ナレッジマネジメントツール導入による8つのメリットと効果について
ナレッジマネジメントの取り組みを効率よく行うために作られた専用のツールがあります。ナレッジマネジメントツールを活用すると、どのような効果が現れるのでしょうか。本記事では、ナレッジマネジメントツール導入で得られるメリットを8つ紹介します。
目次
ナレッジマネジメントツール導入による8つのメリットと効果
ナレッジマネジメントツール導入によって得られる8つのメリットと効果を紹介します。導入を検討している企業は、ぜひメリットや効果を把握したうえで導入を検討してください。
1.社内の情報を収集しやすい
ナレッジマネジメントツールを導入すると、社内に散在している情報を収集しやすくなることがメリットです。個人が持つ知識やノウハウをナレッジマネジメントツールで気軽に形式知化できる仕組みを作ると、社内の情報を収集しやすくなります。
2.社員の能力向上につながる
ナレッジマネジメントツールの導入は、社員の能力向上にもつながります。たとえば社内の情報を収集したドキュメントがあれば、新人教育もそのドキュメントを通じて行うことが可能です。新人だけでなく他の社員もナレッジをすぐに収集できるため、知識不足で業務が進まないといったことを防げます。
実績のあるベテラン社員のノウハウが盛り込まれたナレッジがあれば、新人でもベテラン社員と同等の業務品質を期待できるでしょう。
▷【解説】ナレッジマネジメントとは?注目される背景や手法・具体例を紹介
3.属人化の防止になる
ナレッジマネジメントツールの活用でナレッジが集約されれば、属人化の防止につながります。属人化とは、特定の個人だけが業務ナレッジを保有し組織に共有されていないことで生じる問題です。
もし属人化していると、特定の個人がいなければ業務が進まなくなってしまったり、代わりの担当者が対応しても業務の品質が落ちたりしてしまいます。
一方でナレッジマネジメントツールの活用でナレッジが集約されていれば、特定の個人だけがノウハウを保有しているのではなく組織全体への共有が可能です。その結果、仮に担当者について異動や休職・退職になっても、業務の引き継ぎをスムーズに行え業務品質の大きな低下を防げます。
4.業務を効率よく回せる
ナレッジマネジメントツールを活用すると、業務を効率よく回せます。良質なナレッジをドキュメントにまとめて組織全体に共有できれば、組織全体の業務の品質向上が可能です。また、業務に必要な情報を探すための時間も減らすことができます。
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5.顧客対応の質が上がる
ナレッジマネジメントツールは、顧客対応の質も上げられます。ナレッジマネジメントツールは一般的に組織内の情報を集約して共有することに利用されますが、顧客情報をまとめることも可能です。
顧客の基本情報以外にもやり取りの履歴などを記録しておけば、各部門で連携して顧客対応ができます。結果として、顧客ニーズの把握や対応を的確にできるとともに、顧客ニーズにもとづく製品の改善にもつなげられます。
6.重要な情報を選別できる
ナレッジマネジメントツールのなかには、重要な情報を選別できる機能を持っているツールもあります。組織内でナレッジマネジメントツールの利用を促進してナレッジの収集ができても、ナレッジが整理されていなければ活用は難しいです。
そこで必要な情報を選別しドキュメント作成時に提案してくれるナレッジマネジメントツールを利用すると、ナレッジを収集するだけでなく活用もしやすくなります。ナレッジマネジメントツールを選ぶときは、コメンデーション機能があるか、ナレッジを整理しやすいかも比較しましょう。
7.企業間の競争に負けにくくなる
ナレッジマネジメントツールの導入と活用は、企業間の競争に負けにくくなるといった効果もあります。近年、企業を取り巻く環境は変化しており、社内のナレッジを含めた情報資産の管理や活用が企業の課題です。
日本能率協会(JMA)が実施した「日本企業の経営課題2022」では、自社の当面の課題に「人材の強化」が多く挙げられていました。前述のとおり、組織内の情報を収集し活用することが人材の強化につながります。
ナレッジマネジメントツールの導入により、属人化の防止や業務の効率化、顧客対応の品質向上ができると、企業の競争力が向上するでしょう。
8.既存のシステムと連動できる
ナレッジマネジメントツールは、組織が従来から利用している既存システムと連動できる場合もあります。たとえば顧客管理システムや販売管理システム、営業管理システムなどと連動・連携が可能です。既存のシステムと連動や連携ができれば、よりスムーズにナレッジマネジメントツールの導入と活用ができます。
なお、システムによっては連携ができないケースもあるため、検討しているツールと自社のシステムが連携できるのかはしっかりとチェックしておきましょう。
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ナレッジマネジメントツール導入によるデメリット
