RPA導入でもらえる3種類の補助金!申請方法やスケジュールを解説
業務を効率化するために用いられるRPAですが、導入にあらゆる費用がかかります。安価なシステムではありません。本記事では、RPA導入でもらえる3種類の補助金を紹介します。申請方法やスケジュールを合わせて解説するので、導入時の参考にしてください。
目次
RPA導入時に補助金の申請が可能
労働者人口の減少が問題視されている現在、資金力がある大企業を中心に中小企業でもRPA導入が普及しつつあります。
業務を自動化し生産性向上を図るRPAですが、導入時には多くのコストがかかることから、IT投資が厳しい企業にはなかなか手が出せないことも少なくありません。
しかし、RPAを導入する際には補助金が申請でき、IT投資に割く資金が少なくても補助金の申請によってRPA導入時の負担を軽減することにつながるでしょう。
RPA導入時に申請できる補助金は3種類
RPA導入時に申請できる補助金は下記の3種類です。
- IT導入補助金
- ものづくり補助金
- 小規模事業者持続化補助金
資金力に余裕がなく、IT投資が厳しい企業に対して国は、中小企業支援として上記の補助金を用意しています。それぞれ特徴や申請方法、スケジュールが異なるので事前に確認しておくことが大切です。
▷RPAは使えない?役に立たない?導入での問題点や失敗してしまう理由
IT導入補助金
RPAを導入する際に活用できる補助金で、最初に検討したいのがIT導入補助金です。
IT導入補助金は、IT導入支援事業者が提供しているツールを導入する際に受けられる補助金です。中小企業を対象とした補助金ですが、すべての中小企業が対象となるわけではないので、資本金や従業員数などを確認したうえで利用しましょう。
申請区分は、通常枠(A・B類型)とセキュリティ対策推進枠、デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型・複数社連携IT導入類型)の3つがあり、それぞれ補助額や補助率、補助対象が異なります。
IT導入補助金の申請方法
IT導入補助金の申請方法としては、補助金を実際に受け取る企業と、RPAを提供するITベンダー・サービス事業者の双方が申請する必要があります。具体的にはオンラインで下記の申請方法の手順をとります。
- ITベンダー・サービス事業者と事業計画を定める
- ITベンダー・サービス事業者から招待される申請マイページから「gBizIDプライムアカウント」を取得
- gBizIDを取得後、ITベンダー・サービス事業者側が必要事項を入力して、事務局に提出
ITベンダー・サービス事業者と契約するのは、この申請方法の完了後、事務局から交付決定の連絡がきたあとになるので、注意しましょう。
IT導入補助金のスケジュール
IT導入補助金の申請期限は下記のとおりです。
◆通常枠(A・B類型)の申請期限
・1次締切分:2023年4月25日(火)17:00まで(予定)
・2次締切分:2023年6月2日(金)17:00まで(予定)
◆セキュリティ対策推進枠の申請期限
・1次締切分:2023年4月25日(火)17:00まで(予定)
・2次締切分:2023年6月2日(金)17:00まで(予定)
◆デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)の申請期限
・1次締切分:2023年4月25日(火)17:00まで(予定)
・2次締切分:2023年5月16日(火)17:00まで(予定)
・3次締切分:2023年6月2日(金)17:00まで(予定)
◆デジタル化基盤導入枠(複数社連携IT導入類型)の申請期限
・1次締切分:2023年5月31日(水)17:00まで(予定)
なお、上記のスケジュールは予定であると公式HPに記載してあるため、くわしいスケジュールは下記を確認しましょう。
ものづくり補助金
ものづくり補助金は、中小企業や小規模事業者が利用できる補助金です。働き方改革などによる企業への影響を緩和するために中小企業庁及び独立行政法人中小企業基盤整備機構が提供しています。
ものづくり補助金の正式名称は、「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」であり、工場の設備投資が主な利用目的となる補助金ですが、生産性向上を促すRPA導入も対象となります。
ものづくり補助金には一般型とグローバル展開型の2つがあり、補助額や補助率、補助対象が異なります。
ものづくり補助金の申請方法
ものづくり補助金の申請は「電子申請システム」でのみ受け付けており、利用時にはgBizIDプライムアカウントが必要です。
事業計画書を提出後、交付申請説明会に参加して、相談をしてから交付申請をおこないます。交付申請から交付決定までの期間は、申請内容によるものの、基本的には約1か月ほどかかります。
ものづくり補助金のスケジュール
ものづくり補助金のスケジュールは、下記の通りになります。
◆15次締切
・公募開始日:令和5年4月19日(水)17時
