点には注意が必要です。
プログラミングスクールを活用する
プログラミング言語は、プログラミングスクールを活用して学ぶ方法もあります。
現役のプログラマーや有識者から直接指導してもらえるサービスが多く、継続しやすく実力もつきやすい学習方法といわれています。
ただし、プログラミングスクールには数十万円の費用がかかるため、ほかの学習方法に比べて金銭的な負担が大きくなるのが難点です。
講師やメンターのもとでしっかりプログラミングを身につけたい、今後のキャリアに活かしたいという方は情報収集して、内容・金銭面共に満足のいくスクールを探してみるとよいでしょう。
▷経理に求められるパソコンスキル|スキルアップのコツやおすすめの資格
オンライン学習サービスに参加する
オンライン学習サービスに参加してプログラミング言語を学ぶのもひとつの方法です。無料で開催されているものも多く、有料の場合でもあまり費用をかけずに学習できるのがメリットです。
ただし、有料のオンラインスクールとは異なり専属の講師がいるわけではないため、問題が発生しても自分自身で解決しなければならないデメリットもあります。
費用をかけずに自分のペースで学びたい人や、独学に不慣れな人は一度受講してみるのも良いでしょう。
▷経理が取得すべきおすすめの資格一覧!資格の必要性や取得難易度を解説
経理担当者がプログラミング言語を勉強するメリット
経理担当者がプログラミング言語を勉強することで得られるメリットを3つ紹介します。
将来経理担当者として生き残るためのスキルアップになる
今後必要とされる経理担当者として生き残るためには、スキルアップが必要です。特にIT分野に強くなると社内でも重宝される傾向があります。
プログラミング言語を身につけ、積極的に自動化やツール導入などに関われる人材になることは、今後生き残るためのスキルアップにつながるでしょう。
経理職以外にも活動の幅を広げられる
定型業務の自動化やツール導入に役立つプログラミングの知識やスキルは、経理業務だけでなく、総務や労務など関連するバックオフィス業務の効率化にも応用可能です。経理担当者の枠に限定されずに活躍の場を広げられます。
また、プログラマーは国をあげて推奨しているDXにおいて求められる人材です。プログラミングの知識をよりブラッシュアップすることで、ITによる業務改善のプロフェッショナルとして活躍するという道筋も立てられます。
独立や副業などさまざまな働き方を実現できる
プログラミングを習得し、社内での成果を上げられると、転職や独立まで将来のキャリアプランを広げられるでしょう。または、副業に役立てて年収アップに活用もできます。
プログラミングを活用した仕事は、多様な働き方ができる分野です。たとえキャリアの途中で家族や自分に問題が発生しても、仕事に困ることは少ないでしょう。実際にリモートワークで完結しているIT職種の人は多く、自宅やカフェなどで仕事をしている人も大勢います。
一般的に「経理・会計」「プログラミング」「英語」はビジネスの3種の神器ともいわれています。将来を見据えてどんな状況でも働けるスキルを持っておくことは、今後の人生において自信につながるでしょう。
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プログラミング言語を勉強する際のデメリット
経理がプログラミング言語を身につけるうえでのデメリットを2つ解説します。
習得するまでコストがかかる
プログラミングを効率よく習得するには、金銭的なコストがかかるのが一般的です。
独学で完結する場合は0円〜書籍代程度ですが、学習効率が良いとは言い切れないうえ、挫折しやすいデメリットもあります。一方、プログラミングスクールを利用する場合は、少なくとも数十万円程度の費用がかかるのが一般的です。
専門的なため習得までに時間がかかる
プログラミング言語の習得には、最低でも200時間以上の学習が必要といわれています。独学の場合は、基礎学習からはじまり手探りで学習していくことになるため、さらに時間がかかるでしょう。
プログラミング言語を学習するメリットは大きいものの、金銭的・時間的な負担が発生することはあらかじめ理解しておく必要があります。
▷経理業務を効率化する方法とは?経理業務の課題や事例・効率化させるステップ
プログラミング言語を継続して学習するコツ
プログラミング言語の学習には挫折や行き詰まりを感じる人が多いというデータがあります。プログラミング言語を身につけるには、挫折せずに学習を継続することが最重要なのです。ここでは学習を継続できるコツを見ていきましょう。
勉強する目的を明確に掲げる
プログラミングの勉強を継続して続けるためにも勉強するための目的を明確に定めましょう。目的が不明確であると、モチベーションを保つことができず効率的な学習は望めません。
勉強する目的を定める際にはなるべく具体的にするのが大切です。目的を具体性を持たせることで日々やるべきことがイメージしやすく、モチベーションも高ま理ます。合わせて、どのような知識をいつまでに身につけるのか、目標日数も掲げておきましょう。
疑問点を相談できるメンターを見つける
プログラミングは非常に専門性の高い領域であるため、どうしても解決できない疑問を抱えてしまうケースがあります。
そのため、疑問を相談できるメンターを見つけておくことが大切です。自分一人で考えるよりも疑問を早く解決できるのはもちろん、勉強の進め方についてもアドバイスをもらえます。
なお、メンターを依頼するのは現役のエンジニアが適任です。社内のIT部門の同僚や知人に該当者がいれば、お願いしてみるのも良いでしょう。
中間目標と期限を決める
未就学者では習得に最低でも200時間、最長で400時間はかかるといわれているプログラミング言語の勉強には、目的のみならず、中間目標と期限を設けておくことが大切です。
短期的なスパンで目標を定めておくことにより、都度達成感を味わえるので勉強に対するモチベーションを保つことができます
なお、漠然とした中間目標と期限を定めても意味がないので、いつまでに何をできるようになるべきなのか、具体性のあるものを設定しましょう。
▷経理・労務・総務の違いとは?役割や仕事内容・必要なスキルを解説
プログラミング言語を学び経理業務に役立てよう
経理部門でプログラミングの知識があれば、自前で効率的な仕組みを作ることができ、ツールの導入においてもより自社に合った効率化の手段・ツールを選定できるでしょう。
一担当者としても現職で生き残っていくスキルアップや、将来のキャリアプランを考えるうえで、プログラミング言語は働き方の幅を広げてくれる有用なスキルとなります。
習得に時間もかかり、挫折しがちなプログラミング言語の習得ですが、コツをおさえてぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
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