経費精算ルール(規定)の作成ポイントを解説!使えるテンプレートやガイドライン、注意点も紹介
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スムーズな経費精算のためにルール作りは必須です。とはいえ、どのようなルールを設定するべきか迷うことはありませんか?本記事では、経費精算ルールの基本項目や注意すべきポイントを解説します。経費精算用のテンプレートも紹介するので、ぜひチェックしてみてください。
目次
経費精算にルール(規定)が必要な理由
経費精算の業務フローにおいては、精算時のルール作りが必要とされています。ルール作りで得られるメリットから、必須だとされる理由について考えていきましょう。
経費の無駄を削減するため
従業員から申請された出張費などの請求額をそのまま承認してしまうと、必要以上の支払いが発生してしまうことがあります。経費精算のルールを明確にすることによって、従業員は適切に経費申請を行うことが可能です。
結果として、本来支払う必要のない無駄な経費の削減につながります。
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法的なリスクを回避するため
経費は事業のために必要な費用のことで、事業とは関係のない費用は経費として認められません。
経費は法人税などの算出にもかかわっているため、実際には支払っていない経費や、事業とは関係のない支出を経費として計上してしまうと、脱税と判断される可能性もあります。
このような法的リスクを回避するためにも、どのような支出が経費として精算できるのかをルールにおいて明確にし、各従業員に経費の範囲を認識させておく必要があるのです。
節税効果を高めるため
交際費や出張費についてのルールを定めることで、節税にもつながります。例えば交際費の場合、飲食にかかる費用が1人あたり1万円(税抜)以下であれば、会議費として計上が可能です。交際費に関する規定を設け、飲食にかかった費用を正確にわかるよう申請してもらうことで、節税効果が期待できるでしょう。
また、出張手当として支払われるものについては、規定を設けることで所得税の課税対象外となります。
経理業務の負荷を軽減するため
経費精算ルールを設けることは、経理担当者の負担軽減につながります。経費の申請ミスや漏れが多いと、経理担当者は確認や修正が必要になり、手間と時間がかかります。
経費精算の処理業務が煩雑になってしまうと、集計ミスなども生じやすくなるでしょう。各従業員がルールを理解していれば、申請時のミスが起こりにくくなり、経理担当者の負担が軽減できます。
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会社と従業員のトラブルを防止するため
経費精算ルールがなければ、従業員が申請時に領収書やレシートを添付していなかったり、経費として認められないものを申請したりなどの問題が起こる可能性があります。
これにより会社側が経費を承認しないと、従業員の不満につながり、トラブルに発展する可能性があるのです。トラブルを避けるためにも、ルール作りが必要になるので理解しておきましょう。
経費に関する不正を防止するため
ルールがなければ、従業員の経費に対するモラルが低くなる可能性があります。いわゆる「カラ出張」といった発生していない経費の申請や、遠回りルートによる交通費の水増し申請など、不正をする従業員が出てくる可能性が高くなるのです。
また、故意ではなく勘違いによる単純なミスが経費精算の不正につながるリスクもあります。従業員の経費への意識づけや理解を深めるためにも、ルール作りは必須です。
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経費精算のルールを策定する上で必要な項目
ここからは、経費精算のルール策定で盛り込むべき基本項目について解説します。
経費と認められる条件
無駄な経費を発生させないためには、あらかじめどのような費用が経費として認められるのか決めておく必要があります。例えば交通費については、電車・バスは経費として認めるがタクシーは認めないなど、科目ごとの細かいルールを定めておくと良いでしょう。
経費として認めるものの範囲や条件について明確に定めておくことで、不正精算や従業員とのトラブルを防ぐことができます。
申請できる経費の上限金額
業務上必要な費用であったとしても、いくらでも使って良いというルールでは不必要な支払いが増えていくばかりです。適切な経費運営と利益向上のためには、科目ごとに上限金額を適正に定めておく必要があります。
ただし、出張などで高額な費用がかかるケースもあるでしょう。決められた上限金額を超える可能性がある場合には、事前に稟議を通す必要があることを規定しておくことをおすすめします。
申請可能な期限
申請期限が決められていないと、経費の発生からだいぶ時間が経過したタイミングで申請することも考えられます。また、申請が遅れると申請者が領収書を紛失してしまう可能性が高まり、経費として承認されずトラブルに発展してしまうこともあるかもしれません。
このような事態を避けるためにも「当月に発生した経費は、翌月の◯日までに申請する」といったように、具体的な期日を定めておく必要があります。また、従業員への経費支払いを振り込みで対応する場合には、支払いの期日に関しても明確にしておきましょう。
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領収書やレシートがない場合の対応方法
電車やバスなど公共交通機関を利用したときや、取引先の慶弔費など、領収書やレシートが発行されないケースもあるでしょう。また、従業員が領収書をもらい忘れたり、紛失してしまったりすることもあります。
このようなケースはよくあるため、領収書やレシートがない場合の対応についても事前にルールで定めておく必要があります。どのようなケースであれば領収書なしでの精算を認めるのか、またその際の精算方法についても明確にしておきましょう。
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申請用のフォーマット
円滑な申請を行えるようにするには、経費清算書のフォーマットを作成することも欠かせません。申請者の名前・部署・申請日・金額をはじめ、領収書やレシートの添付部分などを指定することによって、不備やミスの削減にもつながります。