ここでは、ナレッジマネジメントツール導入によるデメリットを紹介します。ナレッジマネジメントツールには、メリットだけでなくデメリットもあります。メリットとデメリットをどちらも把握したうえで、導入と活用を検討しましょう。
システム導入まで手間がかかる
ナレッジマネジメントツールの導入には、手間がかかる場合があります。もっとも、ナレッジマネジメントツールはクラウドサービスとして提供されているものが多いため、アカウント登録によってすぐに利用開始できるものも少なくありません。
ただし、ナレッジマネジメントツールに関する情報収集や比較・選定・利用するためのルールの整備などには手間がかかります。
社員の理解が得られない可能性もある
ナレッジマネジメントツールを導入しても、社員の理解が得られない可能性もあります。社員の理解がなければ、ナレッジを十分に収集できず活用できません。たとえば、すでに特定の業務で豊富なナレッジを保有する個人からすると、ナレッジの社内共有に抵抗を感じる場合があります。
そのため、ツール導入の必要性やメリット、利用の定着に主眼を置いて十分に検討しておく必要があるでしょう。
ツールが社内に浸透するまで時間がかかる
ナレッジマネジメントツールの導入に社員の理解が得られても、ツールが社内に浸透するまでには時間がかかります。導入時のフォローだけでなく、ツールを運用中にもフォローをしましょう。
導入したにもかかわらず社内で浸透しないと、形骸化してしまいツールのランニングコストのみがかさんでしまう状況に陥るので十分に注意が必要です。
▷【最新】ナレッジマネジメントの成功事例8選!事例から学ぶ成功ポイント
ナレッジマネジメントツールの選び方
ここでは、ナレッジマネジメントツールの選び方を紹介します。ナレッジマネジメントツールの基本機能は共通している場合が多いですが、一部ツールによって異なる機能があります。ナレッジマネジメントツールは多くの企業が提供しているため、自社に合ったツールを選ぶための参考にしてください。
操作しやすいツールか
ナレッジマネジメントツールは操作がしやすいツールを選びましょう。ツールが使いにくいと社内での定着が難しく、使いこなせるまでに時間がかかってしまいます。ツールの導入で逆に工数が発生するので十分に注意が必要です。
操作性を確かめる上では無料のトライアル期間があるマネジメントツールの活用がおすすめです。無料トライアル期間を通じて、操作性やUIなど問題なく利用できるかチェックしておきましょう。
目的に適しているか
ナレッジマネジメントツールの機能が、自社の導入目的に適しているかどうかの確認も必要です。たとえばナレッジの蓄積はあるものの活用ができていないという課題がある場合は、ナレッジの検索機能が充実しているツールを選びましょう。
ナレッジマネジメントツール導入前に、自社が解決したい課題を明確にしてツールを選定しましょう。
さまざまなデバイスに対応しているか
パソコンだけでなく、スマートフォンやタブレットなどでも利用できるナレッジマネジメントツールをおすすめします。営業部門では外出時にナレッジにアクセスすることが想定されるほか、テレワークなど多様な働き方に対応するためです。
サポート内容は豊富か
サポート内容の豊富さでナレッジマネジメントツールを選ぶのもおすすめです。とくに自社にシステム担当者がいない場合は、充実したサポートを受けられるツールを選ぶとよいでしょう。
ナレッジマネジメントツールはオンラインマニュアルが充実していることも多く、サポートがなくても比較的簡単に利用できます。
セキュリティ対策は万全か
ナレッジマネジメントツールは自社が保有する重要なナレッジを保存するため、セキュリティ対策が万全かもチェックするポイントです。
セキュリティ対策をツールごとに比較するのは難しいですが、運営会社や導入実績・情報管理体制などを確認しましょう。必要に応じて見積もりなどを取る際に、直接問い合わせてみるのもおすすめです。
▷ナレッジマネジメントツールの選び方は?自社の目的や課題に適した考え方
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ナレッジマネジメントツール導入時のコツ
ここでは、ナレッジマネジメントツール導入時のコツを紹介します。導入の際には1つずつ確認し、実践してみてください。
社員の理解を得る
社員がナレッジマネジメントツールの導入にどのような印象や意見を持っているのか確認して、社員から理解を得られるようにしましょう。
あらかじめアナウンスをしていない状態でツールの導入を進めてしまうと、使い勝手がわからない・ツールが定着しないなどのリスクに発展するリスクがあります。社内全員のITリテラシーなどを含めて考えましょう。
初めは小規模で導入する
ナレッジマネジメントツールは、初めは小規模での導入がおすすめです。いきなり全社に導入するとトラブルが発生した際の対応が遅くなり、大きな影響が生じてしまう可能性があります。
小規模での導入と運用を始めたら、気になった点や活用方法などをまとめて、できるかぎりスムーズに全社へ展開できるよう準備しておきましょう。
導入のためのコストを確保しておく
ナレッジマネジメントツールの導入にはコストが発生する場合もあるため、あらかじめ予算を確保しておきましょう。クラウドサービスの場合、初期費用がかからない場合もあります。
