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連結会計における総裁処理とは?必要性や仕訳・子会社の基準などをわかりやすく解説

2024/12/03 2024/12/03

連結会計システム

連結会計の相殺消去

企業全体の財務状況や経営状況を明らかにする「連結会計」。親会社・子会社の財務状況を正確に示し、正しく連結会計を行うためには、適切な「相殺消去」が必要です。本記事では、連結会計における相殺消去について、必要性や仕訳、連結会計が必要な子会社の基準などを解説します。

連結会計における相殺消去とは?

連結会計における相殺消去とは、親会社と子会社を一つの会社に見立て、決算時に取引に係る損益や債権債務残高を消去する処理のことです。

企業の間では商品やサービスの売買など多くの取引が発生しますが、その実績は必ず記録しなければなりません。親会社と子会社の間でも同様にさまざまな取引が発生しますが、他企業との取引とは異なり、決算書類には載せなくてもよいというルールがあります。

なぜならば、連結会計においては、グループ企業全体を一つの会社と見立てるためです。例えば、購買部が調達した原材料を用いて製造部が商品を製造する事例を考えてみましょう。製造部は購買部から「原材料を買う」、購買部は製造部に「原材料を売る」という取引が発生します。この場合も、同じ企業内でのやり取りであるため、取引は記録しません。

このように、グループ企業内での取引については、一つの会社と見立てることで相殺できるものは相殺し、決算書類には載せないというのが、連結会計における相殺消去です。

[出典: 企業会計基準第22号 連結財務諸表に関する会計基準「連結会社相互間の取引高の相殺消去」]

連結会計とは?

連結会計とは、親会社と子会社など、支配従属関係にある企業を一つの組織と見なし、グループ全体の財務や経営などの状況をまとめる会計手続きを指します。

過去、日本では、親会社が経営状況を良好に見せるため、子会社を利用して粉飾決算などを行う例が相次いで発生しました。そこで、企業グループ全体の財務状況などを把握できるように、1978年3月期以降の事業年度開始から、対象となる企業は連結財務諸表の作成が義務付けられたのです。連結会計を行う際は、親会社と子会社の財務諸表を合算し、連結財務諸表を作成します。作成する連結財務諸表は、連結貸借対照表・連結損益計算書・連結包括利益計算書・連結株主資本等変動計算書・連結キャッシュ・フロー計算書です。

これらの書類があることで、利害関係者などはグループ全体の財務状況などを把握でき、企業側にとってもグループ会社の管理体制が強化されるというメリットが生まれます。

なお、連結会計は連結決算と呼ばれることもあります。2000年3月期から証券取引法(現在の金融商品取引法)のディスクロージャー制度が大幅に見直されたことにより、連結決算中心の開示となりました。

連結会計とは?連結財務諸表の作成手順・注意点についてわかりやすく解説

連結会計の対象となる企業

連結会計の対象となるのは、有価証券報告書を提出しなければならない企業です。有価証券報告書とは、事業の状況や財務諸表などの企業情報を詳細に記載した書類であり、上場会社や一部の非上場会社に提出が義務づけられています。

有価証券報告書を提出させる目的は、市場の公正化と投資家の保護です。子会社を持っていても、上場していない会社は対象ではありません。

また、「最終事業年度における賃借対照表に資本金として計上した額が5億円以上」もしくは「最終事業年度における賃借対照表の負債の部に計上した額の合計が200億円以上」の企業も対象とされています。

対象となっているにもかかわらず、故意に報告書を提出しなかった場合は上場廃止の恐れもあるため注意してください。

連結会計の対象となる子会社

基本的に子会社はすべて対象ですが、数が多い場合はすべてを含めることが困難なため、条件が定められています。具体的には、次の条件のいずれかに合致し、かつ重要性が高いと判断される子会社が対象です。

  • 親会社が子会社の議決権の過半数を所有している。
  • 親会社が子会社の議決権の40〜50%を所有し、緊密者や同意者、役員関係が一定の条件を満たしている。
  • 親会社が子会社の議決権の0〜40%を所有し、緊密者や同意者が過半数おり、役員関係が一定の条件を満たしている。

ただし、以下の場合は対象外です。

  • 親会社による支配が一時的。
  • 小規模経営なので、重要性が低いと見なされる場合。
  • 連結会計をすることにより投資家が意思決定を誤る危険性が高い。

子会社の選定にあたっては、親会社が持つ議決権の割合が基準とされます。

また、親会社と子会社の関係性も考慮され、その時点で親会社が条件を満たすだけの議決権を所有していても、一時的なものである場合には対象外とされるのです。というのも、早期に売却を予定している会社まで対象とすると、決算の手間だけが膨大になってしまうためです。

子会社の重要性に関しては、具体的な基準は決められていないため、売上や経営戦略における位置づけなどが判断基準です。大半の企業は、担当監査法人などと相談しながら決定しています。

