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デシル分析とは?活用メリットや分析方法・RFM分析との違いを解説

2023/01/10 2024/11/01

CRM(顧客管理システム)

デシル分析とは

デシル分析とは、顧客分類方法の1つです。しかし、顧客分析は方法ごとに特性があり、1つの分析データを用いても正しいマーケティング施策が行えません。そこで本記事では、デシル分析の活用メリットややり方、RFM分析との違いを解説します。ほかの分析方法との違いも紹介しています。

デシル分析とは

デシル分析とは、顧客のランクを購入金額が高い順に10段階に分けてデータを分析する手法です。デシルとは、ラテン語で「10分の1」を意味します。

顧客層を詳しく把握できるため、顧客ごとに最適なアプローチを行いたい企業に活用されています。

デシル分析の目的

デシル分析の目的は、顧客ごとに効率よくマーケティング施策を実施することです。

デシル分析によって、顧客の購買行動から詳しい顧客層を把握できます。購入金額ごとにランク分けして、それぞれのランクに応じたマーケティング施策の立案・実施が行えるようになるため、顧客全体に同じ施策を実施するよりも高い効果が期待できるようになります。

デシル分析では、購入金額が高いランクの顧客ほど優良顧客と判断することが可能です。優良顧客に絞ってマーケティングを実施できるようになるため、効率よく費用対効果を高められるでしょう。

デシル分析で分かること

デシル分析で分かることは、「購入金額比率」「累計購入金額比率」「1人あたりの購入金額」の3つです。ここからは、それぞれについて詳しく解説します。

購入金額比率

購入金額比率とは、売上全体の中で特定のグループが占める購入額の割合を指します。比率は「グループごとの合計購入金額÷全体の合計購入金額」で計算可能です。

例えば、全体の売上が2000万円で購入金額が最も高いグループ「デシル1」の合計購入金額が1000万円の場合、「2000万円÷1000万円」で50%と算出できます。これにより、デシル1は売上に大きく貢献している優良顧客であると判断が可能です。

累計購入金額比率

累計購入金額比率とは、売上全体の中で特定のグループまでが占める購入金額の割合を指します。「特定のグループまでの合計購入金額÷全体の合計購入金額」で算出できる比率です。

例えば、全体の売上が2000万円でデシル1の購入金額が500万円、デシル2が300万円、デシル3が100万円の場合、「900万円÷2000万円」で累計購入金額比率は45%です。

累計購入金額比率の算出によって、マーケティング施策の対象とするのはどのランクまでかを判断できます。

1人あたりの購入金額

特定のグループに属する1人あたりの購入金額は、「グループごとの合計購入金額÷グループの人数」で算出できます。

例えば、デシル1の購入金額が500万円、デシル2が300万円、デシル3が100万円で各デシルの人数が100人の場合、各デシルごとの1人あたりの購入金額は以下のとおりです。

  • デシル1の1人あたりの購入金額:5万円
  • デシル2の1人あたりの購入金額:3万円
  • デシル3の1人あたりの購入金額:1万円

1人あたりの購入金額を算出すると、各グループに属する顧客の購買力を把握でき、積極的にアプローチすべきグループも判断できます。

デシル分析と似ている分析方法との違い

デシル分析と似た分析方法に、「RFM分析」「ABC分析」「CTB分析」の3つがあります。ここからは、それぞれの分析方法の概要とデシル分析との違いを解説します。

RFM分析との違い

RFM分析とは、「Recency(最近の購入日)」「Frequency(購入頻度)」「Monetary(購入金額)」の3つの指標でランク付けして、顧客のグループ分けをする分析方法です。

デシル分析は購入金額のみを指標としますが、RFM分析では「Recency(最近の購入日)」と「Frequency(購入頻度)」の2つが加わります。これにより、時系列からも顧客をグループ分けできる点がデシル分析との主な違いです。

例えば、購入頻度が多く購入金額が高い顧客は優良顧客、購入履歴はあるもののしばらくの間は購入していない顧客は休眠顧客といったように、顧客をさらに細かくグループ分けできます。

