SCMシステムおすすめ9選比較|選定ポイントやメリット・デメリットを解説
原材料や製品の生産・流通の一連の流れを意味する「SCM」。製造業など、常に需要が変化する業界においてはスピーディーかつ効率的なSCM計画の策定が必要です。本記事では、SCMシステムのおすすめ9選を比較します。選び方やメリット・デメリット、企業の導入事例などもあわせて紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目次
SCMシステムとは?
SCMシステムとは、部品調達から販売までの一連の工程を管理する機能を搭載したシステムです。このシステムを導入することで、需要予測や在庫状況の可視化、生産計画の立案などが効率的に行えるようになります。
SCMシステムに注目が集まる理由としては、企業のグローバル化が進んだことによる不確実性の高まりや、原材料の調達における競争の激化などが挙げられます。また、スマートフォンやECサイトの普及にともなうビジネスモデルの変化も理由のひとつといえるでしょう。
ビジネスを取り巻く環境や多様化するニーズに対応するには、各プロセスの情報を正確に把握することが重要です。SCMシステムの導入により、サプライチェーン全体の情報を一元管理し、高精度の需要予測や在庫管理を実現します。
SCMシステムとERPシステムの違いとは?
ERPシステムとは、企業の「ヒト・モノ・カネ・情報」などの経営資源を最大限活用するための機能を搭載したシステムです。
ERPシステムには以下6つの基本機能が搭載されています。
- 人事給与管理
- 販売管理
- 生産管理
- 購買管理
- 会計管理
- 営業管理
ERPシステムは、自社の経営資源に関する情報をシステム上でまとめて管理し、収支改善や人材の有効活用を実現するのが目的です。事業運営を進める上で中心的な役割を果たす業務全般に対応しています。
一方SCMシステムは、購買管理や生産管理、在庫管理など、サプライチェーンに限定されるのが特徴です。
SCMシステムの選び方
自社に合ったSCMシステムを選択するには、以下3つのポイントを確認することが重要です。
- 導入目的にあったシステムであるか
- 他システムと連携できるか
- サポート体制は十分か
それぞれ詳しくみていきましょう。
導入目的にあったシステムであるか
はじめに、SCMシステムの導入目的を明確にすることが重要です。導入目的が曖昧な状態でシステム選定を行うと、課題解決に必要な機能が搭載されていないシステムを選ぶ可能性が高まります。
その結果、適正在庫の実現や欠品回避など、事前に想定していた効果が得られないこともあるでしょう。高い投資に見合った効果が得られなければ、従業員のモチベーションも低下してしまいます。
SCMシステムは、間接材の購買支援や自社製品の需要予測、費用削減など、システムによって得意分野が異なります。自社に合ったシステムを選ぶためにも、対象とするプロセスや範囲を整理することからはじめましょう。
他システムと連携できるか
業務効率を改善するには、多くの外部システムと連携可能なSCMシステムを選ぶとよいでしょう。システム間のデータ共有がスムーズに進むと、部署間での連携強化や従業員間のコミュニケーションの活性化が期待できます。
たとえば、必要な部品の情報がまとめられているBOM管理システムと連携できるシステムであれば、効率的な生産計画や購買計画、在庫計画の立案が行えます。
また、API連携によってさまざまなアプリやシステムと連携できるSCMシステムもおすすめです。このようなシステムを利用すれば、手間をかけずに機能を拡張できるため、カスタマイズを施す必要がなくなります。
サポート体制は十分か
充実したサポート体制が整っているかどうかも重要なポイントです。メールやチャット、電話など、さまざまな手段で担当者とコミュニケーションが取れるシステムを利用すれば、トラブルが起きた際の早期解決につながります。
とくに、はじめてSCMシステムを導入する場合は、不安や疑問点に悩まされるケースも珍しくありません。そのため、担当者とすぐに連絡が取れる体制が整っていることが重要です。
また、オンラインヘルプやFAQの情報量も確認しておきましょう。多くの情報が掲載されていると、必要な情報を効率的に収集でき、問い合わせの手間を省ける点がメリットです。業務プロセス改善や調達ルール策定など、担当者からさまざまな提案を得ることで、早期の安定運用を実現できます。
SCMシステムおすすめ9選比較
ここでは、多くの企業で利用されているSCMシステムを9個紹介します。
1.クラウド型間接材調達支援サービス
クラウド型間接材調達支援サービスは、富士通コワーコ株式会社が提供するSCMシステムです。工具や消耗品、オフィス家具など、自社で使用する間接材購入の一元管理が行えます。
標準カタログ品として約45,000点の商品が登録されており、さまざまな商品を素早く調達できるのが特徴です。部署やユーザー単位で専用のWebカタログを作成できるため、現場の実情を反映した間接材購買を実現できます。
商品ごとに発注の上限を設定しておけば、操作ミスや認識のズレによる誤発注が起きる心配もありません。見積取得から検収まで、一連の受発注業務をシステム上で完結でき、ペーパーレス化の促進も図れます。