連結会計における相殺消去の必要性

連結会計においては、相殺消去をしないとグループ内の取引が二重計上される恐れがあります。また、正確な財務状況が示されなくなるため、株主や投資家が投資判断を誤ることや、市場の公正性が担保されなくなる可能性も生まれるため、相殺消去は必須です。

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連結会計における相殺消去の仕訳

連結会計における相殺消去には、大きく分けて4種類あります。それぞれについて解説しましょう。

投資・資本の相殺

投資・資本の相殺は、子会社を設立するにあたって、親会社が出資を行った場合に行います。親会社が200万円を出資して子会社を設立した事例を考えてみましょう。親会社の出資割合が100%と仮定すると、単独で会計処理をする場合、親会社は200万円を投資として、子会社は200万円を資本として計上できます。

一方で、連結会計で処理する際はこれを相殺しなければなりません。親会社と子会社を一つの会社と見立てるため、親会社という部署から子会社という部署に200万円が移動しただけと考えることができます。会社全体で見れば、お金は増えていません。

相殺しなければ、連結会計時にグループ全体の資本金を合算するにあたって子会社の200万円も合算され、何もしていないのに資本金が増えたことになってしまいます。

そこで連結会計では、借方に「資本金 200万円」、貸方に「子会社株式 200万円」と連結修正をします。つまり、借方では子会社の資本金を減らし、貸方では親会社の持つ株式を減らすのです。この作業で子会社の資本金がなくなり、親会社の資本金のみが残ることになり、資本金の増減は発生しません。なお、親会社が保有する子会社の株式が100%ではないケースや、投資消去差額が生じるケースでは、やり方が異なるため注意してください。

借方貸方
資本金 200万円子会社株式 200万円

取引の相殺

取引の相殺は、企業グループ内で商品やサービスの売買が生じた場合に行います。

親会社が子会社に10万円で商品を販売した場合、親会社は10万円を売上として、子会社は10万円を仕入として計上します。

ところが、親会社と子会社を一つの会社と見立てると、この取引は単に商品の保管場所が同じ会社内の別の場所に移った状態と変わりません。そのため、内部取引として、全額を打ち消す作業が求められます。

これを行わなければ、親会社が売上を多く見せるために支配関係にある会社に在庫を売りつけることが可能となってしまいます。こうしたことが起きれば、株主や投資家は企業の経営状況を正確に把握できなくなってしまうでしょう。

そこで連結会計では、親会社の売上を売上高として借方に、子会社の仕入は売上原価として貸方に入れ、連結修正を行います。

借方貸方
売上高(売上) 10万円売上原価(仕入) 10万円

債権債務の相殺

債権債務の相殺は、親会社と子会社の間で債務や債権が発生した場合に、それぞれを消滅させるために行います。親会社が子会社に100万円を貸し付けている事例を考えてみましょう。

これは、親会社が子会社に対して債権を所有している状態といえます。親会社が支配下にある会社に商品を販売したあと、まだ代金が支払われていない状態も含まれます。この事例では、親会社は100万円を貸付金として、子会社は借入金として処理をします。

しかし、連結会計では債務と債権の相手が同じ場合はこれらを相殺できるため、借方に「借入金 100万円、貸方に「貸付金 100万円」と仕訳します。

借方貸方
借入金 100万円貸付金 100万円

未実現利益の相殺

未実現利益の相殺とは、グループ会社内での商品やサービスの売買について、まだ利益が実現していない場合にこの利益分を消去する行為を指します。

未実現利益とは、将来的に得られると見込まれるものの、現段階ではまだ生じていない利益のことです。このケースにおける実現とは、社外との取引が成立した状態を指します。例えば、親会社が子会社に500万円で商品を販売し、子会社がそれを社外に販売すると仮定しましょう。原価が400万円の場合、親会社が得られる利益は100万円です。しかし、子会社が期末になってもまだその商品を社外に販売していなければ、実現したとは見なされず、100万円は未実現利益となります。

この場合に、まだグループ外に売れていないにもかかわらず100万円を利益として計上してしまうと、親会社の利益を大きく見せることができてしまいます。これを繰り返せば、利益をごまかすことも可能でしょう。こうした事態を防ぐために、ルールに則って相殺の処理を行わなければなりません。

連結会計では、子会社が購入した商品500万円から親会社の利益100万円を控除し、利益のかさ増しを防ぎます。

借方貸方
売上原価 100万円商品 100万円

連結会計における相殺消去の必要性を理解し正しく行おう

上場企業や一部の非上場企業は、法に基づいて必ず連結会計を実施しなければなりません。その際に行う必要があるのが相殺消去です。この処理の重要性を踏まえ、社外からの信頼を損なわないようにルールに則って適切に処理しましょう。

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