・申請開始日:令和5年5月12日(金)17時
・申請締切日:令和5年7月28日(金) 17時
公募は通年しており、令和5年度は15次公募までおこなう予定ですが、その後の公募については未定と公式HPには記載してあります。
詳しいスケジュールは下記をご覧ください。
参照:スケジュール|ものづくり補助事業公式ホームページ ものづくり補助金総合サイト
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、その名の通り小規模事業者が申請できる補助金です。全国商工会連合会が提供しており、商工会のアドバイスをもとに経営計画を作成し、事業をおこなう際に小規模事業者持続化補助金を受け取れるといった仕組みになります。
小規模事業者持続化補助金は、従業員数が5名以下(業種によっては20名以下)の小規模事業者を対象とした補助金です。
「通常枠」と「特別枠」の2つあり、補助上限額は50万円ですが特定の条件を満たすと100万円まで補助を受けられます。
複数の事業者同士で共同事業をおこなう場合には上限額が200〜2,000万円となります。
小規模事業者持続化補助金の申請方法
小規模事業者持続化補助金を申請する際は、申請書・取組計画書・誓約書の原本を日本商工会議所 小規模事業者持続化補助金事務局へ提出します。この申請をしたあとに、追加で資料や説明を求められる場合もあるので、事前準備をしておくとスムーズに対応できるでしょう。
また、基本的に申請は郵送でおこないますが、単独申請の場合には電子申請も可能です。
小規模事業者持続化補助金のスケジュール
小規模事業者持続化補助金のスケジュールは下記のとおりです。
・公募要領公開:2023年3月3日(金)
・申請受付開始:2023年3月10日(金)
・申請受付締切:第12回 2023年6月1日(木)、第13回 2023年9月7日(木)
詳しいスケジュールは下記をご覧ください
補助金を申請する前に気を付けたいポイント
ここでは、補助金を申請する前に気を付けたいポイントを3つ紹介します。ただ補助金が受けられるからといって、自社の目的などが不明瞭のままRPAを導入してしまうと、望んだ効果が得られないといった事態になりかねません。そのため、補助金を申請する前には、これから説明する内容を把握し、対応していきましょう。
導入目的を明確にする
RPAを導入する際は目的を明確化することが大切です。補助金によってRPA導入の負担を軽減できるとはいえ、目的が定まっていないと、RPAの必要性を感じずそのまま使わなくなってしまう可能性も考えられるでしょう。
そのため、どの業務を自動化したいのか、どんな効果を期待するのかを洗い出したうえでRPAの導入を検討しましょう。
▷RPAとは?意味や導入する手順・メリットをわかりやすく解説!
運用体制を整える
RPA導入後の運用体制も事前に考えておくべきポイントです。
補助金を受けられても、導入後の運用がうまくいかなければ、結果として導入自体が無駄になってしまうといった事態にもなりかねません。このようなトラブルを防ぐためにも、RPAの導入前には、メンテナンスや効果測定は今後どうおこなっていくのかなど、中長期で運用できるような体制を整えておきましょう。
また、RPAを業務で使用する従業員に対して、使い方の講習会などを実施し、スムーズに使えるようにレクチャーすることも忘れてはいけません。このように、RPA導入がゴール地点になってしまわないよう、運用体制を整えることが重要です。
▷RPAの運用ルールはどう決めるべき?運用方法と失敗しないポイント
最新の申請スケジュールを把握する
RPAを導入する際には、補助金によって申請スケジュールが異なるため、期限切れにならないようしっかりと把握しておくことも大切です。
補助金は予算枠の上限に達すると急遽募集を打ち切る場合もあります。
そのため、申請スケジュールを把握したうえで、早めに申し込むと余裕を持って補助金を受けられるでしょう。
RPAを導入する8つの手順
ここでは、RPAを導入する8つの手順を解説します。
- 業務内容を見直す
- 導入対象を決める
- 導入ツールを決める
- トライアル版を導入する
- 特定の業務に導入する
- 検証や改善を行う
- 本格的に導入する
- 効果を検証しながら運用する
順に見ていきましょう。
1.業務内容を見直す
まずは、既存の業務内容を見直し、どの部分にRPAを導入すれば作業効率が上がるのか、作業時間の削減ができるのかを考えましょう。
この業務の見える化によって、業務プロセス全体を確認すると、RPAを導入しなくても良い業務も把握できます。
2. 導入対象を決める
RPAは同じ動作を繰り返す業務を自動化するのに適したツールです。
そのため、データの抽出や登録など、人的ミスが出やすい業務に導入すると高い効果を発揮できるでしょう。
導入対象を決める際には、業務の規模からRPA導入の費用対効果を考え、どの業務を自動化すべきかを検討するのが大切です。
▷RPAできることとは?具体例やできないこと・適した業務を解説!