提供元 | 富士通コワーコ株式会社 |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン | 要問い合わせ |
導入実績 | 1,800社以上 |
機能・特徴 |
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URL | 公式サイト |
2.SynapseSUITE
SynapseSUITEは、株式会社日立ソリューションズ東日本が提供するSCMシステムです。需要予測や販売計画といった受給領域と、生産計画や生産スケジュールの供給領域それぞれに合った製品が用意されています。
短納期商品を扱う商社や小売店には「SynCAS」の導入がおすすめです。需要予測と過去の販売実績から発注計画を立案するため、在庫過多を防げます。
商品の輸出入をともなう場合には、週や月単位での需要予測や発注計画が可能な「Netstock IBP」が導入候補として挙げられます。各システムの機能や役割が明確化されているため、目的に合った製品を導入できるでしょう。
提供元 | 株式会社日立ソリューションズ東日本 |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン | 要問い合わせ |
機能・特徴 |
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URL | 公式サイト |
3.mcframe 7 SCM
mcframe 7 SCMは、ビジネスエンジニアリング株式会社が提供するSCMシステムです。販売管理や生産管理、在庫管理など、製造業に必要な機能全般を搭載しています。
需要情報の集約や先行手配によって、見込生産や受注生産、半見込生産など、あらゆる生産形態に対応可能です。また、部品やユニット品の標準化を進められるため、リードタイムの大幅な削減も期待できます。
受注品の仕様変更にともなう部品や原材料のさみだれ手配にも柔軟に対応でき、顧客と強固な信頼関係を築けます。多通貨処理や複雑な商流管理、インボイス発行などに対応しており、グローバル化を推進する企業にもおすすめです。
提供元 | ビジネスエンジニアリング株式会社 |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン | 要問い合わせ |
導入実績 | 1,000社以上(シリーズ累計実績) |
機能・特徴 |
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URL | 公式サイト |
4.SAP SCMソリューション
SAP SCMソリューションは、SAP株式会社が提供するSCMシステムです。各種業務の進捗状況の可視化や自動化によって、運用負担を軽減します。
受注や出荷に関する情報はリアルタイムで追跡できるため、トラブルが起きても素早い対応が可能です。生産工程やプロジェクトの進捗状況を可視化する機能も搭載しており、マネージャーはマネジメント業務に専念できます。
また、AIや機械学習を活用した商品の需要予測により、生産計画や販売予測、在庫管理の精度を高められます。
提供元 | SAP ジャパン株式会社 |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン | 要問い合わせ |
機能・特徴 |
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URL | 公式サイト |
5.Connecting One Cloud
Connecting One Cloudは、大日本印刷株式会社が提供するSCMシステムです。チラシや店頭POP、ポスターなど、販促物のサプライチェーンを一元管理し業務を効率化します。見積もりを複数の取引先に依頼できるため、最安値を提示した取引先に販促物を発注できます。
支店や営業所の販促物をシステム上でまとめて発注することで、集約作業や問い合わせの手間を省ける点も魅力です。販促物の在庫状況はリアルタイムで更新されるため、各拠点に在庫数の確認を問い合わせる必要はありません。
また、定期的にアップデートを実施しており、今後の機能追加やユーザビリティ向上が期待できます。
提供元 | 大日本印刷株式会社 |
初期費用 | 220万円~ |
料金プラン | 33万円~ |
機能・特徴 |
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URL | 公式サイト |
6.PlanNEL
PlanNELは、ザイオネックス株式会社が提供するSCMシステムです。AIを活用した需要予測によって、工数を削減しつつ予測精度を高められます。
複数のアルゴリズムを活用して予測モデルを立案し、もっとも高精度のモデルを選択するため、予測精度は80%を超えています。販売計画を立てる際は1つの画面から売上予測を入力するため、入力項目にバラつきが起こる心配がありません。
入力内容はリアルタイムで反映され、販売計画立案にかかる工数を大幅に削減できます。また、過剰在庫や欠品リスクの高い商品を可視化し、事前に対策を立てられる点も魅力です。
専任のコンサルタントが世界標準のSCMの考え方に基づいてサポートを行うため、グローバル展開を検討している企業にもぴったりのシステムといえるでしょう。
