ポイント利用は経費精算できる?値引きがあった時の仕訳方法も解説
会社の経費を立て替えた場合のポイントは誰が所有者になるのでしょうか。本記事では、経費精算時におけるポイント利用について解説します。また、ポイント利用で経費を支払った場合についての対処方法もご説明しますのでぜひご覧ください。
目次
経費で貯まったポイントの所有者は?
多くのクレジットカードには、「ポイント還元」といった、利用額に応じて金銭的な価値のあるポイントが付与されるサービスが付帯しているかと思います。
このポイント還元は、会社の経費を個人のクレジットカードを利用して立て替えた場合にも、当然、ポイントが付与されます。しかし、この付与されたポイントを個人で使ってしまっていいのか、気になったことはないでしょうか?
ここでは、個人のクレジットカードで経費を支払った際に付与される「ポイント」について、詳しくご説明します。
ポイントの所有者は会社である
会社の経費を個人のクレジットカードを利用して立て替えた場合、会社が支払うべき経費を個人が一時的に立て替えただけに過ぎないため、ポイントの所有者は「会社」になります。
しかし、実際のところ、個人のカードに付与されたポイントについて、企業が言及するケースは少なく、多くの企業において個人の利用を容認してることがほとんどです。
ただし、経費によって付与されたポイントの個人利用について、取り扱いを明確に定めている企業もあります。
そのため、経費を個人のクレジットカードで立て替えた場合のポイントについては、独断せずに必ず会社に確認するようにしましょう。
経費精算にポイント利用した場合の注意点
個人のクレジットカードに付与されたポイントを利用する際には、注意しなければならないことがあります。「税務上の扱い」と「経費精算」の注意点について詳しく解説します。
給与課税される可能性がある
会社の経費を個人のクレジットカードで支払ったことにより付与されたポイントを個人的に利用した場合、給与課税の対象となる可能性があります。所得税法第36条第1項によると、「金銭以外の物又は権利その他経済的な利益」は、経済的利益として扱われ、給与課税されることになっています。
そのため、会社経費を支払ったことによって得たポイントも利用の仕方によっては「金銭以外の物又は権利その他経済的な利益」に含まれると考えることができるため、税法上は、給与課税の対象と見なされる可能性があるのです。
しかし、現時点では、あくまで将来的なリスクとして認識しておく程度で良いといえるでしょう。
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個人のポイント利用は経費精算できるのか
結論として、個人のポイントを利用した支払いについて経費精算を行うことは可能です。
例えば以下の状況があったとします。
- 出張交通費20,000円を個人で立て替える必要がある
- 現金で10,000円支払い、残りの10,000円は個人のポイントを利用した
- 出張後、会社に交通費20,000円を請求した
この場合、個人のポイントで支払った10,000円も現金と同じ扱いになるため、従業員がポイント支払い分を含めた経費の精算を会社側に請求することは問題ないと考えられます。もちろん会社側も、従業員に対して20,000円の払い戻しをしなければなりません。
ただし、経費の支払いに個人のポイント利用を認めない、利用した場合はポイント分の精算は不可とする社内規定を設けている企業もあります。必ず事前に確認するようにしましょう。
また、個人事業主が法人カードのポイントを利用してポイント分の値引きなどを受けた場合は、「雑収入」として計上します。一方、プライベートで使用する個人のカードを経費に利用した場合は、ポイント分を「事業主借」として計上するのが一般的であり、勘定科目が異なる点に注意しましょう。
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個人のポイント利用で経費精算した場合の仕訳方法
従業員が個人のポイントで経費精算をした場合は、賃借対照表の仕訳方法が一般的な方法と異なるため、注意しなければなりません。
例えば、従業員が個人で貯めたポイントで会社の事務用品10,000円分を購入した場合、借方(お金の使い道)は、「消耗品費」という勘定科目を使用し、貸方(調達したお金)は、消耗品費を事業主から借りたとして「事業主借」という勘定科目を使用します。
借方 | 貸方 |
消耗品費 10,000円 | 事業主借 10,000円 |
会社の事務用品を購入する際に使用したポイントは、あくまでも従業員個人のものであり、事業の利益によって得たものではないため、事業所得とは区別する必要があります。そのため、貸方が「事業主借」となります。
ポイント値引きで代金の一部を支払った場合
ポイント値引きで代金の一部を支払った場合は、仕訳の方法が複雑になるため注意が必要です。
20,000円の事務用品を購入する際に、5,000円を個人で貯めたポイントで支払い、残りの15,000円をクレジットカードで支払ったとしましょう。
この場合は、「現金支払額」と「ポイント部分を『雑収入』として仕訳する」の2パターンがあります。
『現金支払額』として仕訳する場合、支払いした20,000円からポイントで支払った分の5,000円を控除し、15,000円の事務用品を購入したと捉えます。つまり、クレジットカードで支払った15,000円だけを計上します。
借方 | 貸方 |
消耗品費 15,000円 | 未払金 15,000円 |
この方法はシンプルで簡単ですが、実際に支払った金額や値引きした金額が把握できないというデメリットがあります。
一方で、ポイント部分を『雑収入』として仕訳する場合、以下の表のような仕訳になります。
借方 | 貸方 |
仕入 20,000円 | 雑収入 5,000円 |
未払金 15,000円 |
支払いの際に使用した個人のポイントは「雑収入」として仕訳します。多少複雑な仕訳になってしまいますが、実際の金額や値引きした金額も把握できるため、「現金支払額」の会計処理と比べ、詳細を確認できる仕訳となっています。
これらの2つの仕訳方法は任意で選択できるわけではなく、ポイントの種類によって使い分けることになっています。
ポイントには、クレジットカードのポイントの他、コンビニやスーパーで利用できる「Tポイント」や「楽天スーパーポイント」などの「共通ポイント制度」と、家電量販店やドラックストアなどで独自に発行している「自社発行ポイント」の2種類があります。
共通ポイント制度を利用した場合は、「雑収入」として扱われます。それに対して、自社発行ポイントを利用した場合は、値引きされた商品を購入したことになり、「現金支払額」として仕訳が可能になるのです。
このように、ポイントを使用した際の仕訳の方法は複雑になるため、事前に確認することが大切です。
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会社のルールを確認してポイント利用をしましょう
経費精算をする際、個人のポイントについてのルールは会社によって異なります。経費の支払いによって発生した個人のポイントを利用する際には、必ず事前に社内のルールを確認した上で利用するようにしましょう。
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