経費精算に慣れていない新入社員などにとってもわかりやすいフォーマットを用意することで、申請する従業員と処理を行う経理担当者双方の負担が軽減できるでしょう。
この後の見出しでテンプレート集を紹介するので、ぜひ参考にしてください。
経費精算ルールにおける禁止事項
ここでは、経費精算ルールを決める際に追加すべき禁止事項を2つ紹介します。
自己決裁の禁止
自己決裁とは、経費の申請者と承認者が同一人物であることを示します。自己決裁を認めてしまうと、適切なチェックが行われないまま経費が承認されてしまうため、不正の温床となってしまう可能性があるのです。自己決裁は禁止と定め、申請者と承認者は別の人物になるようにしましょう。
例外の禁止
経費精算において、一度でも例外を認めてしまうとルール設定の意味がなくなります。
また、従業員に不公平だと感じられる原因となり、信頼関係が損なわれ兼ねません。ルール作成時には、例外は認めないことも明確にしておきましょう。
経費精算用テンプレート
経費精算書の作成には、Microsoft社が提供するテンプレートを使用するのがおすすめです。交通費精算と立替経費精算がセットになっており、無料でダウンロードできます。
自動計算機能が付いているため、項目と金額を入力するだけで簡単に使用でき、経費精算をスムーズに行えるでしょう。
参考:Microsoft「経費精算書 (交通費精算書・立替経費精算書)」
【科目別】経費精算ルール策定のガイドライン
経費精算ルールは科目ごとに細かくルールを定める必要があります。ここでは、科目別にルール策定のガイドラインを見ていきましょう。
①交通費
交通費は営業や出張で移動をする際にかかる費用のことです。それぞれの移動手段ごとに、気を付けるべきポイントを解説します。
電車・バスの場合
電車やバスの場合は領収書の発行が難しいため、利用区間の運賃を計算します。
複数の経路がある場合で、実際に利用したルートではなく最安値のルートにかかる費用を支給するのであれば、必ずその旨を明記しましょう。
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飛行機・特急・船舶の場合
飛行機や船舶、電車の特急は、利用するクラスや車両、客室によって料金が異なります。下記のように、役職によって基準を設ける企業も多いです。
◆社長・役員
- 飛行機:ビジネスクラス
- 新幹線:グリーン車
- 船:1等
◆その他従業員
- 飛行機:エコノミークラス
- 新幹線:普通車
- 船:2等
このように、移動手段によって具体的な規定を設けるようにしましょう。
タクシーの場合
タクシーは電車やバスと比べ、同区間でも状況によって利用料金にバラツキが発生するため、利用した場合は、領収書の提出を義務付けている企業がほとんどでしょう。
また、タクシー利用の目的が取引先への移動か、取引先を送るために使ったのかで、交通費か交際費かが違ってきます。この違いも明確に示しておきましょう。
自家用車の場合
社用車の場合、ガソリン代などは領収書で精算すれば問題ありません。
しかし、従業員が自家用車を利用している場合は、業務と私用、どちらにどれだけの燃料を要したかの判断が難しくなってしまいます。
このようなケースでは、走行距離からガソリン代を計算して精算する方法があります。1㎞あたりの金額を定め、業務で移動した距離に応じて交通費を精算しましょう。
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②出張費
出張費用は、交通費や宿泊代、食事代など扱う科目も多いため細かな規定が必要です。以下で詳しく説明していきます。
出張の定義
まずは出張費を支給するにあたって「出張」を定義づける必要があります。
具体的には「片道◯㎞以上の移動を伴う業務」「現地での宿泊が必要な業務」など、出張とする基準を明確にしておきましょう。
日当・宿泊費の金額
出張費を定額に定めることで、経費算出の手間を軽減できます。出張先のエリアや距離に応じ金額を定めておけば、その範囲で従業員が移動手段や宿泊先などを選択します。
これにより経理担当者が細かくチェックをする必要がなくなり、業務の効率化が図れるのです。役職によって金額が変わる場合は明記しておきましょう。
食事代の扱い
基本的に出張時の従業員個人の食事代は、税務上経費として扱われません。
ただし、出張先での接待費用は交際費として、経費に計上することが可能です。ルールを明確にしておくと、従業員の勘違いによる申請ミスを防げるでしょう。
③交際費
続いて、交際費のルールを規定するポイントを説明します。節税対策にもなるので、把握しておくようにしましょう。
金額の上限
交際費は原則法人税の課税対象となりますが、飲食にかかる費用については非課税となります。また、非課税となるのは社外の人を接待するための飲食費であり、1人あたりの金額が10,000円以下の場合です。交際費規定で金額の上限を設定しておくことで、無駄な交際費の発生を防ぐことができます。
申請時に明記すべき内容
交際費を経費として計上するには、以下のような情報を記録しておく必要があります。
- 利用した年月日
- 利用した飲食店の名称や所在地
- 参加人数
- 参加した人の氏名・所属する組織
交際費規定においては、記録すべき情報についてのルールも明文化しておくようにしましょう
経費精算ルールを効率的に策定するには?
経費精算ルールを策定しても、思うように浸透しないこともあるかもしれません。そのようなときには、経費精算システムを導入するのも一つの方法です。システム上に自社のルールを設定することで、期日の周知や不備のある書類の差し戻しなどが簡単に行えるようになります。
導入するシステムによっては、スマホ申請に対応しているものや経費の分析が行えるものもあるため、経理業務の効率化も実現できるでしょう。
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適切な経費精算ルールを作って業務効率化に役立てよう
経費精算は、会社の利益にも大きく関わる大切な業務なので、ルールを作り、正しく行わなくてはなりません。本記事で紹介したポイントを参考にしながら、適切な経費精算ルールを作成してみてください。業務をより効率化したい場合は、システムの導入も検討してみましょう。
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