3. 導入するツールを決める
RPAの種類は多いため、どのツールを導入すべきか決める必要があります。
機能性や操作性・対応言語・既存システムとの相性・サポート体制・導入コストなどを考慮したうえで、自社に合ったRPAを選びましょう。
使いにくいRPAツールだと、導入後の管理や保守に苦戦するので、初めて利用する場合には、日本語サポートに対応しているRPAがおすすめです。
▷【2023年最新】おすすめのRPAツール比較20選|機能や失敗しない選び方
4.トライアル版を導入する
多くのRPAでは、お試し期間としてトライアルを実施しています。
無料でRPAツールの使用感を確認できるため、自社に合っているかをしっかりと確認することが大切です。
実際に操作してみないと分からない部分も多くあるので、気になるRPAツールがあったら提供元に問い合わせてみることをおすすめします。
▷完全無料で使えるRPAツールフリーソフト4選|無料トライアルで使えるツールも紹介
5.特定の業務に導入する
実際にRPAを導入する場合、いきなり全体の業務に取り入れるのでなく、特定の業務に導入することも大切です。
RPA導入初期はトラブルが生じやすいため、全体の業務に導入するとコア業務に大きな支障が出る恐れがあります。
そのため、まずは自動化する業務の範囲を特定し、効果を得られれば徐々に拡大していきましょう。RPAの操作に慣れてきたら運用マニュアルを作成し、導入する業務の範囲を広げることでスムーズな運用につながります。
6.検証や改善を行う
試験運用で検証や改善を繰り返し、想定した費用対効果が得られているかを確認します。
RPAの導入前と後で作業時間や人件費がどれくらい削減できたか、エラーは生じていないかなどを検証し、問題があれば改善します。
このように、本格的にRPAを導入する前にメンテナンス業務の担当者やエラーが生じた際の対処法を決めておくことが大切です。
7.本格的に導入する
検証や改善をおこなったあと、特に問題がなくなれば本格的にRPAを導入します。
補助金によってRPA導入の負担を軽減できるので、資金力がない企業であっても大幅な業務効率の向上を実現することが可能です。
また、RPAの導入時にはエラーが出る場合もあるため、導入後もメンテナンスや保守は継続して実施しましょう。
8.効果を検証しながら運用する
RPAを運用していくなかで効果を検証し、想定の成果を得られているか確認しましょう。
想定より業務量が少なかったり、別業務が生じたりした場合は、最初の段階で業務の見える化が甘かった可能性があります。
効果が思うように得られない場合には、原因を分析し、RPAの全体設計を見直す必要があります。
▷RPA開発の方法・費用相場|失敗しないための注意点と開発手順
RPAの具体的な事例
中小企業と自治体におけるRPAの具体的な事例を紹介します。実際にあった事例を把握しておくことで、自社の目的がRPAで達成できるのかなど、具体的に検討することが可能になるでしょう。
中小企業における導入事例
まずは、中小企業におけるRPAの導入事例を見てみましょう。
旗の製造・販売企業の事例
ある旗の製造・販売企業では、求人を出して人材を確保しようと試みたものの、応募がなく、補えなかった業務をRPA導入でカバーしました。
結果として、従業員の異動による欠員で生じた作業時間のうち、RPAによって約6~8割を補うことに成功したのです。
食品メーカーの事例
ある食品メーカーでは、数十~数百時間もの単純作業に生じる時間を短縮すべく、RPAを導入しました。
RPAの導入時には、オンライン講座でITに関する教育を従業員におこない、その結果単純作業にかかる時間の短縮化に成功したといいます。
▷RPAの活用事例一覧!業界・職種別の業務効率化事例を理解しよう
自治体における導入事例
次に自治体における導入事例を紹介します。
静岡県藤枝市の事例
静岡県藤枝市では、以前からご遺族手続き支援コーナーを設置していましたが、亡くなった方の手続きに必要な情報の集約に、多くの時間と手間がかかっていました。
そこで、RPAを導入し、資料作成をRPAがおこなうことで業務効率が上がり、作業時間の削減を実現しました。
導入前にはRPAの勉強会を開催し、サンプルシナリオを用いたデモをおこない認識を広めたそうです。
兵庫県伊丹市の事例
兵庫県伊丹市では、単純なシステム入力を繰り返す作業をRPA導入によって効率化し、作業時間の短縮および人的ミスの軽減に成功しました。
具体的には、特別徴収異動届の入力や、公用照会による課税証明書の発行などの業務にRPAを導入しています。
ここでは、業務担当課が主体的にRPA導入に対して取り組んだことにより、業務の自動化を実現しています。
RPAの導入には補助金が活用できる
RPAは多くの企業で導入され、いままで手作業でおこなっていた業務を自動化することによって、効率化に貢献しているツールです。デジタル化が進む現在では、業務の自動化は生産性向上に欠かせません。
RPAを導入するにはコストがかかりますが、補助金を活用すれば負担を軽減できるので、予算が少ない企業にもおすすめです。
また、RPAを導入する際は、まず業務の見える化によって導入すべき範囲を決め、自社に合ったツールを選定することでミスマッチを避けられるでしょう。
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