CRM分析とは?重要性や成果を伸ばす分析手法・注意点まで徹底解説
成果を伸ばすCRM分析にはどのような手法があるのでしょうか。本記事では、CRM分析の解説や、CRM分析が重要な理由、実際のCRM分析の具体的な手法を8つ紹介します。CRM分析を行う上での注意点も解説しますので、合わせてご覧ください。
目次
CRM分析とは
CRM分析とは、あらゆる手法を用いて分析を行い顧客との関係を良好に維持・管理することにより、企業価値の向上を目指すものです。
そもそもCRMはCustomer Relationship Managementの略称で、直訳すると顧客関係管理となります。顧客との関係を良好に維持・管理することによってアップセルやクロスセルなどを実現し、顧客生涯価値(LTV:Life Time Value)を高めることを目的としています。
なお、狭義のCRMは顧客との関係情報を管理するほか、メール配信や問い合わせ管理機能などを備えた顧客関係管理ツールのことです。
CRM分析は、CRMツールに蓄積された情報についてさまざまな切り口から分析することです。それによって、企業にとっての有効な施策の選定と推進が可能になるのです。
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CRM分析の重要性
CRM分析の重要性は多くの面から挙げられますが、売上(顧客生涯価値)の向上につながるマーケティング・営業活動を見極め、効率的に推進できるようになることが大きなポイントです。
CRM分析を行うと顧客の購買傾向などから重視すべき施策とそうでない施策がわかり、もしCRM分析を行っていない場合、結果につながらない施策に大きなコストを費やすことになりかねません。
当然、顧客を知らない状態では知っている場合と比較して有効な施策を打つことは難しく、CRM分析は顧客を知り、売上につながる有効な施策を打ち出すためには欠かせない分析です。
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CRM分析の具体的な手法
それでは、CRM分析の具体的な手法を確認していきましょう。
- RFM分析
- デシル分析
- セグメンテーション分析
- CPM分析
- CTB分析
- LTV分析
- クラスター分析
- コホート分析
(1)RFM分析
RFM分析とは3つのファクターから顧客をグループに分け、それぞれのグループに対してどのようなアプローチをするか決めるための分析手法です。
- Rececy:直近購入日
- Frequency:購買頻度
- Monetary:累積購買金額
直近購入日が最近で購買頻度と累積購買金額が高い顧客は、その企業にとって売上貢献度が高い重要な顧客と評価できます。
優良顧客については、一般的に優遇割引など囲い込みを行うことで売上基盤を強固にすることが重要です。
購買頻度は高い一方で累積購買金額が低い顧客については、上位商品の提案などアップセル施策が求められます。
顧客グループごとにアプローチを決めることによって、顧客に合わせた適切なアプローチを推進することが可能です。
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(2)デシル分析
デシル分析とは、購入金額順に顧客を並べたのち、10等分(デシル)にして分析を進める手法のことです。
グループごとの購入金額と割合を出すことによって、どの顧客グループに対して集中的にアプローチを行うべきかがわかります。
しかし、集計する売上データの期間については注意が必要です。長い期間を対象にしてしまうと、一度高額の購買を行ったものの競合に離れてしまった顧客についても優先すべきグループに入ってしまうかもしれません。
そのため、デシル分析だけでなく直近購入日の要素も考慮したRFM分析と併用が望まれます。
(3)セグメンテーション分析
セグメンテーション分析とは、顧客を属性ごとに区分して傾向をつかむ分析手法です。事業によって異なりますが、セグメンテーション分析において一般的に用いられる顧客の属性には次のようなものがあります。
- 年齢
- 性別
- 地域
- 職業
- 年収
- 家族構成
なお、BtoBの場合は創業年数・事業分類・年商・資本金などの切り口で分析されることがあります。
セグメンテーション分析は、特に新規顧客獲得に向けたマーケティング施策(プロモーション)のターゲット選定に役立てることが可能です。
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(4)CPM分析
CPM(Costomer Portfolio Management)分析とは、購買金額と購買頻度、在籍期間といった3つのファクターで顧客を10個のセグメントに区分して分析する手法です。
- 初回現役客
- よちよち現役客
- コツコツ現役客