RFM分析とは?目的ややり方・メリット、活用例をわかりやすく解説

ABC分析との違い

ABC分析とは、売上や利益、販売個数などから指標を定めて、ABCの3グループに分けて在庫を管理できる手法です。

例えば、指標に売上を用いる場合は売上が高い順の商品からA・B・Cの3グループに分けます。Aは特に売上が高い商品グループであるため、在庫を切らさないように管理する必要があります。

Bは現状維持、Cは取り扱いの中止を検討といったように、最適な在庫管理が行える点が特徴です。デシル分析は顧客の分析に用いますが、ABC分析は在庫管理に適した方法という点に違いがあります。

CTB分析との違い

CTB分析とは、顧客の趣味嗜好から顧客をグループ分けする分析手法です。「Category(カテゴリー)」「Taste(テイスト)」「Brand(ブランド)」の3つの指標を用いて分析を行います。

デシル分析は顧客の購入金額を指標としますが、CTB分析は顧客が購入した商品を基に行う分析方法という点が主な違いです。

CTB分析とは?特徴や目的・分析方法をわかりやすく解説!

デシル分析のやり方

ここからは、デシル分析のやり方を詳しく解説します。初めてデシル分析を行う方は、ぜひ参考にしてみてください。

データを収集する

まずは、デシル分析に必要なデータを収集します。主なデータの例は以下のとおりです。

  • 注文番号
  • 注文日
  • 顧客ID
  • 購入金額
  • 商品名
  • 単価
  • 数量

顧客の購買行動を細かく把握するために、上記のデータを収集しましょう。

顧客を購入金額順に並べる

次に、収集したデータを基に顧客を購入金額順に並べます。

ここで使用するデータの期間は、分析したい期間に合わせて任意で設定しましょう。1か月や半年、1年などで自由に設定してみてください。購入金額順に並べる際は、Excelなどを活用して金額が大きい順になるように設定すると、作業を効率化できます。

顧客を10のグループに分ける

購入金額順に顧客を並べたら、購入金額の多い順に顧客を10のグループに分けましょう。デシル分析では10段階にグループ分けをするため、デシル1からデシル10まで10等分します。

この場合、購入金額が最も高いグループがデシル1、購入金額が最も低いグループがデシル10になります。

グループごとに合計額を算出する

次に、グループごとに合計購入金額を算出します。全体の合計購入金額を各グループごとの合計購入金額で割ると、購入金額比率が算出できます。

グループごとの傾向を分析する

最後に、グループごとの傾向を分析して、各グループに最適なマーケティング施策を検討していきます。

例えば、購入金額が高いデシル1からデシル3あたりまでの顧客に対してはリピート購入が期待できるため、クーポンの配布やキャンペーンの実施などが施策としてあげられます。このように、グループごとに最適な施策を実施できると集客や売上アップにつなげることが可能です。

デシル分析を活用するメリット

デシル分析には、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここからは、主なメリットを2つ紹介します。

施策の立案が簡単にできる

デシル分析は顧客の購入金額のみを対象に分析を行うため、分析が簡単に行えるうえに分析結果もシンプルにまとめられます。これにより、結果に沿って簡単にマーケティング施策の立案が行える点が大きなメリットです。

例えば、デシル1とデシル2の顧客が売上の大半を占めている場合は、2つのグループに対して優先的にマーケティング施策を行えばよいことが分かります。

このようにスピーディーに施策の立案と実施が行えるため、すぐに顧客へアプローチしたい場合に向いています。

Excelなどの既存ツールで簡単に分析できる

デシル分析は、特別な技術やツールが不要という点も大きな特徴です。

購入金額に応じて顧客を並び替えて顧客リストを10等分し、グループ分けをするというシンプルな分析方法なので、Excelなどの既存ツールで簡単に行えます。

顧客データさえあれば専用ツールの導入なしに始められるというハードルの低さが、デシル分析の大きなメリットです。

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デシル分析のデメリット

デシル分析は購入金額を指標とするシンプルな方法なため、複雑な分析ができません。そのため、詳細な分析を行うためには他の分析結果を組み合わせる必要がある点がデメリットです。