一方でオンプレミス型の場合は、導入時に多額のコストが発生する可能性があります。事前に社内でツール導入のコストを決めておきましょう。
おすすめのナレッジマネジメントツールを紹介
ここでは、おすすめのナレッジマネジメントツールを紹介します。費用や特長をあわせて紹介するので、自社に合うツールはどれか検討してみてください。
Notion
Notionは、Wikiやドキュメント・プロジェクトを一元管理できるナレッジマネジメントツールです。ドキュメントは目次や折りたたみ可能なセクション(トグル)が利用できるため、簡単に情報を見やすく整理できます。プロジェクトでは、ロードマップを「未着手」「進行中」「完了」に分けてカンバン方式での整理が可能です。
検索も作成者や日付などフィルターオプションが充実しているため、必要なナレッジにすぐアクセスできます。Notionユーザーのコミュニティが充実しており、イントラサイトやロードマップ・ドキュメント管理などのテンプレートも豊富です。
提供元 | Notion Labs, Inc. |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン | 年払い
月払い
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機能・特長 |
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URL | 公式サイト |
NotePM
NotePMは、社内の知りたいことが見つかる社内Wikiツールです。ウィキペディアのようにさまざまな情報を書き込みして蓄積することで、社内の知りたいことがすぐに見つかります。
画像に矢印や吹き出しなどを付けられる画像編集機能が充実しているため、マニュアル作成に便利です。PDFファイルなどの中身も全文検索でき、ファイルの変更履歴も自動で記録して変更箇所はハイライトで表示されます。
提供元 | 株式会社プロジェクト・モード |
初期費用 | 無料 |
料金プラン |
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導入企業数 | 7,000社以上(※2023年02時点) |
機能・特長 |
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URL | 公式サイト |
Confluence
Confluenceは、リモートでも使いやすいチームのワークスペースです。マーケティングやセールス・開発などさまざまなチームに向けたテンプレートが用意されているので、ニーズに合うものをすぐに活用できます。TrelloやSlack・Microsoft Teamsなどとも連携して利用が可能です。
提供元 | Atlassian Pty Ltd |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン | 月額
年額
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導入企業数 | 7,000社以上(※2023年02時点) |
機能・特長 |
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URL | 公式サイト |
DocBase
DocBaseは、情報セキュリティの国際標準規格「ISO 27001」認証やISMS認定を取得するなど、セキュアな情報共有にこだわったツールです。
無駄な機能を省いたシンプルなエディタは、同時編集や操作履歴の保存・Markdownの利用もできます。
提供元 | 株式会社クレイ |
初期費用 | 無料 |
料金プラン |
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導入企業数 | 10,000社(※2023年02時点) |
機能・特長 |
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URL | 公式サイト |
flouu
flouuは、ナレッジ共有やマニュアル・社内Wikiの作成・日々の情報共有まで行えるクラウド情報共有ツールです。リアルタイムで同時編集・共有ができるドキュメントには、編集履歴の管理機能やドキュメント単位のチャット機能もあります。
ドキュメントのコメントや添付ファイルを含む横断的な検索機能も充実しているため、社内に蓄積されたナレッジをすぐに見つけられます。
運営会社のプライズ株式会社は、クラウドサービスに特化した情報セキュリティ管理規格「ISO27017」の認証を取得しています。ほかにも世界最高水準の信頼性を持つデータセンター「AWS」を採用するなど、セキュリティ対策も充実している点もflouuの強みです。
提供元 | プライズ株式会社 |
初期費用 | 無料 |
料金プラン | 基本料金:550円(税込)/月・ユーザー セキュリティオプション:550(税込)/月・ユーザー OCRオプション:220円(税込)/月・ユーザー |
機能・特長 |