提供元 | ザイオネックス株式会社 |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン | 要問い合わせ |
機能・特徴 |
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URL | 公式サイト |
7.Kinaxis RapidResponse
Kinaxis RapidResponseは、キナクシス・ジャパン株式会社が提供するSCMシステムです。システム全体がノーコードで設計されており、プログラミング知識がなくても、システム全体のユーザビリティを高められます。
また、AIや機械学習の活用により、需要予測やワークフロー構築、各種計画の立案など、工数のかかる業務を自動化できる点も魅力です。リアルタイムの情報を収集しており、精度の高い需要予測や生産計画立案につなげられるでしょう。
常時SSL化や24時間365日体制のカスタマーサポートなど、セキュリティ対策も充実しています。
提供元 | キナクシス・ジャパン株式会社 |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン | 要問い合わせ |
機能・特徴 |
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URL | 公式サイト |
8.Coupa
Coupaは、Coupa株式会社が提供するSCMシステムです。購買管理や請求管理、在庫管理など、受発注業務に関する機能全般を搭載しています。
過去の支出データをシステム上で一元管理するため、承認プロセスや無駄な費用を可視化できます。カタログ購買や発注ルール遵守を組織全体で徹底することで、自社に不利な条件での商品購買を避けられるでしょう。
また、AIエンジンの活用によって、情報漏えいや従業員の不正行為、サプライチェーンでの問題など、自社を取り巻くリスクを可視化できます。素早く予防策や対応策を講じられ、リスクによるダメージを最小限に抑えることが可能です。
提供元 | Coupa株式会社 |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン | 要問い合わせ |
導入実績 | 3,000社以上 |
機能・特徴 |
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URL | 公式サイト |
9.Oracle Supply Chain Management
Oracle Supply Chain Managementは、日本オラクル株式会社が提供するSCMシステムです。需要予測や生産計画、在庫管理の機能が充実しています。トレンドや季節変動、過去の実績などを考慮した需要予測によって、高精度な売上予測や販売計画の立案が可能です。
現在の部品在庫や設備の稼働状況も含めた生産計画立案が行えて、生産効率の最大化も見込めます。生産計画の作成はドラッグ&ドロップで進められるため、担当者に大きな負担はかかりません。
また、各店舗や配送センターの商品在庫数可視化によって、適正在庫を維持できます。
提供元 | 日本オラクル株式会社 |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン | 要問い合わせ |
機能・特徴 |
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URL | 公式サイト |
SCMシステム導入のメリット
SCMシステムを導入することで得られるメリットは、以下の4つが挙げられます。
- 流通情報をまとめて管理できる
- ニーズに柔軟に対応できる
- 生産・流通に必要な費用を削減できる
- 生産性向上が期待できる
それぞれについて、詳しくみていきましょう。
流通情報をまとめて管理できる
SCMの導入によって、部品の調達納期や商品の在庫数、製品別の作業状況など、さまざまな情報をまとめて管理できます。サプライチェーン全般に関する情報を素早く把握できるため、欠品や納入遅延を未然に防げるでしょう。
部品の納入遅延や設備故障などの情報を事前に組織全体で共有しておくと、トラブルが起きても素早く対処することが可能です。取引先への影響を最小限に抑えられ、継続的な取引や発注量増加が期待できます。
また、システム上で一元化した情報を分析することで、サプライチェーンの課題抽出や物流戦略を見直すきっかけにもなります。
ニーズに柔軟に対応できる
製造業向けのSCMシステムを導入すると、見込生産や受注生産など、あらゆる生産形態への対応が可能です。顧客ニーズが高い製品に関しては、リードタイムが長い部品を先行手配しておき、急な需要増加にも対応できる体制を整備します。
日・週・月単位で集計した需要予測に、部品在庫や進捗状況を加えた供給計画を作成しておくと、欠品のリスクを最小限に抑えられます。また、部品やユニットの標準化を進めることで、仕入先からの納入遅れに悩まされる心配も減らせるでしょう。
仕様変更やさみだれ手配への対応も可能となるため、受注生産品の納期短縮も図れます。顧客からの急な要望にも柔軟に対応できる生産体制の整備によって、継続的な発注依頼が望めます。
生産・流通に必要な費用を削減できる