- 流行現役客
- 優良現役客
- 初回離脱客
- よちよち離脱客
- コツコツ離脱客
- 流行離脱客
- 優良離脱客
購買金額と購買頻度、累積購買金額の3ファクターで分析を行うRFM分析とよく似ていますが、在籍期間をファクターとして取り入れている点が特徴といえます。
また、RFM分析より細かいセグメントに区分するため、きめ細やかなアプローチを行うことも可能です。
(5)CTB分析
CTB分析とは、下記3つの要素で顧客を分類し顧客の購買行動を予測する分析手法です。
- Category:分類
- Taste:色や模様、サイズ
- Brand:ブランド、キャラクター
品番ベースの購買履歴データを分析すると、顧客がどのようなカテゴリやテイスト、ブランドを好んでいるのかが見えづらくなってしまいます。
そこで品番だけでなくCTBの3要素を含めて購買履歴データを蓄積し分析することで、より自社の顧客を知ることが可能です。
(6)LTV分析
LTV分析とは、顧客生涯価値と呼ばれるLTVという指標を用いて重要顧客を見極めることなどを通じ、売上を拡大しようとする分析手法です。
LTVはLife Time Valueの略称で、1人の顧客が生涯にわたって企業にもたらす価値の総額を指します。当然、LTVが高い顧客は重要顧客です。
LTVの計算式は細かく見ると数多く展開されていますが、一例としては次のようになります。
- LTV=顧客の年間取引額×収益率×継続期間
- LTV=購入単価×購入回数×収益率
LTVは事業自体の収益性を評価する指標としても知られていますが、CRM分析の手法としては、重要顧客を特定して重点的なアプローチを行うことが可能です。
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(7)クラスター分析
クラスター分析とは、さまざまなものが混ざり合っている集団の中から、似たものを集めて集団(クラスター)を作る分析手法です。
年齢や性別などの属性ごとにあらかじめ区分してしまうのではなく、数値化できない定性的な要素でクラスターを区分するといった特徴があります。
クラスターを作成したら、クラスターごとに適切なアプローチを取ることが可能です。
(8)コホート分析
コホート分析とは、顧客をグループ(コホート)に区分したのち、そのコホートがどのような行動を行うか把握する分析手法です。そもそもコホートとは同一の性質を持つ集団のことを指します。
例えば、10月に実施していたキャンペーンを経由して新規登録をしたユーザーが、どの程度アクティブにサービスを利用しているかなどを把握できます。
分析の結果、どのようなキャンペーンが有効であったか効果を計測することが可能です。
CRM分析を行う上での注意点
CRM分析を行う上での注意点として、次の3つがあります。
- 現状の課題や目的を明確にする
- システム間の連携ができるか確認する
- 既存顧客にもCRM分析をする
ぜひCRM分析をより効果的に行うために参考にしてください。
(1)現状の課題や目的を明確にする
CRM分析は、やみくもに行うのではなく現状の課題や分析を行う目的を明確にすることが重要です。
本記事でも多くの分析手法を紹介しましたが、いずれにも特徴があります。また手法によって向き不向きもあります。
自社が直面しているビジネス課題を解決するための最適な手法を見極めるためにも、まずは現状を洗い出して認識することが必要です。
(2)システム間の連携ができるか確認する
CRM分析を行うにあたってCRMツールを導入する場合は、従来から利用してきたシステムと連携ができるかどうか確認しておきましょう。
社内で蓄積したデータをCRMと連携し、必要なデータの加工や統合を行えることが望まれます。
(3)既存顧客にもCRM分析をする
マーケティング・営業活動において、新規顧客の獲得にばかり力を入れてしまう企業も少なくありません。
しかし、一般的には新規顧客の獲得よりも、既存顧客を維持して売上を向上するほうが、費用を抑えられるといわれています。
そのため、CRM分析はまず既存顧客を対象として行うことが基本です。
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適切なCRM分析を行い、マーケティング戦略に活用しよう
CRM分析を通じて顧客との関係を良好に維持・管理することによって、アップセルやクロスセルなどを実現し、顧客生涯価値(LTV)を高められます。
CRM分析を適切に行うからこそ、より効果的な施策を打ち出すことが可能になります。
本記事ではCRM分析の重要性や具体的な手法、注意点を簡単に紹介してきました。ぜひ本記事を参考にしながら、従来よりも顧客関係を強化し、成果につながるマーケティング戦略に活用してみてください。
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