組み合わせる他の分析結果の例として、顧客の購入状況、購入頻度、購入金額を組み合わせて考えるRFM分析があげられます。

ただし、RFM分析があればデシル分析は不要というわけではありません。RFM分析のような複雑な手法は詳しい分析結果を得られる分、有効な施策を考えるのが難しいという側面があります。

そこで、デシル分析の結果が役に立ちます。先ほどデシル分析で考えた施策を、RFM分析の結果とすり合わせて改良を行うことで、実現性の高い施策を立案できます。このように、デシル分析は他の分析結果と組み合わせると大きな効果を発揮することが可能です。

デシル分析の活用事例

デシル分析の活用方法が分からない方に向けて、ここからは活用事例を2つ紹介します。自社でデシル分析を行う際の参考にしてみてください。

購買力の高い層を中心にリピーター施策を行う

デシル分析によって、購買力の高い層を見つけることができます。顧客全体ではなく購買力の高い層に対して施策を行うことで、より高い成果が期待できるでしょう。

例えば、デシル1が40代女性だったとします。購入履歴を調査すると、化粧品の購入割合が高いことがわかりました。

その結果から、「40代向け化粧品をさらに充実させる」「美容効果の高いサプリメントや健康食品を積極的に宣伝する」などのアイデアが生まれます。このように、購買力の高い層を狙い撃ちすることで、成功率の高いリピーター施策が可能になります。

コールセンターの問い合わせ履歴と組み合わせて顧客対応を検討する

コールセンターでも、デシル分析を有効的に活用できます。デシル分析によって顧客ごとの購買力のランク付けができ、ランクごとにアプローチの仕方を変えることで、顧客への訴求力を高められるためです。

例えば、「購買力の高い顧客に対しては、高級品や高品質な商品を勧める」「購買力の低い顧客には、割引やキャンペーンで興味を持ってもらう」などの方法が考えられます。

また、積極的に勧めたい商品によってランクを絞り、集中してアプローチをかけることも可能です。

コールセンターはしばしば総当りの営業になりがちですが、それではアプローチの方法が画一的になってしまいます。デシル分析によるランク付けによって、顧客に合った営業が可能になるでしょう。

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デシル分析をする際におすすめのツール

ここからは、デシル分析をする際におすすめのツールを3つ紹介します。

ツールを利用することで効率的にデシル分析が行えるようになるため、初めてデシル分析を実施する方は参考にしてみてください。

Excel

Excelは、Microsoft社が提供する表計算ソフトです。すでに多くの企業が利用しているため、使い慣れている方であればデシル分析を行う際も操作方法に迷う心配はありません。

以下の項目をまとめてExcelのピボットテーブルを活用すれば、効率的な分析が可能です。

  • 注文番号
  • 顧客ID
  • 購買日
  • 購入金額など

上記の項目を用いると、簡単に顧客ごとの購入金額や累積購買金額が把握できます。

BIツール

BIツールとは、企業が保有するさまざまなデータを収集・分析できるツールです。

ダッシュボードやレポートなどの形式で分析結果を可視化できるため、視覚的に結果を把握したい際に役立ちます。分析工数も少ないので、時間をかけずに効率的に分析したい場合に適しているといえます。

【2024年最新】BIツールおすすめ14選比較|機能や料金・仕組みを解説

Python

Pythonは、データ分析で用いられることが多いオープンソースのプログラミング言語です。デシル分析にも適していて、Pythonのライブラリを活用してデータの読み込みや処理、分析が簡単に行えます。

グラフを描写できるMatplotlibやデータを可視化できるSeabornなどのライブラリを使用すると、分析結果を可視化して視覚的に把握可能です。また、デシル分析以外の分析方法にも活用できる点もメリットです。

手軽なデシル分析で購買力の高い顧客を見分けましょう!

デシル分析はすぐに始められるうえに、費用対効果の高い優れた分析方法です。また、分析方法がシンプルなため、複雑な技術が不要で簡単に行える点がメリットです。

より詳細な分析を行いたいのであれば、RFM分析のような複雑な分析が必要ですが、その際もデシル分析で得られた結果を活用できます。デシル分析はすぐにはじめられるため、まずはデータを揃えて実際に分析を行ってみてください。

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ビズクロ編集部
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