SCMの導入によって需要予測や在庫管理の精度が高まり、廃棄費用を削減できます。過去の販売実績や季節変動、イベントの有無など、変動要因を加味した需要予測が可能です。
AIや機械学習を需要予測に活用するケースも多く、高精度の予測が望めます。人間が作業する場合と比べ、大幅な誤差が発生する可能性を削減できるでしょう。
仮に誤差が起きた場合は、原因を究明する機能を搭載しているものもあるため、再発防止に努められます。
また、各商品や部品別の在庫状況を可視化し、分析結果を反映した生産計画や購買計画を立案できる点も魅力です。実情を反映した計画の立案によって、生産過多や発注過多にともなう収支状況の悪化を防げます。
生産性向上が期待できる
部品の在庫数や納期、設備の稼働状況など、実情を反映した生産計画の立案によって、現場作業員を最大限有効活用できます。完成した生産計画は、現時点での生産能力を正確に反映しており、現場作業員の過重労働を避けられるでしょう。
外注先も含め製品別の進捗状況をシステム上で確認できるため、生産管理の担当者は何度も確認の連絡を取る必要がありません。業務を中断する機会の減少によって、集中して担当業務に取り組める環境が整います。
また、SCMシステムの導入によって、従業員の所属部署以外の作業状況を把握できる点もプラスです。製造工程の進捗状況や配送状況の可視化により、業務の予定を立てやすくなり、無駄な動きを削減できます。
SCMシステム導入のデメリット
SCMシステムの導入によるデメリットは、導入にかかる負担が大きい点です。SCMシステムはカバーする領域が広いことから、必然的に搭載する機能数も多くなり、費用も高くなる傾向にあります。
オンプレミス型のSCMシステムの場合、インフラ環境を構築する必要があるため、多額の初期費用がかかるでしょう。クラウド型を選択した場合も、毎月数十万円の月額料金を支払わなければなりません。
また、SCMシステムを活用して情報共有するには、サプライチェーンに関係する人や業者との調整が必要になります。そのほかにも、操作方法などを従業員に教育する機会など、さまざまな手間やコストがかかることを考慮しておきましょう。
SCMシステムの導入事例
ここからは、SCMシステムの導入により課題解決に至った3社の成功事例を紹介します。
ニッポー株式会社
ニッポー株式会社は、プラスチックの成形技術に関して豊富なノウハウを持つ企業です。プラスチック部品の成形や医療検査キットの製造など、幅広い事業を展開しています。
同社は、生産管理や原価管理における情報の連携が困難であったことから、基幹システムの刷新を図るタイミングでSCMシステムを導入し、生産管理や原価管理などの必要な情報を一元的に管理する体制を整えました。その結果、精度の高い納期回答を顧客側に提示できるようになったそうです。
また、原材料の在庫や作業状況も一目で把握でき、工場への問い合わせの数が大幅に減少しています。事業部側と工場側が共に業務に集中できる環境が整い、作業効率の向上を実現しました
マツダモーターロジスティクス
マツダモーターロジスティクスは、ヨーロッパ全域で自動車及び部品配送を手がける企業です。同社の利用する倉庫管理システムには、輸送管理モジュールが搭載されていませんでした。
そのため、親会社のマツダ株式会社は、製品の出荷状況を正確に把握できず、納期遅延によるトラブルや顧客満足の低下に悩まされていました。そこで同社は、ブランドイメージの失墜や市場での優位性低下を避けるため、SCMシステムの導入を決断します。
SCMシステムの導入後は、注文から商品配送まで、一連の流れを可視化でき、トラブルが大幅に減少しています。また、輸送業者の予約や請求書の発行、課金確認がシステム上で完結する体制が整い、業務効率向上やペーパーレス化の促進につながったそうです。
株式会社シニアライフアシスト
株式会社シニアライフアシストは、香川県で介護付有料老人ホームとデイサービスを経営する企業です。同社は入居者や利用者への手厚いサポートが評判を得る一方、管理部に所属する従業員への業務負担の大きさに課題を抱えていました。
そこで同社は、管理業務の効率化と従業員の負担軽減に向け、SCMシステムの導入を決断します。SCMシステムの導入によって自社専用のカタログを作成し、誰もが同じ商品を同じ価格で発注可能な体制を整えられました。
注文方法のバラつきもなくなり、無駄な費用削減や業務の正確性の向上につながっています。また、介護用品や備品購入業務がシステム上で完結するため、注文書を印刷する必要がなく、紙書類の管理負担を大幅に軽減できたそうです。
おすすめSCMシステムを比較し最適な製品を導入しよう
SCMシステム導入によるメリットは、サプライチェーンに関する情報をまとめて管理できる点です。部品の在庫数や製品別の作業進捗、配送状況などを管理し、欠品や納期遅れを未然に防ぎます。客観的な指標に基づいて需要予測や在庫管理も行えるため、無駄な費用を削減できる点もプラスです。
自社に合ったSCMシステムを選ぶには、導入目的の明確化やサポート体制などを確認しなければなりません。今回の記事で紹介したおすすめのSCMシステムや企業の導入事例を参考に、自社の目的に適したものを選択しましょう。
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