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URL | 公式サイト |
esa
esaは、早めの情報共有をしてチーム内で何度も更新して育てていくという発想で提供されるドキュメントサービスです。リアルタイムの同時編集やバージョン管理・情報整理に便利なMarkdown形式にも対応しています。「デザイン/調査」のように、タイトルの編集だけでカテゴリ整理ができるのもesaの特徴です。
1ユーザーあたり月額500円(税込)と手軽に利用を始められ、添付ファイルを含めてアップロード容量は原則無制限と使い勝手もよいです。
提供元 | 合同会社esa |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン | 500円(税込)/月 |
導入企業数 | 3,000以上の会社・団体(※2023年02時点) |
機能・特長 |
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URL | 公式サイト |
Scrapbox
Scrapboxは、チームのための新しい共有ノートです。「#design」と入力すると「design」のリンクでカテゴリ分けする機能があり、簡単にドキュメントの分類や整理ができます。また、リアルタイムでの同時編集も可能です。
セキュリティも、SSL/TLS通信はもちろんGoogle AppsアカウントによるSSO認証や世界最高水準のデータセンター「Heroku」でデータを管理しているなど充実しています。
提供元 | 株式会社Helpfeel |
初期費用 | 無料 |
料金プラン |
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機能・特長 |
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URL | 公式サイト |
Zendesk
Zendeskは、カスタマー部門向けに特化したナレッジマネジメントツールです。サポート担当者は、顧客が求めている製品の情報や利用規約などの情報をヘルプセンターやFAQにまとめて記事化できます。Zendeskでは、FAQだけでなく製品やサービスの説明・導入フロー・トラブルシューティングガイドなども掲載可能です。
提供元 | 株式会社Zendesk |
初期費用 | 無料 |
料金プラン |
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機能・特長 |
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URL | 公式サイト |
Google Workspace
Google Workspaceは、Google社が提供するコラボレーションツールです。文書作成のドキュメントを利用でき、コメント入力やチャット、リアルタイム編集など機能が充実しています。また、ドキュメントの変更履歴は無期限に保存される点も特徴です。
iPhoneやiPad・Androidなど、端末を問わずブラウザを通じて気軽にドキュメントを作成できます。
提供元 | Google Asia Pacific Pte. Ltd. |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン |
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機能・特長 |
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URL | 公式サイト |
Microsoft 365
Microsoft 365は、Microsoft社が提供するコラボレーションツールです。TeamsやWord・Excel・PowerPointなど、さまざまなサービスが統合されています。ドキュメントツールのWordでは、クラウドストレス(One Drive)を介して文章が共有されリアルタイムで同時に編集やコメントなどが可能です。
提供元 | Microsoft Ireland Operations Limited |
初期費用 | 無料 |
料金プラン |
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機能・特長 |
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URL | 公式サイト |
ナレッジマネジメントツールの導入は企業にさまざまなメリットや効果をもたらす
ナレッジマネジメントツールの導入によって社内の情報を収集し、属人化の防止や社員のスキル向上につなげられます。結果として業務効率を改善でき、企業の競争力を向上させることが可能です。本記事で紹介したナレッジマネジメントツールの選び方やおすすめのツールを参考に、ぜひ自社に合ったツール選びにお役立てください。
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