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年末調整の電子化は義務?やり方や電子化するメリット・デメリット

2024/11/28 2024/12/05

年末調整ソフト

年末調整の書類とPC

あらゆる手続きが従来の紙ベースから電子化へと移行しています。年末調整もそのうちのひとつです。年末調整に必要な書類を電子化する場合、具体的にどのような変化があるのでしょうか。年末調整における電子化の義務や方法について解説します。

年末調整の電子化は義務ではないが必要なケースがある

年末調整を電子化するかどうかは基本的には各企業の任意ですが、特定の状況においては電子化するのが望ましいとされています。

例えば、従業員数が一定以上の規模である企業や、クラウド型の人事システムを導入している企業、税務署への申請にe-Taxを使用している企業などが挙げられます。

実際の現場では、情報セキュリティの強化や業務効率化によるスタッフの負担軽減が期待できるため、電子化を選択する企業が増加しているのが実情です。

いつから電子化が求められた?

年末調整の電子化の取り組みは、令和3年1月から働き方改革やデジタル化推進の一環として導入されました。

導入に至った主な理由は、情報漏洩リスクや紙資源の削減に加えて、企業や従業員が書類管理や提出手続きをより効率的に行えるようにすることです。

政府は労働環境の改善を目的としてデジタルツールの活用を推進しており、年末調整を電子化することで企業の負担を軽減し、効率的かつ正確性の高い情報処理を実現することを目指しています。

年末調整で電子化できる書類は?

2024年現在、ほぼすべての年末調整書類が電子化できます。具体的には以下のような書類です。

  • 基礎控除申告書
  • 扶養控除等申告書
  • 配偶者控除等申告書
  • 保険料控除申告書
  • 住宅ローン控除申告書
  • 所得金額調整控除申告書
  • 保険料控除証明書
  • 住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除証明書
  • 年末残高等証明書

ただし、保険料控除証明書のデータは本人が保険会社などに発行を依頼する必要があります。また、親族関係・送金関係・勤労学生の証明書類など、一部電子化に対応していない書類もあるため注意が必要です。

[出典:「年末調整手続の電子化及び年調ソフト等に関するよくある質問(FAQ)令和6年10月改訂版」]

年末調整の電子化によるメリット

従業員・担当者双方にとって年末調整を電子化する主なメリットを2つ解説します。

提出書類の準備が楽になる

年末調整を電子化すると、提出書類の準備が容易になるメリットがあります。

例えば、控除証明書の情報はそのままインポートできるため、従業員が各種書類を一から作成する作業は不要です。同時に、煩雑な書類の準備や記入作業、人的ミスや記入漏れのリスクも大幅に減少するでしょう。

担当者の負担を軽減できる

年末調整の電子化は、担当者の業務負担を大幅に軽減できる点もメリットです。

書類を電子データとしてインポート・管理できるため、膨大な紙書類の処理、手入力や分類などにかかっていた担当者の作業負担が大幅に軽減されます。電子化によって業務全体がスムーズになるため、年末調整業務の負担を軽減するとともに、よりコアな業務に集中できる環境が整うでしょう。

また、ペーパーレス化による紙の保管スペースやコストの削減などのメリットを享受できる点もポイントです。

年末調整の電子化におけるデメリット

続いて、年末調整を電子化することで発生するデメリットを2つ解説します。

紙媒体の慣れによる弊害

年末調整を電子化することでさまざまな面での効率化が期待できますが、導入当初は紙媒体のときに比べてかえって効率が低下してしまう可能性があります。電子化することで業務フローや使用するツールが大幅に変わってしまうためです。

紙媒体の処理に慣れた担当者にとっては、電子データの保存や管理方法は従来と大きく異なるため、作業手順やデータの扱いに不安を感じる場合も少なくありません。また、電子化に伴って既存の業務フローを見直し、再構築する必要が生じる点もデメリットといえるでしょう。

環境を整える必要がある

年末調整の電子化を行うためにはIT環境の整備が不可欠なため、状況によっては手間やコストの面でデメリットを感じる可能性があります。

必要となるのは、専用のソフトウェアおよびクラウドシステムの導入や、実際に利用するまでの各種設定、従業員がシステムを使いこなせるための教育などです。

IT環境が十分に整っていない場合は、システムや機器の導入などの環境整備にかかる初期コストが高くなる傾向があります。

年末調整を電子化するポイントとやり方

年末調整を電子化する際のやり方やポイントについて、4つの観点で解説します。

マイナポータルの登録

年末調整を電子化する場合、従業員が「マイナポータル」に登録する必要があります。年末調整に向けて保険会社や金融機関から控除証明書のデータを取得する際に、マイナポータルを利用するためです。

マイナポータルを利用することで、控除証明書のデータを直接インポートできるようになり、従業員が情報を入力・提出する手間を大幅に省けます。

マイナポータルの登録は無料で行えますが、従業員一人ひとりの協力が必要不可欠です。

電子化開始の手続き

続いて、年末調整の電子化に必要な以下の手続きを行います。

  • e-Tax(イータックス)の利用者識別番号手続き
  • eLTAX(エルタックス)の利用者ID手続き

e-Taxは、国税に関する申告・納税手続きをオンラインで行える、国税庁が提供しているシステムです。一方のeLTAXは、地方税に関する申告・納税をオンラインで行えるもので、地方公共団体が共同で運営しているシステムです。企業がインターネット経由で電子申告を行う際は上記の両方が必要なため、事前に手続きを済ませておく必要があります。

併せて、マイナンバーカードのデータを読み取るためのカードリーダーも必要です。カードリーダーは家電量販店やオンラインストアで数千円程度で購入できます。

ソフトの用意・調整

続いて、年末調整の控除申告書を作成するソフトや、給与計算ソフトなどを用意しましょう。ソフトを導入することで控除や年税額の計算を自動化できるため、手作業の手間や手入力によるミスを大幅に減らせるためです。

ソフトの設定や調整は企業によって異なるため、自社の状況に合わせて最適な設定をしましょう。また、制度は変更されることもあるため、ソフトの導入後も定期的な見直しやメンテナンスが必要です。

従業員への事前周知

年末調整を電子化する際は、従業員向けに利用方法やスケジュールを事前周知することが大切です。

特に導入当初はトラブルも予想されるため、十分な準備期間を設けることをおすすめします。また、必要に応じてマニュアルの作成や講習会を実施するなど、電子化に対する不安や混乱を最小限に抑える対策を講じておきましょう。

年末調整の電子化を実現した企業事例

年末調整の電子化に成功している事例として、3社の実例を紹介します。

株式会社MCEAホールディングス

株式会社MCEAホールディングスは、システム開発や運用に必要なサービスを幅広く提供している企業です。年末調整の電子化によって効率的な業務運用を実現しています。

同社は、傘下とする複数企業の総務経理・人事業務全般を担っており、拠点数と従業員数の多さから、年末調整においても膨大な事務作業が発生していました。

年末調整を電子化するためにクラウドシステムを導入したことで、従来の手作業によるデータ収集や確認作業が削減され、作業時間が大幅に短縮されました。同時に、時間や場所を問わずに申告業務が行える環境が整い、従業員の利便性向上にもつながっています。

[出典:株式会社オービックビジネスコンサルタント「奉行クラウドEdge導入事例|株式会社MCEAホールディングス様」]

株式会社中電シーティーアイ

株式会社中電シーティーアイは、エネルギー関連事業を中心に展開する企業で、年末調整の電子化によって業務負担の軽減を実現しました。

紙ベースで年末調整を行っていた際は多くの手間と時間がかかっていましたが、電子化を導入したことで作業の自動化が進み、担当者の業務負担が大幅に軽減されました。さらに、電子申請によりデータの正確性も向上し、ヒューマンエラーのリスクも減少したそうです。

このように、年末調整の手続きを効率的に行う体制が整ったことで、他の業務にリソースを割けるようになり、従業員満足度の向上にもつながっています。

[出典:株式会社オービックビジネスコンサルタント「株式会社中電シーティーアイ導入事例|人事労務業務のデジタル化は年末調整から。203時間の業務削減に成功した企業が語るデジタル化の決め手とは?」]

トーテックアメニティ株式会社

トーテックアメニティ株式会社は、ITソリューション事業やエンジニアリングサービス事業を展開する企業で、年末調整の電子化システムを導入することで業務効率化を実現しました。

同社では、毎年増加する従業員の年末調整を担当する管理部のマンパワー不足が課題でした。電子化により書類の送付・開封・チェックにかかっていた作業時間が半減したことが大きな効果です。担当者の作業負担の軽減と処理のスピードアップが実現でき、主担当者の人数を減らすまでになりました。

他の業務に時間を割けるようになったことに加え、ペーパーレス化によって保管場所の確保の必要がなくなったことも成果として挙げられます。

[出典:「株式会社オービックビジネスコンサルタント「奉行クラウドEdge導入事例|トーテックアメニティ株式会社様」]

年末調整を電子化して業務効率を上げよう

年末調整の電子化は、企業にとって業務効率化とコスト削減を実現できる手段です。

従来の紙ベースからデジタルに移行することで、作業の自動化により正確性が向上し、担当者や従業員の負担の大幅な軽減が期待できます。

まだ電子化を行っていない場合は、本記事を参考に導入を検討してみてください。

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